プロ野球 OB投手資料ブログ

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鈴木健

2021-04-17 21:49:10 | 日記

1992年

3位では昨年の日本選手権で優勝の立役者となった鈴木健投手。今年こそ大洋ドラフト1位の小桧山の陰に隠れる格好となったが、ストレートはMAX148㌔という剛腕だ。社会人での実績もあり、即戦力になり得る素材である。

 

1993年

 

さすがに緊張した。5月4日の対巨人4回戦。4試合目の登板だったが、巨人戦登板は初めてで巨人の面々、常勝という宿命を背負って戦ってきた、あのユニフォームに、意識過剰となった。鈴木は巨人ファンだった。立ち上がりからコントロールが定まらない。先頭の岡崎を歩かせると、犠打のあと、連打を食らった。「特に気をつけなければ」と警戒していたはずの吉村に二塁打を打たれ、原にタイムリーを浴びた。2回にも先頭打者に四球。4回は、原への死球が失点を招いた。5回には岡崎に二塁打を浴びて、一死後に吉村を打席に迎えると、山本監督は鈴木をあきらめ小早川幸をマウンドへ。白星もなかったが黒星もなかった鈴木に、初めて土が付いた試合だった。「カーブはすっぽ抜けるし、コントロールは悪いし、真っすぐは走らないし…。スライダー主体の投球で活路を開こうと思ったんですが、それでもダメでした」山形県出身の朴訥とした若者は、東北人特有の粘りを発揮することができなかった。テレビで見続けていた巨人。好きだったチーム、あこがれていたチームと対戦していることが微妙に、精神を乱したのだろう。平常心で臨めなかったのが災いしたようだ。だが、失敗にクヨクヨしてはいない。范洋とした雰囲気を漂わせているが、実にしたたかで我慢強さを鈴木は秘めている。自主トレからキャンプ前半。同期入団のドラフト1位・佐藤剛が飛ばす。ブルペンでは隣り同士で投げるのだが、佐藤剛はビュンビュンと快速球を投げ込む。対照的に、鈴木はソロリソロリと投げ始めた。すぐに捕手を座らせながら低めに集中させるだけで、球速は抑えた。当然、注目は佐藤剛に集まる。それでも地道に、牛車のように肩作りに励んだ。目立たぬように、ハシャがぬように…。その調整の違いが、開幕からの立場の差となった。佐藤剛はリズム、フォームを崩して球の切れを失い、出遅れてしまった。しかし鈴木は一度、惨たんたる内容の投球をしても次には立ち直り、首脳陣の信頼を得たのだった。初登板が惜しかった。4月14日の対横浜戦(横浜)長富より先に先発。ローテーションの順序は北別府、川口、佐々岡に次ぐ4番目でスタート。6回に2点を失ったが4対2でリードしていた。勝利投手の権利を得て、あとを日本石油の先輩に当たる秋村に託した。しかし秋村が同点とされて、初先発初勝利は消えた。21日の対横浜戦(広島)では5回3失点で降板している。「早く勝ちたい」もちろん切実な願いだ。しかし、先発ローテーションを任されている限りは初白星も時間の問題だ。特に佐々岡が不調なだけに、鈴木の奮闘が期待されている。5月29日には、出身地である山形で対阪神戦が行われる。故郷に錦を飾れるチャンスが巡ってくるかどうかは分からないが、鈴木はその日を楽しみに待っている。


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