北野新太「最終局」(「小説 野生時代」 2019年1月号)

 
 

 中村太地七段のツイッターの告知で知ったノンフィクション短編です。KADOKAWAが発行している「小説 野生時代」という月刊誌に掲載されています。

 王座戦5番勝負、10月30日にあった中村王座対挑戦者斎藤慎太郎七段の最終局。

 新聞の将棋コーナー、将棋雑誌などで読める観戦記は、専門記者だけでなく熱心なファンによるもの、芥川賞作家のものなどいろんなタイプのものがありどれも楽しめるのですが、これは勝負に挑む両者にインタビューしてそれぞれの立場からこの勝負にかける思いが綴られるもので、ちょっと切り口の違うノンフィクションになっています。

 角換わりという最新の研究の深さが試される戦型で、「▲4五角」という勝負手を編み出した挑戦者とそのすごく嫌な手を指された王座の想い。23ページの短い読み物ですが緊張感が張り詰めていて面白いです。

 ノンフィクションとしての出来がどうかというのはよく分からないのですが、両者の熱い想いがストレートに伝わってきて読みやすくて楽しめました。



 ところで、話しは変わるのですが、将棋つながりで21日に発売になった羽海野チカの「3月のライオン」14巻をさっそく読みました。内容は桐山の将棋はお休みで三月町の3姉妹もので私には若干退屈だったのですが、なんと、前作「ハチミツとクローバー」の花本、真山、野宮が出てきます(はぐ、あゆ、りかも会話の中で現状が紹介されます)。巻末おまけ漫画によると、それは12年前のハチクロ9巻で構想されていたものとか。また、3月のライオンの準備を始めたのはハチクロ7巻で竹本が自分探しの自転車旅に出た頃とか。

 うーん。私はハチクロが大好きで、第10巻64話の最後の18ページが漫画史上最高のラストシーンだと思っているのですが、ここの伏線は第2巻14話にあって、この息の長い回収にため息をついていたのですが・・・もしかして、今後の展開と作品のボリュームが全く分からなくなっている3月ライオンに、息の長い長い伏線としてハチクロが更に絡んでくるなんてこともあるかも・・・などと考えてしまいました。



 





.
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「うどん屋 大... 「丸仙」(武... »