~高齢者のATM利用制限のニュースから考える~
警察庁が特殊詐欺対策の一環として
75歳以上の高齢者のATM利用上限を
1日30万円に制限する方針を検討している
というニュースが報じられました
昨年の特殊詐欺の被害額は過去最多を記録し
特に高齢者を狙った「オレオレ詐欺」や
「還付金詐欺」などが深刻化している現状を考えれば
何らかの対策が必要なのは間違いありません
しかし、一律で年齢による制限を設けることには
心の中に引っかかるものが残ります
年齢で線引きすることの問題点
75歳以上という年齢を基準に
ATMの利用を制限するというのは
たしかに詐欺被害の多くが高齢者であるという
データに基づいています
ですが、実際には75歳を過ぎても判断力に優れ
日常的にATMを利用している方も多くいらっしゃいます
そうした方々にとっては
自分の資産を自由に使えないことに
不便さや不公平感を覚えるかもしれません
また、年齢が若いからといって
詐欺に遭わないとは限りません
巧妙な手口にかかる危険性は
誰にでもあるはずです
洗脳された心理状態を断ち切る「仕掛け」を
では、年齢で制限する以外にどんな対策が
あり得るでしょうか
私が考えるのは
「高額なATM振込の前に、AI音声などを活用して
本人に再確認させる仕組みを導入すること」です。
たとえば…
-
「この振込は医療費・未納料金・還付金などと
言われていませんか?」 -
「“携帯が壊れた”“電話番号が変わった”と
言われていませんか?」 -
「警察や家族に相談されましたか?」
このような“詐欺あるある”なワードを投げかけることで
一度立ち止まって考えさせることができます
特殊詐欺の多くは
被害者が“言われるがままに”動いてしまう
心理状態に陥っていることが多いため
そこで「一呼吸おかせる」仕組みは
非常に有効だと思います
これは年齢を問わず
誰にでも適用できる柔軟で公平な対策では
ないでしょうか
大切なのは「守る」ことと「尊重する」ことのバランス
詐欺被害を防ぐことはとても大切です
ただし、やみくもに制限をかければいいという
話ではなく、その人の「判断力」や「尊厳」も
同時に守っていく視点が求められると思います
一律の制限ではなく、「一時的に我に返らせる工夫」を
高齢者を守りながらも
自由を奪わないバランスのとれた仕組みづくりが
これからの課題なのかもしれません