ザンデルリンク/シュターツK・ドレスデン「ブラームス交響曲第4番」

             

 ドイツの名指揮者ザンデルリンクがベルリンで亡くなったと報道されていました。98歳、2002年に引退していたそうです。

 ザンデルリンクは、シベリウス、ショスタコーヴィッチ、ブラームスのボックスを所有していて、たまに聴いていました。
 旧東ドイツ、共産圏指揮者らしいというか誠実に手堅くまとめる指揮者の印象です。シベリウスの暗くて美しい音色、ショスタコーヴィッチの重心の低いがっちりした演奏にも惹かれますが、何といっても出色は、ブラームスの交響曲第4番です。ブラームスでは1番~3番も奇を衒わない正攻法の演奏でよいのですが、有名指揮者の強力盤と比較すると若干密度の点で劣るような印象です。

 それが第4番となると、出だしのメランコリックなメロディから情感たっぷり、それが自然な音楽として流れます。この濃厚な4番に関してはこの自然さがとても大事でここをやり過ぎると気持ち悪くてこれだけで聴くのを止めたくなります。ザンデルリンクは静かで内向きの美しい音楽を節度を保って歌い上げます。後半の第3楽章、第4楽章の迫力も立派。絶品です。
 チェリビダッケとシュトゥットガルト放送響との演奏も素晴らしかったですが、あの細かな表情を積み上げたような緻密な演奏とは違い、もっとたっぷりとした大きな流れがあります。
 ザンデルリンク盤は、このドレスデンの後のベルリン交響楽団とのものが名盤の誉れが高いのですが、私はこちらに満足してこれまで新盤を聴くことはありませんでした。いつかベルリン響盤も聴いてみたいと思います。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« AAA「♯AA... 「二代目 ぐ... »