QAZのつれづれ日記

  思いついたことを気ままにブログで

ギモ コレクションのCDを入手

2024年04月17日 | 音楽


久しぶりのマンドリンネタです。

ギモ コレクション(Gimo Collection)についてはHPのほう(ここ)に取り上げていますが、スウェーデンの小都市Gimoにちなんで名付けられ、1762年前半に若いスウェーデン人ジェーン ルフェーブル(Jean Lefebure、1736-1805)によって蒐集された18世紀イタリアの貴重な音楽コレクションです。

ギモ コレクションには全体で359の作品がありますが、私たちマンドリニストが注目するのはそのうち8人の作曲家による19の古典作品がマンドリンを含む室内アンサンブルのために書かれていることです。
これら19作品のリストはここにあり、楽譜とMIDI曲をダウンロードすることができます。

リストでは楽器編成に従って作品を次の4つにグループ化しています。
(1) Mandolin and Basso 5作品
(2) Two Mandolins 5作品
(3) Two Mandolins and Basso 4作品
(4) Mandolin, two Violins and Basso 5作品

ギモ コレクションの音源は上記のとおりMIDIでしか聴けませんでしたので長年マンドリンアンサンブルの音色で聴きたいものと思っておりました。
今回やっとマンドリン音源のCDを見つけ入手することができました。


レーベルはイタリアのTactus、2023年5月リリース、CD2枚に上記リストの(1)~(3)の14作品が収録されています。
さっそく楽譜と対比しながら聴いております。
このような古典作品は何度聴いても飽きることがありません。

定演に参加できました!

2023年10月13日 | 音楽


10月9日開催の立川マンドリンクラブ第41回定期演奏会に無事参加することができました。
コロナ禍、大病予後の体調不良を乗り越え、クラブ皆さんのお気遣いをいただいて4年ぶりの出演でした。
私の体調が悪くならないか心配して家内も朝から会場で待機していてくれました。
突然の体調不良で出演できないこともあるかと思い今回は知人への事前の案内状送付を取りやめていましたが、それでも聞きに来てくださった方が何人かいてとても嬉しかったです。
演奏が済むと後片付けや打ち上げを失礼してすぐ帰宅させていただきました。
今日はもう13日ですがやっと定演疲れから立ち直ってきたところです。

学生時代から今日までいろんなマンドリンクラブに所属して数多くの定演には必ず出演してきましたので、ここにきてここ数年定演に出られないという状況に歳を思い知らされます。
手術予後の体調不安定、それに加えて楽譜が見えにくくなる、耳が聞こえにくくなる、手が動きにくくなって速いフレーズが弾けない、腰をかがめておなかを圧迫する演奏姿勢が予後に良くない、など悪い条件が重なってきますが、でもそれに打ち勝って若い頃からずっと続けてきた趣味であるマンドリンをいつまでも楽しみたいという強い気持ちを失いたくないと思っています。



立川マンドリンクラブ第41回定期演奏会

2023年08月29日 | 音楽


もう4ヶ月もこのブログを更新していません。
こんなこと初めてです。
書くことがないわけではなくこの異常な暑さで書く気が起こらなかったからです。

掲記のとおり立川マンドリンクラブでは来る10月9日41回目の定期演奏会を開催致します。
いつものとおりクラブのK子さんが素敵なチラシを作ってくださいましたので掲載させていただきます。


今年の演奏曲テーマ「浪漫」に合わせて昭和ロマンを感じさせるようなとてもシックなデザインになっています。

クラブの定演は2020年はコロナのため不開催、2021年は私の膵臓摘出の大手術後の養生のため不参加、2022年は定演当日の突然の体調不良で不参加、今年4年振りの出場となりますがまたまた体調不良を起こさないか不安でもあります。
何とか体調を整え出演し頑張って演奏したいと思っています。


ラファエレ・カラーチェ一世の貴重動画

2023年01月06日 | 音楽


イタリアのマンドリン製作者、作曲家、演奏家であったラファエレ・カラーチェ一世(Raffaele Calace、1863-1934)の大変貴重な動画を見つけました。
1924(大正13)年12月三女エレオノーラと駐日イタリア大使館付通訳官コルッチの婚礼のために来日した時のもので、記事や写真では知っていても1世紀も前の動画がよくぞ遺っていたものです。
もう1年来日が早ければあのいまわしい関東大震災に遭遇していたことでしょう。


彼と親しく話しをしている日本人は日本マンドリン界の父と称される武井守成氏、バックの曲はカラーチェ自身が作曲、演奏しているマンドリン協奏曲 第1番、CD「カラーチェ親子の至芸」に同名の二世カラーチェ(1948-)が演奏しています。

先ごろ見つけたマンドリンの女王、マリア・シヴィッターロの演奏動画ともども非常に貴重な動画で、私たちマンドリニストにとってお宝と言える映像だと思います。

関連ブログ:
マリア・シヴィッターロのマンドリン演奏動画(2021.06.26)





マイナポイントで書籍とCDを入手しました

2022年12月10日 | 音楽


マイナポイント第2弾、15,000ポイントが楽天カードに追加付与されましたのでさっそくこのポイントの一部を使って以下の書籍とCDをネットの楽天市場で入手しました。

響きの科学 名曲の秘密から絶対音感まで


ハヤカワ文庫 2016/8/5 384ページ 1,034円(税込)

[目次]
音楽とはいったい何?
絶対音感とは何?わたしにもある?
音と雑音
木琴とサクソフォーン―同じ音でも響きがちがう
楽器の話
どれくらい大きいと大きいのか?
和声と不協和音
音階の比較考察
自信にあふれた長調と情緒的な短調
アイ・ガット・リズム
音楽を作る
音楽を聴く
やっかいな詳細

1冊でわかるポケット教養シリーズ 数字と科学から読む音楽


ヤマハMM 2019/12/16 358ページ 1,210円(税込)

[目次]
アインシュタインとヴァイオリン

◆第1部 音と数の秘密
第1章 音楽と聖数
第2章 順列・組み合わせと音楽
第3章 黄金分割と音楽

◆第2部 天体と音楽
第1章 天体のハルモニア
第2章 天体の音楽
第3章 天王星の発見者

◆第3部 平均律と純正律
第1章 ピュタゴラス音律と純正律とは
第2章 バッハと平均律
第3章 標準ピッチと絶対音感
第4章 科学か音楽か

イタリア、愛の歌〜永遠のカンツォーネ名曲集〜 (CD)


ナポリ・マンドリン・オーケストラ 2011.11.16 2,640円(税込)

[トラックリスト]
1 太陽の土地
2 カタリ・カタリ
3 サンタ・ルチア
4 愛の砂
5 花咲く丘に涙して
6 愛の花咲く時
7 月影のナポリ
8 君に涙とほほえみを
9 愛の歌
10 真夜中のキス
11 雨
12 しあわせがいっぱい
13 雨
14 禁じられた音楽
15 アリヴェデルチ・ローマ

マンドリンによるイタリアンシネマ名曲集 (CD)


ナポリ・マンドリン・オーケストラ 2017/3/22 2,750円(税込)

[トラックリスト]
1 海の上のピアニスト
2 ニュー・シネマ・パラダイスより「愛のテーマ」
3 カルロ・ルスティケッリ作品メドレー(ブーベの恋人他)
4 イル・ポスティーノ
5 マカロニ・ウェスタン・メドレー(夕陽のガンマン他)
6 ライフ・イズ・ビューティフル
7 フェリーニのアマルコルド
8 ゴッドファーザー愛のテーマ (日本盤ボーナストラック)

Primavera~イタリアの春~ (CD)


マンドリン:マウロ・スクイッランテ 2020.2.26 2,750円(税込)

[トラックリスト]
1 五月だった
2 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
3 春の牧歌
4 アヴェ・マリア
5 春の微笑み
6 ヴィヴァルディの四季より「春」第3楽章「アレグロ」
7 ブエノスアイレスの春
8 美しい春
9 春の花
10 最初の太陽の花
11 ノクターン
12 悲しみの聖母
13 帰れ五月
14 「プラテーロと私」作品190より「春」
15 タランテッラ
16 去りゆく五月

音楽本2冊はお正月じっくり読みたいと思います。
CDは私の趣味のマンドリンの音楽で、いずれもナポリ・マンドリン・オーケストラ最新の3枚です。

家内のマイナポイント申請(20,000ポイント)はこれから、また国とは別に当市でも独自にマイナポイントを付与(3,000ポイント)するとのこと、家内と私合わせて合計46,000円分となり、有難く利用したいと思います。

関連ブログ:
マイナポイント第2弾の申込み (2022.08.24)

立川マンドリンクラブ第40回定期演奏会

2022年09月29日 | 音楽


立川マンドリンクラブでは来る10月29日(土)、たましんRISURUホール(立川市市民会館大ホール)にて第40回定期演奏会を開催致します。


今年のテーマは「輝け!」です。
コロナや戦争、自然災害など何かと暗い話題の多い世の中ですが、未来に向かって心を明るくする曲を演奏してご来場者、演奏者ともども少しでも元気な気持ちになれればと思い、私も精いっぱい心を込めて演奏致します。

コロナ禍のなかどうかご無理のない範囲でご来場いただきたいと存じます。
またご来場の際は感染予防対策にご協力くださいますようよろしくお願い申し上げます。


マンドリン レボリューシヨン (CD) を聴く

2022年04月14日 | 音楽


2017年06月25日のブログ、「聴いてみたいマンドリンCD (2)」で取り上げました高柳未来(みき)さんの「マンドリン レボリューション」を入手しましたのでさっそく聴いてみました。

このCDは16曲すべて選曲が飛び抜けて素晴らしいです。
中でも萩原朔太郎作曲「機織る乙女」、斎藤秀雄作曲「蚊トンボ」を聴いてみたかったのです。

「機織る乙女」は詩人朔太郎唯一のマンドリンオリジナル作品で、この曲の最後はイ長調主和音(Aコード)に不協和音程「ソ」が混じって終わっています。
故意なのか間違ったのか今となってはわかりませんがこのCDでは原譜を忠実に再現して演奏されています。
朔太郎は敢えて不協和音とすることで糸の切れる様を模したかったのかも知れません。
「私の希望は音楽家になることであった。もし私に少しでも音楽の天分があったら、勿論私は音楽家になる筈であった。」とは朔太郎36歳の言でした。

指揮者、チェリストであった斎藤秀雄作曲の「蚊トンボ」はJMU会報No.113に添付されたとても愛らしいマンドリン二重奏曲です。


か弱い蚊トンボの飛ぶさまが実に巧みに表現されています。
決して難易度の高い曲ではありませんが、実際楽友と二重奏してみますと合わせるのに相当苦労します。

奏者、高柳未来さんは1987年生まれ、マンドリンを久保田孝氏に師事、使用楽器は日本の名器、落合です。


演奏はメリハリの利いた男性的な感じのする弾き方で、これからまだまだ伸びる方だと思いました。

CD付属のライナーノーツ、「マンドリン小史」と銘打ったJMU副会長、工藤哲郎氏の解説が非常に充実していることもこのCDの価値を高めていると思います。


スプリットの踊り

2022年03月09日 | 音楽


Splitsko koloまたはSplitsko ples (英訳Split dance、スプリットの踊り)というタランテラの曲があります。
スプリット(スプリトと表記される場合もあり)は首都ザグレブに次ぐ東欧クロアチア第2の都市で、クロアチアはアドリア海の真珠と言われるドゥブロブニクやプリトヴィツェ湖群国立公園、スプリットにはディオクレティアヌス宮殿など有名な世界遺産を有する人気の観光地として知られています(いずれも覚えにくい名称!)。

タランテラは3/8または6/8拍子の舞曲で、踊り手はフォークダンスのように円い輪になって踊ります。
曲の後半になると次第にテンポが速くなります。
マンドリンで弾いてみたくなり、譜面がありませんので耳コピーで採譜しギター伴奏をつけて二重奏に編曲しました。



楽譜作成ソフトのスコアメーカー8Proと外部マンドリン音源を使った電子演奏です(実演奏ではありません)。
上の画像はスプリットのディオクレティアヌス宮殿(2010.10撮影)です。
いずれホームページの「マンドリンで弾いてみよう!」のほうにも掲載しようと思っています。(追記:掲載済み)

カラーチェとムニエルのマンドリン楽譜

2021年11月12日 | 音楽

左:ラファエレ・カラーチェ(一世)、右:カルロ・ムニエル

マンドリンを弾く人でカラーチェやムニエルを知らない人はよほどの初心者でない限りいないことでしょう。
地味なムニエルに比べて派手なカラーチェの方が知名度が高いかも知れませんが。
ラファエレ・カラーチェ(Raffaele Calace、1863-1934、イタリア)はマンドリンの製作者、作曲家、演奏家、一方カルロ・ムニエル(Carlo Munier、1859-1911、イタリア)はマンドリンの作曲家、演奏家でした。
共にほぼ同時代、日本で言えば江戸末期にナポリで生まれたマンドリンの巨匠で、ムニエルはマンドリンの父と称えられマンドリン教則本の編纂でも知られ、一方カラーチェ製作の楽器カラーチェはマンドリンの三大名器の一つに数えられ特に日本のマンドリニストに高い人気があります。
ラファエレ・カラーチェ一世はカラーチェ家4代目の製作者で、現在は同名の6代目二世とその一人娘である7代目アンナマリアが楽器製作を継承しています。

カラーチェ作曲のマンドリンオリジナル曲はそのほぼ全作品の楽譜をネットからフリーダウンロードすることができます(ここ)。

また日本では今は絶版になっていますがカラーチェの全作品を集めた大作、カラーチェマンドリンアルバム全9巻が1974年から約10年の歳月をかけて発売されました(日比野俊道編、水星社発行、音楽之友社発売)。

カラーチェマンドリンアルバム(第1巻)

ネットとアルバムの1から188までの全作品番号を詳しく比べてみますと両者に相違があるようです。

・ネットのみ欠番の作品番号 :99、100、109、129、158、174
・アルバムのみ欠番の作品番号:77、91、139、159、188
・両方ともに欠番の作品番号 :50、69、82、83、117、153、156

なおネットでは作品1~10はまとめて作品15として掲載されています。
さらに残念なことにこのアルバムには多くの誤植が指摘されており、今日ネットからより原版に近い形で信頼性の高い楽譜が入手できることは有難いことです。

一方ムニエルの作品は作品番号のついている288作品および作品番号のない曲についてネットのIMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト、International Music Score Library Project)に全部ではありませんが掲載されており、フリーダウンロードすることができます(ここ)。

作品番号のついている曲について5年前の2016年には40作品程度の曲しか掲載されていませんでしたが、現在では80作品と倍増しかなり充実してきた感があります。
マンドリン専門誌、季刊「奏でる!Mandolin」によれば、これは日本人篤志家の方々が未掲載の曲を丹念に調査・収集しアップされてきた地道な成果の賜物とのこと、そのご尽力に頭が下がります。

遺された作品の数としてはカラーチェよりムニエルのほうがかなり多いことがわかります。
カラーチェの曲は弾くのに難しい華麗な大曲が多く、一方ムニエルの曲は教則本を始めマンドリンの手ほどきを目的とした作品が多く、カラーチェの曲に比べて比較的弾きやすい曲が多く見られます。
いずれにしてもこれら両大家の作品は私たちマンドリニストにはまさにかけがえのない大切な宝物であることに違いはありません。
共にYouTubeでも両者の多くの作品を聞くことができます。

関連ブログ:
マンドリンの父、カルロ・ムニエルの楽譜(2016.01.16)
カラーチェのマンドリン作品(2011.06.17)




18世紀生まれのマンドリニスト 3

2021年07月05日 | 音楽


18世紀に生まれ活躍したマンドリニストの紹介です。
生誕順にその2からの続きです。

Giovanni Battista Gervasio (ジョバンニ・バッティスタ・ゲルヴァシオ、 
 c.1725-c.1785)

ナポリ生まれのマンドリン作曲家。
西暦年の前のc.(circa)は「頃」、「およそ」を表しています。
Gimo Music Collectionに作品があります。
Gimo144(Mandolin Sonata in D Major)の楽譜と演奏です。



Giovanni Francesco Giuliani (ジョヴァンニ・フランチェスコ・ジュリアーニ、1760-1818)

フィレンツェ西の港町リボルノ生まれのヴァイオリニスト。
マンドリンを含むいくつかの器楽室内楽曲を作曲しています。
没年については1820年説もあります。

Mandolin Quartet in A Major (レコード) 


Mandolin Concerto in F


Leonhard von Call (レオンハルト・フォン・コール、1767-1815)


イタリア生まれのマンドリンとギターの名手。
世界音楽全集「マンドリン・ギタア曲集」第26巻(大河原義衛編、春秋社、1931年)にマンドリン、ギター二重奏曲「変奏附歌謡調」が収められています。


Giovanni Hoffmann (ジョバンニ・ホフマン、1770-1814)

ウィーン生まれのマンドリン作曲家であり奏者。

Giovanni Hoffmann: Quartet A-Dur for Mandolin, Violin, Viola and Cello


Johann Nepomuk Hummel (ヨハン・ネポムク・フンメル、1778-1837、スロヴァキア)


モーツァルトの家に住込み2年間に渡ってピアノを師事しました。
ハイドンにオルガンを学び、またベートーヴェンと親交を結びました。
生前にあってはヨーロッパ最高の作曲家、ピアノ奏者の一人に数えられ、ベートーヴェンと並び称される巨匠の一人として音楽界に君臨しました。
シューベルト、メンデルスゾーン、ショパンらと交流を持ち、かつ多大な影響を与えました。

マンドリンとピアノのためのソナタ ハ長調Op.37a



マンドリン協奏曲 ト長調S.28 第一楽章


18世紀生まれのマンドリニストについてはこれで終了、いずれ1~3をまとめて整理しHPのマンドリン玉手箱に掲載する予定です。

次は19世紀生まれのマンドリニストについて調べたいと思います。

関連ブログ:
18世紀生まれのマンドリニスト 2 (2020.03.22)
18世紀生まれのマンドリニスト (2018.08.28)


マリア・シヴィッターロのマンドリン演奏動画

2021年06月26日 | 音楽


久々にマンドリンネタの登場です。

マンドリンの女王、マリア・シヴィッターロ(1891-1981、イタリア)の非常に貴重な演奏動画です。
長年探し続けていましたが今まで見つけることができませんでした。
彼女の写真や肖像画もこれまでほとんど紹介されていません。
今回、演奏はもちろん、お顔や声まで残っていたとはとても驚きです。
動画は二つあります。


演奏している曲はヴィヴァルディ(1617-1714 、イタリア)作曲「マンドリン協奏曲ハ長調RV425」です。


冒頭に演奏している曲はザルヴァトール・レオナルディ(1872-1938 、イタリア)作曲「シチリアの想い出」です。

往年の童謡歌手、平井英子さん亡くなられる

2021年05月26日 | 音楽


童謡歌手の先駆け、平井英子(ひでこ)さんが2月21日老衰のため104歳で亡くなられたことが5月13日各紙一斉に報じられました(NHK NEWS WEB(動画)、産経新聞読売新聞Yahoo!ニュース朝日新聞Digital日本経済新聞共同通信社など)。

平井さんは1918年生まれ、現在の東京都新宿区出身、7歳で幸田露伴の妹幸田延子に師事しピアノを学び、作曲家の中山晋平の門下生となり1928年ニッポノホン(日本コロムビアの前身)から童謡歌手としてデビューしました。
日本ビクター(現在のJVCケンウッド)の創立と同時に専属第一号として童謡歌手の先駆けとなりました。

東京都練馬区の高齢者施設に入居されていましたが、関係者によると亡くなる前はだんだんと食事を取らなくなり眠るように息を引き取られたそうです。
20代半ばの頃ビクターに所属していた専属の作曲家、鈴木静一氏(1901-1980)と結婚、関係者が打ち合わせなどで鈴木さんの家に行くと英子さんがレモンティーを淹れて書斎まで持っていかれたそうです。

鈴木静一氏は幅広い作曲活動の中でマンドリンオリジナル曲の作曲家としても非常に著名で、私も氏の指揮で定演でマンドリンを演奏したりマンドリン合宿にご一緒したことがあります。

2014年にビクターエンタテインメントが平井さんのベストアルバム「スター☆デラックス 平井英子」を制作・発売しました。


アルバム制作にあたり当時平井さんのもとを訪れた音楽関係者によると、認知症が進んでいたため会話は難しかったようですが、収録曲「ブルー・ハワイ」について「ご主人の鈴木さんがアレンジされた曲ですよね?」と聞くと目を細めて喜んでおられたそうです。

平井さん歌唱の歌はYouTubeにたくさん残っています。
特に注目される曲には
茶目子の一日
 (1929年、11歳) 作詞・作曲:佐々紅華
 平井英子さんの代表作、ご自身も大ヒットしたこの曲が特にお気に入りだったそうです
煙草屋の娘
 (1937年、19歳) 作詞:薗ひさし(鈴木静一のペンネーム) 作曲:鈴木静一
ブルー・ハワイ
 (1938年、20歳) 作詞:L. Robin 作曲:R.Rainger 編曲:鈴木静一
姑娘可愛いや
 (1939年、21歳) 作詞:薗ひさし 作曲:X.Cugat 編曲:鈴木静一
森の音楽
 (1941年、23歳) 作詞:薗ひさし 作曲:E.d.Lazzaro 編曲:鈴木静一
 この曲はイタリア民謡‪Reginella Campagnola(村の娘)として有名です‬


往年の童謡歌手としては川田正子・孝子姉妹が余りにも有名ですが童謡歌手の先駆けとなったのは平井英子さんでした。
当時の歌唱法は声を張り上げて歌う独特な歌い方でした。
私は子供時代の歌よりも自然な歌い方をしている娘時代の歌が好きです。
ここでは「森の音楽」を聴いて偲んでみたいと思います。
ちょうど鈴木氏とご結婚される少し前の頃だったでしょうか。



Pastorale Siciliana

2021年01月08日 | 音楽


シチリア民謡にPastorale Siciliana(シチリアの牧歌)というとてもとても美しいシチリアの古謡があります。
どうしてもマンドリンで弾きたいと思いましたが楽譜がありません。
お正月にこの曲を耳コピーで採譜し新たにギター伴奏を付けて二重奏にしてみました。



楽譜作成ソフトは使い慣れたスコアメーカー8Proを、動画編集ソフトはWin10内蔵のビデオエディターを初めて使用しました。
楽譜全曲はHPの「マンドリンで弾いてみよう」の方に掲載しました(ここ)。

ことのほかシチリア民謡が好きでたくさんのシチリア民謡を集めてはPCに保存しています。
この曲はシチリアの古謡と言っても現代にも通じるほど曲が洗練されていて民謡独特の古さ、泥臭さをあまり感じさせません。

弾くのに難しくはなくちょうど良い弾き初めになりました。

関連ブログ:
「シチリアの朝の歌」をヴォーカルで (2018.03.01)
シチリア民謡 「シチリアの朝の歌」(2014.10.03)
シチリア民謡 (Folklore Siciliano) (2011.08.23)

夢の電子マンドリン楽団QAZの実現に向けて

2020年10月14日 | 音楽


楽譜作成ソフトでマンドリン曲の楽譜を作成しそれをそのソフトを用いてそこそこきれいなマンドリンの音色で電子的に鳴らせる方法をHPにアップしました。

過去に本ブログで断片的に書いてきたものを整理しまとめたものです。
内容は
1 はじめに
2 音源の正体
3 外部マンドリン音源を求めて
4 外部音源をPCに取り込むには
5 楽譜ソフトで鳴らす場合の問題点
6 いくつかの編曲作品等
7 おわりに

最後にいくつかの作品例も載せました。
私のスキルでは難しいことが多くまだまだ完成とは言えません。
今後もライフワークとして検討を重ね改訂してゆきたいと考えています。


萩原朔太郎とマンドリン

2020年09月15日 | 音楽


日本近代詩の父と言われる萩原朔太郎、私は詩にはまったく興味がありませんが、趣味でマンドリンを弾きますのでこの大詩人がマンドリンにも秀でていたことに少なからず関心と興味がありました。

萩原朔太郎(1886-1942)

手元に前橋文化館特別企画展を記念して出版された2010年発行の「萩原朔太郎の音楽」と題する96頁の書籍があります。


朔太郎は音楽に関しても断片的にいろんな雑誌等に多数著作を遺していますが、氏の音楽、殊にマンドリンに関して豊富な写真や楽譜を含んでこれだけまとまった資料は他にないと思われます。

書中の音楽年譜によりますと朔太郎は17歳旧制中学のとき銀座十字屋で父よりマンドリンを買い与えられました。
25歳のときには比留間賢八、田中常彦、サルコリといった当時のそうそうたる人物にマンドリンを習い、29歳のときマンドリン合奏団「ゴンドラ洋楽会」を組織しました。

この「ゴンドラ洋楽会」は後に「ゴンドラマンドリン倶楽部」、さらに「上毛マンドリン倶楽部」と改称され、現在の群馬交響楽団や前橋マンドリン楽団、群馬マンドリン楽団、高崎高校マンドリンオーケストラの源流になったと言われています。

氏の作曲作品にマンドリン独奏曲「A WEAVING GIRL(機織る乙女)」、親友の室生犀星の詩に曲をつけた「野火」が知られています。

機織る乙女 自筆譜の冒頭部分


「野火」は楽譜が遺っておらず口伝で伝わって後世採譜されたそうです。


(野火のYouTube動画がうまくこのブログに貼り付けられません。演奏動画はお手数ですが右記URLにアクセスしてご視聴ください → https://www.bilibili.com/video/av7387798/ )

朔太郎はマンドリンの指揮者、奏者、作・編曲者としてだけではなく
・マンドリンを知らない人のために(ゴンドラ洋楽会入会案内)
・マンドリン奏法の要訣
・マンドリン練習者へ
などの資料も著しています。

朔太郎は1922年刊行の「新しき欲情」の中で「七の属和弦に於て」と題して、音楽が属七和音から主和音へと解決を図るがごとく現実世界においても不安から安心への解決の準備が必要なのではと語っています。
音楽の専門知識として和声法を習得してこそ表現できる内容と思います。

朔太郎の娘、萩原葉子(1920-2005)の著書「父・萩原朔太郎」によれば、朔太郎は晩年自宅で晩酌を終えたあと葉子さんにマンドリンとギターを用意させ朔太郎がギター、葉子さんがマンドリンで合奏をしたそうです。

朔太郎が葉子さんに買い与えたマンドリン

萩原葉子の著書は「父・萩原朔太郎」のほか「天上の花」、「花笑み」、「束の間の午後」、「蕁麻の家」、「閉ざされた庭」、「輪廻の暦」、「朔太郎とおだまきの花」などを読了しています。
すべて自伝小説となっています。
葉子さんのご子息、萩原朔美(1946-)は多摩美術大学名誉教授、前橋文学館館長で著作も多数ありますが、その中には「死んだら何を書いてもいいわ 母・萩原葉子との百八十六日」があります。
萩原家親子三代、非常に複雑な家庭環境が垣間見えます。
前橋市では毎年朔太郎音楽祭が開催され、マンドリン合奏が演奏されています。

「私の希望は音楽家になることであった。もし私に少しでも音楽の天分があったら、勿論私は音楽家になる筈であった。」(朔太郎36歳の言)