バーンスタイン/バイエルン放送響「モーツァルト レクイエム」


 大好きなモーツァルトの楽曲の中でこれまでその魅力がよく理解できなかったのがレクイエムです。曲の性格からして弾むようなモーツァルト特有の愉悦感がないのは仕方ないにしても、かといって短調の陰のある美しさも感じられない、どうしてこの曲は世間では名曲ということになっているのだろうかという感じでした。

 それが、このバーンスタイン晩年の指揮のDVDを観て、聴いて納得です。こんなに美しいメロディ、歌とオーケストラとの掛け合いの妙に溢れた曲だと初めて知りました。好みではないとはいえ、これまで10回以上は聴いてきました。ブリュッヘン、アバドの演奏が印象に残っているほうでしたが、このバーンスタインの演奏は初めてこの曲に触れた印象があります。えぇ!こういう曲だったの?という驚きです。特に、金管(トロンボーン?)のソロとバリトンが掛け合う箇所は鳥肌モノの感動がありました(当たり前だよ、これまで何を聞いていたんだよと呆れられそうですが)。
 私のような譜面の読めない素人リスナーには、こういう濃い口の味付けをした演奏でないとそもそも理解できない曲なのかもしれません。

 バーンスタインが亡き夫人の10周年に際し演奏したものなんだそうです。バーンスタインとモツレクだけではおそらく手に取らなかったと思うのですが、タワーレコードの横浜店でメモリアルイヤーにモーツァルトを聴くならこれと大推薦していたのでこの瞠目の機会に恵まれました。


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