いつも寝不足 (blog版)

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あたたかい水@『目隠しの国』

2005年12月05日 | マンガ・アニメ
『目隠しの国』の由来がH.G.ウェルズの「盲人の国」なんだ(と思う)ってことは以前にも書いたが、久しぶりに読み返して新たな発見。

7巻の178頁で亡き母の想い出に浸るあろうを「今」に引き戻す父の涙を表現する言葉「あたたかい水」は、ヘレン・ケラーが世界を認識する上でブレークスルーになった「つめたい水」(cold water)と対照をなしているんじゃないかと思う。

ヘレン・ケラーの向こうをはるわけじゃないけれど、和歌で言う本歌取りに近いのかな。

目隠しの国 (1)

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ところで、筑波さくらの良さって、その世界の小ささと言うか、基本的に悪人の存在しない世界観なんだろうと思う。セカイ系? ってな気がしないでもないけれど、はてなの定義とは異なり、適切な表現ではないかもしれない。

ただ、『目隠しの国』で顕著なんだけれど、the world is my world的なところが、特徴的だとは思う。ここで言うmyは一人称単数ではなく、一人称複数なんだけどourじゃないのよ。何つうか、世界を共有する極少人数だけが、世界を構成していると言うか、非常に内向きな世界観。セカイ系が、my worldがthe worldなのに対して、『目隠しの国』ではthe worldがmy worldなんだよね。って、書いてる本人がよく分からん。

これって、『目隠しの国』を非難している訳じゃなくて、『目隠しの国』の美点がまさにそこにあるってことなので誤解なきよう。

話は変わって、筑波さくらの新刊『よろしく・マスター』。そうかぁ、マスターってご主人様の方のマスターなのね。読む前はてっきり喫茶店か何かのマスターかと思っていた。

よろしく・マスター

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むん、この話って、まだまだいじれるんじゃない? と言うか、3話の終わりに「何かが 始まる 予感がした」と書いてるくらいなんだから、始めたら?

さらに話は変わって、同書収録「甘い咬みあと」の舞亜。うひゃぁ、こういう子(=娘)を描けちゃう時点で、筑波さくらからは離れられませんて。ツボ。