バーンスタイン/イスラエルフィル「マーラー 交響曲第9番」

             

 アマゾンで予約していた85枚組のトスカニーニボックスは再々延期されて発送予定は6月上旬になりました。本当に作られるんでしょうか。

 食事の帰りに渋谷のタワーレコードに寄ったところ、ちょうどラトルのブルックナー9番のフィナーレが店内に流れていて補筆完成の第4楽章も良さそうで手に取りました。そうなると、ついで心が盛り上がってきて、1985年録音のバーンスタインのイスラエルフィルとのマーラー9番です。この話題盤については承知していたのですが、ベルリンフィル、コンセルトヘボウ、海賊盤のボストン響との9番が手元にあり、もうこれ以上要らないと整理していました。それが第4楽章を試聴したところ、脱力感のあるゆったりしたテンポでこれまで聴いてきたものと違いました。既出の2枚の演奏時間と比較しても実際に第4楽章は長くて、これは面白いかもと購入することにしました。

 弦の厚みに関しては、録音状態のためなのか分からないのですが、世界有数のベルリンフィルやコンセルトヘボウのものに比べると劣りますが、指揮者の想いが隅々まで行き届いている感じがします。最弱音の弦の美しさにはぞくっとします。表情付けも印象的で金管楽器のリズムの刻みや低音弦楽器の軋みなどこれまで聴いたことのない音が随所で聴かれました。

 聴き比べる気力がもうないので、ベルリンフィル盤、コンセルトヘボウ盤との違いはあくまで記憶に残るイメージなのですが、ちょっと雰囲気が違います。バーンスタイン特有の音楽にどっぷり浸かった陶酔感もありますが、静かで深い瞑想の音楽です。より晩年の死に近い。これは名盤です。


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