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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

伊藤宏光

2025-08-27 22:59:21 | 日記
1981年
入団4年目。一挙に飛躍しなければ男ではない。「10勝は石にかじりついてでも…。故障さえなければもっともっと。小さなカーブ、シュートに加え、今年こそフォークを完全にマスターしますヨ」持ち前の豪速球に加え、落ちるボールが加われば鬼に金棒だ。テンピ・キャンプでは藤江投手コーチとマンツーマン特訓だった。

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多岐篤司

2025-08-27 22:57:04 | 日記
1987年
地元西宮出身の左腕。甲子園には出ていないが、野球センスの良さを買われていた。右打者の内角低めをつくストレートに威力。その一方、しなやかさのある打撃にも非凡さを秘めている。どう育っていくか。2、3年後に注目。


1988年


同期の嶋尾、真鍋に続けと努力の毎日。だがプロ人生は始まったばかり。じっくりと腕を磨けばいい。一時、スリークォーター気味にしたフォームも本格派に戻した。左腕先発陣に食い込む日を夢みて練習に次ぐ練習を。


1989年


昨年、5か月間アメリカに野球留学。急成長を遂げて帰ってきた。今年の注目株の一人。活躍が楽しみな貴重な左腕だ。


1990年


若手ながら投球術にはキラリと光るものがあるだけに、早く出てきて欲しい一人。4年目。必死で同期の嶋尾を追う。


1991年


福間の抜けた穴を埋める左腕として成長が待ち遠しい。同期、同県人の嶋尾との切磋琢磨で。頑張れ。


1992年


投手力の充実には欠かせない左腕として、いっそうの成長が望まれる存在。プロ6年目の今季こそ奮起の年に。熱い注目に応えて、栄光のマウンドへダッシュ。


1993年


左投げで長身。ピッチャーとして恵まれた体型を生かして今季こそ奮起の年に。同期の嶋尾投手の活躍も大きな刺激材料。7年目をラッキーセブンとするのは、自らの左腕だ。


1994年


登板数は少ないが、ヤクルトの強力打線を向こうに、3イニングを1安打に抑える無失点ピッチングを披露。左の中継ぎのワンポイントとして急浮上。サイドやスリークォーターから投げ分ける多彩な変化球は切れ味抜群だ。

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福家雅明

2025-08-27 22:50:39 | 日記
1983年
昨シーズン、報道陣からインタビューされても、はずかしそうに照れて下を向いた福家もことしは胸を張って堂々としている。それだけ自信をつけたということだ。長身からくり出す速球には威力があり、カーブも大きい。小山コーチからフォークボールとパームボール(落ちタマ)を伝授され一段と幅広いピッチングが出来るようになった。

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高橋顕法

2025-08-27 22:47:00 | 日記
1996年
広島入団当時に、なんと契約金を辞退したエピソードを持つガッツマン。己の道は己で切りひらく心意気は健在。今年は公式戦初出場、そして念願の1勝をあげることが目標。


1997年


ランナーを背負いながら要所を締める粘投には高評価。ジュニア・オールスターゲームにも出場し、全ウエスタン6投手の完封劇の5番手として好投。全ウエスタンの6連勝に貢献した。今季は、持ち前のねばり強さで初めての一軍のマウンドへ。


1998年


ランナーを背負っても諦めない我慢のピッチング。要所をていねいに締める粘投は健在。今季は、球威を磨いて晴れのマウンドへ。5年間、ファームで流した汗を財産に。目指せ、一軍。

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中田良弘

2025-08-27 22:44:24 | 日記
1981年
ジョン・トラボルタにそっくりの甘いマスクで仇名は「ジョン」激しい気性は、およそ顔にそぐわない。高2当時、右ヒザ損傷で片足しか自由にならなかった時でも、チームがピンチとなれば中田はマウンドに立った。右ヒザはしっかり板木をそえながら…。こんな闘志の持ち主がことしの阪神にはとくに必要なのだ。「プロはさすがです。ただ球を投げるだけではダメ。サイン・プレー、フィールディングでもいままでと違った厳しさが要求される。覚えるのに必死です」自信満々、マウンドに立てば、さっそく藤江投手コーチから、球種の握りがわかるためグラブで隠すよう、矯正された。ノックを受けポロリとこぼすと、久代コーチにバットで思いっきり尻をなぐられた。次元の高い厳しい練習の中から、中田は一球にかけるプロのすさまじさをジックリ学んだという。「僕だって新人王を狙います。原さんや竹本と真っ向から競いたい。出番を勝ち取るため、死にもの狂いでやりますヨ」過去、原には6打数無安打に封じている、得意のカーブを多投。右の親指はコブラの頭のように変形した。コブラ指で三振の山を築け!


1985年


「完投勝ちがしたい」56年新人ながら6勝5敗8S。しかし、その後、肩を痛めて鳴かず飛ばず。「ボクは新人の時から不思議と救援が多かった。完投したのは4月11日の巨人2回戦でプロ入り初先発、初完投、初敗戦だけ。だから完投勝ちはゼロなんです」昨年12月、由美夫人と結婚。元劇団女優でテレビ必殺シリーズにも出演した美人。そら、はりきるよネ。


1986年


シーズン途中にリリーフから先発に回り、見事に復活。優勝に大きく貢献する12勝の勝ち星をあげた。また、昨シーズン、待望の2世も誕生し、公私ともに充実している。中田が復活した最大の原因は、投球リズム・テンポのよさだ。12球団でも№1を誇る打線の攻撃リズムを狂わさないようなピッチングを心がけたおかげで、少々の失点もすぐ取り返してくれる。ツキも味方したようだが、ツキだけではないことは確かだ。安定したストイックなフォームからくり出されるストレート、変化球は、ことしも威力充分だ。むしろ、課題は調子に乗りすぎないこと。投げ過ぎ、勝負の早さを克服し、マウンドでももう少し余裕が出てくれば、もっと勝ち星も増えそうだ。


1991年


見事復活を遂げ、10年目の節目は2桁勝利で飾った。今年は抑えの要として先発陣を盛りあげる。マウンド上でフィーバーする中田ダンスは、タイガース勝利のバロメーターだ。


1993年


若手投手陣の陰にかくれて、なかなか登板のチャンスがなかった昨年。再起を賭けてファームでじっくりと調整。今季は開幕一軍返り咲きを狙う。


1994年


勝ち星こそなかったものの、往年の軽快なピッチングが徐々に復活。優勝にも一役かったベテランはまだまだ健在。一昨年のような投手王国再生を目指す若手投手陣の援護はまかせろとばかりに意気軒昴だ。

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多岐篤司

2025-08-27 07:48:19 | 日記
1986年
「意外だけれども、うれしい」と、多岐投手。広島以外の他球団からの打診はあったが、一番熱心だったのは近鉄。だが、創立四年目の神戸弘陵から初のドラフト。「投手としてならプロ入りでもいいと思う」と、高木監督は、早くも賛成?バッティングがよくて、通算・350(7ホーマー)打撃に関しての(プロの)調査が多かったそうだ。投球フォームは「近藤(享栄)よりきれいで、元巨人の新浦投手にそっくり」ストレートは最高132㌔。今夏、県予選で投打に活躍、ベスト8。「前向きに考えます」目標は新浦投手という。

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高橋顕法

2025-08-27 07:35:59 | 日記
1998年
投壊に悩む阪神の入れ替え人事で、思わぬドタバタ劇が生まれた。八日、一軍昇格が決まった左腕・高橋だが、つい先日、サイドスローへの転向を言い渡されたばかり。一軍昇格と言われても「上から投げるんでしょうか、それても横からでしょうか」と本人は真剣に戸惑ってしまったのだ。遠征先の福岡から鳴尾浜への合宿へ帰って来た高橋。前日の深夜に聞かされた一軍昇格に喜び爆発かと思ったらとんでもなかった。「うれしいというのもありますけど、昨日(七日)からサイドスローの練習を始めたばかりなんです。上から投げるか、横から投げるか、どうしようかな」六年目の春も頭の中はパニック寸前?高橋のサイドスロー転向は六日に決まったばかり。二軍が福岡遠征へ出発する直前、鳴尾浜を訪れた一枝ヘッドが古沢二軍投手コーチと協議。左肩痛でいまだに投球を再開出来ない田村に代わる左のワンポイントをどうするかという中で、元来のクセ球の威力を最大限に生かして代役にという意味での転向決定だった。昨年のオープン戦でサイドスローを試みたことのある高橋だが、その後は封印。オーバースローで通してきた。「サイド転向には納得してますし、最終的にはそうしたい」と高橋。前日、福岡・鷹の巣でサイドから50球の投球練習を開始した。「自分ではずいぶん下から投げているつもりでも結構上から出ているんです」これからジックリ形をつくっていこうと考えてた矢先の朗報も「えっ、自分が」が正直な気持ちだった。「明日(九日)相談してから決めます」と高橋は、室内練習場で中谷を相手にキャッチボールでは横から、投球では上からの快速球を披露。首脳陣はサイドスローでの登板を狙っているが、それにしても練習一日の急造投手の昇格。図らずも一軍投手陣の苦しさを露呈した昇格劇だった。

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源五郎丸洋

2025-08-27 07:24:54 | 日記
1986年
白組の先発・源五郎丸が3回を1安打に抑え切った。球威はさほどないが、ストレート、カーブともコントロールに進歩。新しく身につけた小さく曲がるスライダーがよく決まった。「僕ももう五年目。何とかきっかけをつかみたい。スライダーをうまく使えるようになって、ピッチングの組み立てに変化をつけられるようになりました」と源五郎丸。投球に緩急をつけ岡田を外のカーブでひっかけさせた。一軍へあと一歩だ。

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多岐篤司

2025-08-22 21:09:26 | 日記
1988年
遠山よりエエやないか…。15日の紅白戦、3回を投げて2安打1失点(自責0)の成績だったが、村山監督は「速球は遠山にヒケは取らんし、ピッチングのうまさはそれ以上や。それに器用なところがいい」とベタボメ。神戸弘陵高からドラフト4位で入団、2年目の今季は米国A級のカリフォルニア・リーグに野球留学、帰国したあとも教育リーグに参加するなど、ほとんど本場でプレー。その財産を安芸で披露したわけで、この紅白戦でもけん制で二つアウトを取る器用さも見せた。「まだまだ、課題はたくさんあります」と本人はいたって控えめだが、首脳陣の評価はウナギ上り。ヤング左腕の成長が楽しみだ。

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多岐篤司

2025-08-22 20:25:51 | 日記
1988年
来季は左カルテットー。阪神の紅白戦で秘密兵器が登場した。今季米国へ野球留学していた多岐。3回を2安打1失点。左からの本格派で、スクリューボールとカーブの配球でなかなかの威力。「米国でそこそこやれたのもうなずける。遠山と同じぐらいの力はある。来季が楽しみだ」と村山監督を喜ばせた。中日でも米国帰りの山本が頭角を現した。阪神でも多岐が一軍スタッフに加われば、遠山、猪俣、仲田とで左カルテットの誕生となるのだが…。


1989年


昨秋の米教育リーグでチェンジアップをマスター。一気にヤング左腕トリオに割って入りそうな期待の大型サウスポー。

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阿井英二郎

2025-08-17 13:35:06 | 日記
1986年
オープン戦初登場のヤクルトは先発宮本と抑え候補としてテスト登板した阿井の好投が収穫。阿井は荒れ気味ながら2回を被安打0、2奪三振。球威のある直球、スライダーで抑え込んだ。

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中田良弘

2025-08-17 13:31:48 | 日記
1981年
阪神の中田は二回、先頭のマニエルに中前打されたほかは、十一人の打者を迎え、紅白試合とは見違えるピッチング。カーブが低めに決まったので、直球が生きた。大矢と岩下に2球投げたフォークボールもいいコースに落ちた。さほど球威があるわけではないが、練習より実戦向きだ。


1983年


キャンプ最後の紅白戦に中田と赤松が好投した。中田は3回を無安打、無四球に封じ、真っすぐが大分よくなってきた。カーブ、フォークボール、シュートも自分のものになりつつある」と満足そう。

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伊藤宏光

2025-08-15 09:52:32 | 日記
1982年
スコアボードに「伊藤」のプレートが現れた。スタンドからドッと声があがった。「ウム、きょうも勝てるッ」と、そんな声である。それは何よりも伊藤が勝ち星を計算できる投手として、首脳陣に、ナインに、ファンに「信頼感を与えている」という証拠以外の何ものでもなかった。中三日の登板で果たしてどうか?という危ぐは、しかし当の本人にはみじんもなかった。「(中四日の方が)日があきすぎて肩が軽すぎる。中三日の方がワン、ツー、スリーの感じで、この間隔の方がいいみたい」(本人)「ヤツ、中三日でウズウズしとるヨ」(加納コーチ)・完封ー完投…と乗っているからこそ答えるのかもしれないが、例えば7回、基への初球を谷球審にボールと判定され「いまの球のどこがボール?」とツカツカとホームプレートに近づいての主張は、これまでの彼にはなかった。一度、打たれずに止まらないというかつての性癖も影をひそめた。若菜の好リード、バックの好守と、力投すれば周囲もこたえる最高の連鎖反応が、伊藤を勝てる投手に仕立てあげているのだろう。「こっち(阪神)が点をとってくれるまで絶対1点もやらん。そんな気持ちで投げているのがいいのかなあ」4回まで二塁を踏ませないピッチング。5回と7回、いずれも高木嘉に痛打され、救援エースにあと2イニングはゆだねたが、ここ3試合の登板は25イニングで自責点が3。いま、だれがこの男に後ろ指をさせよう。広島で何点も何点もとられても野ざらしにされたのが、彼には楽になったのか。「監督サンがよく声をかけてくれるし、期待にこたえなイカンと思うし…オレにも責任感が出てきたのかな」8連勝と…波に乗る中で投げてそのプレッシャーをも押しのけた好投は自らの5勝目だった。負け数が七つ。チームは貯金ができたが自分は借金2。「その話、また今度に…」ニヤリと笑った顔に、もう風格がある。


どうもすんなりといかない。必ず自分で見せ場を作ってしまう。「柴田さんがいたら、また怒られているところです」自己最多タイの8勝目を挙げた伊藤は、そう言って頭をかくのだ。5回まではほぼ完ぺきの内容。それに呼応する形で味方打線が苦手の中日・郭を攻略し、実に7点の大量援護をくれた。本来なら左ウチワの完投、というより一人で試合をまかなって当たり前なのに、三塁側を埋めた中日ファンにも入場料分のサービスをしてしまう。実に人がいいのだ。場面は6回。コンコンと3安打を喫して1点を献上。この別人のピッチングに業を煮やした安藤監督が、小山コーチの霧払いを省略してマウンドへすっ飛んできた。「大量リードしたからといって気を抜くな!」えらい剣幕だ。そのペナルティーというわけか完投の栄誉は与えられず、8回から福間と交代させられて「勝っても喜べません」と試合後に頭をかくことになったわけ。試合前は一応、四日の巨人23回戦に2回1/3でKOされた屈辱を晴らそうと心に決め、また「きょう勝っとかんと念願の10勝到達が苦しくなる」と緊張していたそうだが…。右肩の故障を克服し、以前に比べれば安定性が増してはきているが、来季以降のスタッフを考えると、いつまでも№3や№4の立場に甘んじず、心技とも柱になってもらいたい。この日のように「一度は危ない場面がある」と首脳やバックに思わせるのは、自分にとっても損だ。


ふだん、あまり表に感情を出さない伊藤が救援で最後を締めくくってくれた山本と握手のとき、両ホオを無意識のウチに緩ませている。ついに手中にした「10勝」の金看板ー。「完投で疲れなかった」悔いはあろうが、とりあえず「2ケタ勝ったピッチャー」に仲間入りして来期以降の楽しみもふくらませた。9勝達成から二度足踏みして三度目の正直で念願の大台到達。「きょうの登板が(10勝マークの)最後の機会やと思うて…」と口を開いて「来年のこと思うたら絶対に10勝しとくべきだと僕なりに考えてたんです」と。隠し続けていた胸の内をも見せる。好敵手工藤に先に10勝を越され、昨年は新人中田の出現でかすみかけていた。今季五月、あまりのふがいなさに安藤監督の逆鱗に触れ、打たれても打たれても降板指令をもらえず「こんちくしょう!」と思ってから、彼はひと皮むけた。実の親でもこんなに責めない、という感じで伊藤の精神力を鍛えあげた柴田バッテリーコーチも、謹慎中の和歌山の実家で「やりおったか」と言っていよう。伊藤の10勝に「あれで完投できんとは…」と安藤監督は依然厳しい評価だがそこはこの10勝であぐらをかいてしまっては、という辛抱遠慮に違いない。とまれ、伊藤の10勝で安藤阪神に10勝以上達成の投手が四人(山本15、小林11、工藤、伊藤格10勝)がそろった。五十一年の江本(15)古沢(10)谷村、上田(各12)安仁屋(10勝)以来のそろい踏み。シーズン当初の「弱投」という酷評から脱皮できる日は近いのかもしれない。

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伊藤宏光

2025-08-15 09:16:29 | 日記
1982年
極道息子が鮮やかなまでに親孝行に変身する。9回二死を取ったところで池内にマウンドを譲ったが、伊藤はヤクルト打線をわずか2安打に抑え切り、チームに今季初の連勝と初完封をやってのけた。「勝負どころでインコースへ思い切って投げられた。カウントをどんどん積極的に取りにいったのが良かったです。とにかく勝てて良かった。一つも勝てんというのはほんとにつらいものですから」あと一歩で完封は逃したものの、5試合目の登板でやっと初白星をつかんで伊藤は会心の笑顔だ。工藤と並んで小林、山本に続く第3の投手と首脳陣から期待をかけられながら開幕以来3連敗。いわば投壊を招いた張本人という不名誉な立場に追い込まれていた。「今は先発だけじゃなく、抑えに回るケースもある。調整は難しいし、先発だけならいいんだけど自分たちで招いた結果だし…。とにかくいい投球をするのが先決。気持ちの切り替えを工夫して、早くいい投球をしたいとだけ心掛けていた」この夜の快投は、胸の内で燃やしていた意地が一気に表面に噴出したものだった。「完封したかったけど仕方ないです。まあ、これで自信が…」と伊藤が本来の姿を取り戻し、苦しかった投手陣にも明るい灯がのぞく。「球が8回ごろからうわずっていたね。9回杉浦が出れば次が長打の渡辺だし交代は予定していた。しかし、いいピッチングだった。後は伊藤に聞いてやって」これまでは苦虫をかみつぶしたような表情を続けていた小山投手コーチにも笑顔が戻り、阪神は投壊脱出へようやく一歩ステップを踏んだ。


151球目で最後の打者・小川を三邪飛に仕留めてプロ入り初の2試合連続完投で4勝目を飾った伊藤は、ガッツポーズもなく、マウンドの上で「あ、しんど」1回から9回まで、まさに波乱万丈のピッチングだった。初回、いきなり6点の大量援護をもらったものの前半は青息吐息。「四球だけは出したくないのでストライクを取りにいった」ところを狙い打たれてダウン寸前。しかし最近、めっきり成長した精神面の粘りを見せて、いずれもピンチを切りぬけた。ピッチングの方は百点満点とはいかなかったが、代わりに打席で大暴れ。初回の攻撃では今季24打数目の初ヒットでプロ入り初打点をマーク。3回には苦手のバントもうまく決め、4回にも右前打を放ち、1試合2安打もプロ入り初と初ものづくし。「いろんなことをやってるんですね。でもボクは何も…。大量点をもらってるし、絶対完投と、それだけを考えてました。とにかく完投できてよかった」悪いながらも要所を締める粘投での完投劇は一本立ちへの何よりの証明。新しい境地を開いた伊藤は白星街道を突っ走るチームに、さらに明るい材料を積み上げた。


六月三十日以来、月が二度変わった。その間に8連敗もあった。エース小林までが戦列を離れ、チームが最も苦しかったときに、二軍で汗を流すことしかできなかったもどかしさ。白星から遠ざかっていた47日間に、伊藤はプロとして、人間として、ひと回りもふた回りも成長したはず。いや、そうでなければならなかったはず。周囲の祈るような視線の中で、出された答えは見事なものだった。「小山さんに最初から飛ばせと言われてた」というだけあって、初回から全力投球。ストレートは球速141㌔を記録した。ただし力みすぎのおかげで、ボールは高く浮き、一死一、二塁のピンチ。「初回に3点もらっただけに、なんとか打線にこたえようと必死だったですよ」ここで幸いしたのは、皮肉にも定まらないコントロールだった。打者の頭のあたりを通るボールが幾つも。新ルールの適用されたパ・リーグなら、とっくの昔に退場ものである。「あれで大洋は的が絞れなかったみたい」(笠間)ボールをよけて、グラウンドに転んだ大洋の打者は、凡打の山を築くばかり。完投も…期待された矢先に代打ジョンストンと交代した。「100球は超えていたし、故障後間もないのに、無理はさせられんからね」と安藤監督。結局、山本に助けられて、48日ぶりの6勝目を記録する結果になった。「飛ばしすぎて、最後はへばってしまった。でも二度目の登板がここまで投げられたのがうれしい。肩?中日戦はこわごわだったけど、もうなんの心配もありません」すっかり汗のひいたその右手が、汗ビッショリの山本の右手に重ねられる。「カズさん、どうもすみませんでした」おそらく次の登板では、こんな光景を見ることもないだろう。

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関口朋幸

2025-08-15 08:48:19 | 日記
1981年
1.86メートルの長身から投げ落ろす140キロ超速球にシュート、カーブが得意球。今年はそれに「関口流スライダー」を加え投球の幅も増した。


「今年どうしても活躍してもらいたい投手」と上田監督はいう。ストレート、カーブ、シュート、チェンジアップが持ち球だが、この期待に応えようと新しい球種に挑戦中。「完成するまでいえません。たいしたボールじゃないんです…」と謙虚だが、内に秘めた闘志は十分。「何勝するという目標はいえません。ボクはまだ3勝しか実績がない投手なんです」あくまで控えめに語るが、目指す山田に向かって今年はピッチを上げることは間違いない。

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