1957年
高校選手の獲得に本腰を入れはじめた中日ドラゴンズでは十二日、桐生高の主戦、大島中投手(18)地元成章高の伊藤守捕手(18)と正式契約を行った。大島投手は5尺9寸5分、19貫5百、右投右打、オーバー・スローで真向から投げおろす速球とドロップとはいかにも大型投手にふさわしい球威を持っている。メガネをかけた風ぼうは杉下投手に似ており、北関東の高校球界では剛球投手として鳴らした。今夏の全国高校予選では三回戦で高鍋高に敗れたが、主戦投手で活躍するかたわら、四番打者をつとめ攻守に大物の片リンをうかがわせ、同校野球部の稲川監督は「プロへ入っても十分大成するだけの見こみがある」と折り紙をつけている。投手となったのは高校二年生のときからで、それまでは一塁手として打棒を振っていた。西鉄、国鉄、東映、大映らのプロ球団が激しい勧誘の手をのばしたが学校当局と本人の希望が実って、中日入りが実現したもの。
伊藤捕手は5尺7寸、18貫、右投右打で、県下の高校捕手№1として定評がある好捕手。昨年は坂口投手(現中日投手)とバッテリーを組んでいた根っからの捕手タイプでインサイドワークにすぐれている。とくに打力は大物を飛ばさぬ代わりに左右に打ち分けるシャープな打撃の持ち主。さきの対ハワイ高校戦では愛知県高校選抜チームの先発メンバーに捕手として出場するなど、実力が認められ、大島投手とともにドラゴンズの新戦力として将来が楽しまれている。