痛みをかかえて

若く美しい旅姿の女性が、パッタリと道ばたに座り込む。
…おや、娘さん、いかがなされた？
…はい、持病の癪が…

は～い！せんせー！なんて読むんですか？この漢字。
…へえ～!『しゃく』ってよむんですか。
っていうか、『癪』ってなんです？

『癪（しゃく）』
胸や腹に突然起こる激しい痛み。
または『かんしゃく』
（＝おこりやすい性質のこと。またその発作。）

…はあ。それだったらドンピシャでアタシじゃん。
（ドンピシャって…古っ！）

生理期間終了後、ここ1週間。
ずうっと、右下半身が…
下っ腹と腰と腿が痛くて痛くて。右足あげるのも痛い。
座った状態から立ち上がる時とか。
股関節か？と疑ったが…そうでもなさそうで。
歩けることは歩ける。そうだ、きっと、アレだ！

アレ、とは。
アタシのお腹の中にある、大きな大きなカブ。
いや…カブじゃない、コブ。『筋腫』。
昨年、MRI検査をしてわかったのだが、かなりデカイ。
診てくれた婦人科医は
「妊娠5ヶ月くらいのお腹の大きさだ。」とぶったまげていた。

過去に、2度の筋腫除去手術を行なった。
ところが、除去が不可能な部分にコイツが鎮座している。
そして、時々こうやって、アタシを苦しめる。
季節の変わり目なんか、特に、だ。
今回も、筋腫が腫れてきて腸を圧迫し、
足のほうにも影響しているのだと思う。
痛み止めを飲み、しばらく様子を見ている。

ホルモン治療などで小さくする事はできるが、
薬物投与による副作用がかなりツライのだそうだ。
更年期が終わり生理が無くなれば、
筋腫も自然と小さくなると言う。
他に、筋腫を子宮ごと摘出する方法もある。
全摘してしまえば、生理痛ともおさらば…楽になる。
でも、アタシはあえて、この『筋腫ちゃん』と
つき合って行く事にしたのだった。
自分で、そう決めたはず、だった。
…でも、やっぱ、ね。納得いかないのよね。

時々、姑ちゃんに「大袈裟なんじゃないの？」と
いうような目で見られるのだけれど。
…ツライもんはツライんじゃい！！