紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「夜光曲 薬師寺涼子の怪奇事件簿」田中芳樹

2005年03月28日 | た行の作家
初・田中芳樹でした。しかもこの方がミステリーを書いて
いるなんて、まったく知りませんでしたし(^^;)。
…というか、これをミステリーといっていいなら、ですが。

“ドラよけお涼”とも呼ばれる、警視庁の警視・薬師寺涼子。
金にモノを言わせる超わがまま娘で、涼子の前には
ドラキュラさえもよけて通る、とあだ名される(なので“ドラよけ”)
警視庁の一人大量兵器。こんな涼子に仕えるのは、警部補・泉田くん。
破天荒な女王様と下僕のこのコンビ、なかなか笑わせてくれます。

新宿御苑の新緑が、一夜で枯れ木と化した。すわ生物テロか、
と色めく担当刑事をよそに、涼子は泉田とフランスから呼んだ
メイドのマリアンヌとリュシエンヌを従えて蛍観賞に出かけるが、
そこで人食いボタルに遭遇する。そして日を置かず、ネズミや
ムカデ、ハムスターなど動物たちが人を襲いはじめ…。

涼子が対峙するのは、まともな相手ではないようです(笑)。
誰もがさじを投げる涼子も、手段はどうであれ、基本的に
筋は通っているんですよね。謎解きは論理的ではないけれども、
スピーディーな展開とキャラクターの魅力で、充分楽しみました。


「夜光曲 薬師寺涼子の怪奇事件簿」田中芳樹(祥伝社ノン・ノベル)