QAZのつれづれ日記

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膵頭十二指腸切除手術の予後

2021年10月03日 | 健康


膵臓にできた膵管内乳頭粘液性腫瘍のため2月に入院、3月膵頭十二指腸切除手術を受け4月に退院して早や半年が経ちますが、ここにきてお腹の不調、違和感、不快感、重苦しさに連日悩まされています。

この手術はお腹の手術の中で最難関と言われ、術後死や多くの恐ろしい重度合併症の可能性が指摘されています。
最も驚きましたのは多くの外科医が「患者なら受けたくない手術」の筆頭に食道がんと並んでこの手術を挙げていることです。
術後合併症の頻度が高い上、あまりにも手術による身体への負担が大きいため例え手術そのものが成功しても体力が相当減退しその後のQOL(Quality of Life)を大きく損なってしまうからです。
私の主治医はいい先生ですのでそうは思いませんが、最先端の治療をして実績を積みたいという医者の名誉欲のためになされる手術という場合もないとは言い切れないことでしょう。

よりによって胃の奥(背中側)にあるため一番摘出しにくい膵臓に腫瘍ができるなんて運が悪いとしか言いようがありません。
腫瘍は次第に大きくなり、いずれ高い確率でがん化し膵臓がんになると言われます。
がんが転移したりすれば手遅れで例え手術してももはや救いようがなく、早いうちに腫瘍を取り除いておくことが推奨されます。

悩ましいのは腫瘍が大きくなるスピード、がん化するかどうかの見極めが難しく、すでにがん化しているかどうかは最終的に手術で腫瘍を取り出して病理検査をしてみなければわからないことです。
従って手術する場合は例えがん化していなくてもすでにがん化していることを前提に腫瘍のある膵臓の膵頭部、胃の一部、胆嚢、胆管の一部、十二指腸など多くの臓器および周辺のリンパ節を除去したのち、今まで十二指腸とつながっていた膵臓、胆管、胃を空腸(十二指腸に続く小腸の入り口部分)につなぎ変えるという膵臓がん手術とまったく同様の手品まがいの非常に複雑で大掛かりな手術をすることになります。

もし腫瘍の大きくなるスピードが遅く、がん化するまでまだ相当時間的余裕があるならば何もこんな命に関わるような危険な手術を急いでしなくてもしばらく様子を見るということも考えられなくはないですが、こればかりは予測がつきません。
様子を見ているうちに知らず知らずがん化が進んで、いざ手術しても救えない状態になって寿命を縮めてしまうということも十分考えられます。

がん化しなければ、あるいはがん化し始めるまでは本来手術は不要なのに、それがわからないからある程度のところで覚悟を決めてえいやっと手術する決断をするしかないというジレンマです。
よほどの高齢であれば膵臓がん以外の病気で余命が尽きる可能性の方が大きく、膵臓の腫瘍は手術しないで放っておくという選択肢も考えられなくもありません。

今の時点で手術するかしないか大そう悩みましたが、私が手術しようと決心した決め手になったのは国際膵臓学会作成のIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)国際診療ガイドラインでした。
エコー、MRI、EUS(超音波内視鏡検査)、造影CTなど一連の検査結果から腫瘍の壁在結節が1cmくらいあり、ガイドラインによれば5mm以上の在壁結節が認められる場合手術を考慮するとあるからです。

私の入院した都立の総合病院はこの手術に関して十分実績があり、主治医も信頼に足る肝胆膵外科の専門医です。
しかし主治医は説明書に従って手術の手順や合併症に関する詳しい説明はしてくれますが(ただし術後のQOL低下についての説明はほとんどありませんでした)自ら「手術すべきだ」とか「手術したほうがいい」とは決して言われません。
いかに腕に自信があっても命に関わるかもしれない手術に対して私の今の症状から判断して軽々しくすぐ手術を勧めるわけにはゆかないのでしょう、完全に患者の意志に任せられました。
そうなるとどうしたら良いか困ってしまいますが、人間の恣意的な判断の入らない過去の実績データを根拠にした公正なガイドラインが助けになります。
ネットからコピーして先生に見せると、当然先生はガイドラインを知っておられ「そのとおり」と仰いました。

お腹の中をずたずたに切り刻んで膵臓はじめ多くの臓器を体外に取り出しそのあと土管工事まがいのことをやったのですから、どんなに手術自体うまくいったとしても術後何も起こらないと考えるほうがおかしいのかも知れません。
退院後5ヶ月間ほどは食事の量が術前の7割程度になった以外何事もなく順調でしたが、6ヶ月目に入るとさらに食欲が落ちるとともに少しでも食べ過ぎるとお腹が張り、時に我慢できないほどの腹痛が起きるようになりました。

食事を時間を置いて二度に分けてゆっくり食べるように工夫したりしていますが、この場合食前、食後の薬の飲み方(配分)が難しいです。
糖尿病の基礎疾患がありますので、腹痛で食事を抜いたりすると血糖値を下げる糖尿病の薬や注射が効き過ぎて非常に危険な低血糖に見舞われ、体のふるえなど低血糖の症状が現れると急いで血糖値を測定し血糖値を上げるためブドウ糖を飲みます。
低血糖を放置すると最悪昏睡状態から死に至ります。
ブドウ糖はいつも家の各所、身近な所に置いてあり、外出時にも忘れず携行しています。
家内はいつも消化の良い食事に気を配ってくれています。

何十年と落ち着く場所にバランス良くきちっと収まっていた臓器が手術でスカスカになったお腹のなかで落ち着かないのか手術で癒着しているのか、肝臓や膵臓からの消化液がうまく流れ出ていないのか、消化の流れがどこかで滞留しているのかよくわかりません。
お腹や腰に力が入らずふにゃふにゃです。

食事の量が少なくなり体重が術前に比べ10キロも減って体力が落ち何をしても疲れやすくしんどいです。
いきおい食後少し横になって休むことも多いですが、具合の悪いことに腹痛は横になるとひどくなり、むしろ上体を起こしてあぐらをかいたり椅子に座っている姿勢のほうが楽です。
あまりにも腹痛がひどいときは処方されている頓服薬、カロナールを飲んでいます。
これで痛みは治まりますがお腹の膨満感は取れず苦しいままです。
先日造影CTを撮りましたので次週結果を聞きに行きます。

さらに8月には突然の高熱でコロナ患者受け入れ病院に救急搬送され5日間入院しました。
コロナにかかったかと思いましたがPCR検査の結果は幸いにも陰性、室内での熱中症ではないかとも言われましたが上記手術との関連も含め高熱の原因は結局わからずじまいでした。
身体の抵抗力が弱っている今、コロナにかかればすぐ重症になってしまいそうでこわいです。
発熱が一過性のものであればいいのですが繰り返すとなると要注意です。
このご時世、受け入れ先病院が見つかったのは不幸中の幸いでした。

術後の病理検査でがん細胞は見つからず、今後膵臓がんになる可能性が完全にゼロとは言い切れませんが排除できたことは何より有難いですが、その大きな代償としてQOLの低下は避けられないようです。
今のところお腹の不調が続いていますが、今後何が起こるかわかりません。
どんなことがあっても食べられない、歩けない、寝たきりという状態にだけはなりたくありません。
なんとかこのまま快方に向かってくれることを願うのみです。



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2 コメント

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Unknown (tkgmzt2902)
2021-10-03 14:25:25
息を詰めながら読みました。
冷静に自分の体を見つめられる意思の強さに心を動かされました。
厳しい夏は特に体の消耗がきつかったことでしょう。
これからは気候もよくなるし、少しずついい状態になられることを祈っています。
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膵頭十二指腸切除手術の予後 (QAZ)
2021-10-03 22:46:41
tkgmzt2902さん
ありがとうございます。
歳取るといろんな病魔が襲ってきます。
一つ一つうまくやり過ごしてゆくしかありません。
tkgmzt2902さんもどうかくれぐれもご自愛のほどお過ごしください。
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