ウェルザー=メスト/クリーヴランド「ベートーヴェン交響曲第9番」


 久しぶりに新譜などのCDをまとめて聴きました。ここに音楽関係のメモを前回アップしたのが5月の連休なので半年ぶりになります。この間、全く音楽を聴いていなかった訳ではないのですが、娘の邪魔を受けない時間を見つけて本当にたまにという程度でした。

 今回のキッカケとなったのは、ブルース・スプリングスティーンの新作が「ボーン・イン・ザ・USA」以来のロックらしいロックアルバムで売れているという記事を読んだことでした。スプリングスティーンは大好きだった青春の音楽ですが、「USA」の後は「ネブラスカ」をロック仕立てにしたような中庸な音楽ばかりであまり興味を持てなくなりました。今回もパスかなあと思っていたのですが、「ザ・リバー」や「ライブ」を聴き直しているうちにEストリートバンド、特にロイ・ビタンやダニー・フェデリッチのオルガンやピアノの演奏、音を聴くだけでも価値があるかなと思い購入することにしました。

 感想は、随分昔のスタイルに近くなりましたが、やはり最近の音楽です。絶賛する方も多いようですが、個人的には好みではありません。特にプロデューサーの音作りが厚すぎるのが気になります。おそらくこれらの音楽をライブで聴くと印象も違うのでしょうが、この音作りではバックの演奏者はEストリートバンドでなくても誰でもよいと思えます。リック・ルービン、ジョン・ランドウのようなタイトな音作りのプロデューサーで聴きたい。大好きなだけに辛口になってしまいます。

 その他、久しぶりに行ったタワーレコード横浜店で購入したのは次のCDです。イーグルス「ロング・ロード・アウト・オブ・エデン」、フー・ファイターズの第4作・第5作・最新作、ボーイズⅡメンのモータウンカバーアルバム、ハイティンクとシカゴ響のブルックナー7番、ブレハッチのショパン前奏曲集、ウェルザー=メスト&クリーヴランド管のベートーヴェン9番。ロック・ポップは手書きPOPのコメントに惹かれて、クラシックは試聴の印象がよかったからです。

 どのディスクも良かったです。期待どおりの高水準の音楽です。初めて聴いたフー・ファイターズ、ブレハッチもこれからの新譜をチェックしたいと思いました。

 タイトルとしてどれをピックアップしようかと迷ったのですがベートーヴェンにしました。奇を衒わない正攻法の感動的な演奏です。フランツ・ウェルザー=メストについては以前のロンドンのオケとの運命か何かの映像で頭を振って演奏に酔っているような指揮ぶりを見て、若い兄ちゃん風指揮者のイメージを持っていました。その後はチューリッヒ歌劇場で音楽監督になったりと最近は評価が高いという記事を読んでいましたがディスクを聴くことはありませんでした。

 クリーブランド管弦楽団は、ドホナーニ時代に来日公演をサントリーホールで聴きました。ドホナーニはクールな演奏と読んでいましたが、熱い熱いベートーヴェンの運命と田園でとても感動しました。
 ドホナーニの後を受けてウェルザー=メスト5シーズン目で初めてのディスクなんだそうです。それも驚きですが、満を持してのディスクということでしょうか。

 第1楽章~第3楽章は、純音楽的でノーブルな演奏です。そして第4楽章。迫力のあるリズム、途切れることのない音楽が自然と盛り上がり、感動的なクライマックスを迎えます。独唱者、コーラスもいいです。ラトルのような刺激的なアタックを入れた演奏が流行りなのかもしれませんが、私は装飾を付けることによってブチブチ途切れるような演奏は好きではありません。

 このウェルザー=メストとクリーヴランドの演奏が他の高水準の合唱付と比較してどうなのかはよく分かりませんが、ベートーヴェンの音楽っていいなと改めて感じさせてくれた高揚感ある演奏でした。ウェルザー=メストも今後注目したい指揮者です。


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