多面体F

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わたしのコロナ体験記

2022年09月01日 | 日記

7月末にとうとう新型コロナに感染し、自宅待機生活を過ごす羽目になった。コロナが流行し始めて3年あまり、自分でできる対策として週3回の運動を欠かさず、タンパク質を通常より多めに摂取し免疫力を高める努力を重ねてきたのだが・・・。
わたしの住む区では、住民の5人に1人が感染(感染者数累計でみた割合)する時代なので、いつだれがどこで感染しても不思議ではなく、仕方がない、といえばそのとおりなのだが・・・。
覚えているうちに、体験記録を記しておく。
●無料PCR検査所

わたしの場合は感染の診断が出る3週間前に4回目のワクチンを接種したばかりだったからか、症状そのものは軽くてすんだ(人に話すと「ワクチンを打っても感染するんだね」と驚く人もいた)。
7月末の土曜の夜、少しノドが痛く熱を測ってみると7度9分もあった。あわてて手元の解熱剤を飲むと翌朝には7度2分に下がったので安心した。しかし時期が時期だけに、午前中外出したあと、15時すぎに近所の無料PCR検査所に行ってみた。数人の行列ができていた。
抗原抗体検査とPCR検査の2種を受けた。抗原抗体検査は、鼻に綿棒のようなものを入れ5-6回掻きまぜ粘膜を採る方法だった。PCRは唾液を2ccほど細い試験管に入れビニール袋に入れて提出する。どちらも個室の壁に貼ってある図解をみて自分で検査する方法だった。ときおり巡回するスタッフに「そこは違う」と言われることはあったが、基本は個人検査だった。抗原抗体検査は15分で結果が出た。陽性反応で都に相談するよういわれた。
「PCR結果は翌日18時から22時の間に、メールか電話がある」とのことだった。それも「22時ごろになることも多いので、そのつもりで」とのことだった。なおわたしはスマホを使っていないが、スマホのほうが連絡がつきやすいシステムになっているようだった。
抗原抗体が陽性だったので、翌日、もしやというところにいくつか連絡を入れた。また毎週土日に翌週の食材を買う習慣にしていたので、その点、買い置きがあり運がよかった。
さて月曜夜、予想外に早く19時ごろ電話とメールで連絡があり「やはり陽性だったので都と相談するように」とのことだった。
それで都の発熱相談センターに電話を入れたり、ウェブで少し情報を集める。ただ初めての体験なので、どこにどんな相談をすればよいのか、医療側がどんな体制になっているのか、見当がつかなかった。

●診療所での診断
どうやら医師の診断を受けないと何も始まらないということがわかった。それでウェブで近所で発熱外来のある診療所を3カ所調べた、1カ所は朝8時半から電話受付開始、2カ所は10時だった。
当然ながら朝8時半のところから電話したが案の定、話中。何度かかけて40分ごろにつながったが、すでに満員とのこと。「いったい何人くらい予約を取るのか」聞くと「発熱外来は、防護服着用の医師とスタッフが2人1組で診察する。しかしスタッフの感染も広がっているので、今日は0人とのこと」。それでは発熱外来の看板を掲げている意味がない。「すでに都の医療体制は崩壊しているのではないか」と発熱相談センターに電話を入れ、少し遠い診療所3カ所を紹介してもらう。うち1カ所は9時から電話予約開始でもう電話がつながるだろう、とのこと。それで掛けてみたが、やはり受付開始は9時からとのことだった。9時になりかけると、やはり話中で何度やってもつながらなかったが、9時20分ころようやく通じた。うれしいことに予約がとれ、「近くまで来たところで電話いただければスタッフが迎えにいく」とのこと。少し変だとは思ったが、行ってみると、発熱者は裏口から入場するようになっていた。ところが電話を入れても「予約が入っていない」といわれる。そんなはずはないので、再度調べてもらうと16時半の予約になっているとのこと。そんなことは早く言ってほしいが、仕方なく引き返す。そのとき10時過ぎだったので、遠回りして10時受付開始の医院に立ち寄ってみた。しかし発熱外来は、電話予約のみで、今日はもう締め切ったとのこと。そんなことで、疲れて帰宅した。
ただこの時点では、外出制限のことは知らなかったせいもあり、ジュースを1本買って帰った。
16時半少し前、診療所を再訪。今度は、スタッフの案内で院内に入れた。個室には医師と隔離する大きなアクリル板が設置されていた。顔の部分だけくり抜いてある。問診後、再度PCR検査を行う。綿棒式のものだったが無料検査所と方式が異なり10分ほどで結果がでた。やはり陽性だった。
原則としてハーシスというアプリを使って、経過報告を入力するらしいが、わたくしはスマホは不使用で、もっぱらパソコンのメールを利用している。仕方ないので先生が代わりに入力するとのこと。
それでは多忙な先生に申し訳ないので、帰宅後、発熱相談センターに電話して何かパソコンで入力するやり方がないものか、聞くが要領を得ない返事だった。どうやらショートメッセージ(SMS)を利用するアプリのようで、それならやむを得ない。デジタル庁とJ-LISで運用しているマイナンバーカードも同じだが、代替策を考慮していないシステムのようで、ユーザーである市民(国民)には何とも使いづらい。
●外出禁止
もうひとつわかったのは、診断確定後は、発熱相談センターではなく、「うちさぽ」のフォローアップセンターというところに電話すべきなようだ。このあたりの説明がないし、どのように調べればよいのか、わからなかった。

わたしにとって大きな問題となったのは、外出禁止だった。診断確定後は、発症日を0日とし、10日間は一歩も外に出てはいけないとのこと。これはかなり難しい課題だった。外に出てはいけないということは、1階の集合郵便受けに郵便物を取りに行くこともできない。もしエレベータでだれかに出会ったどうするか、という問題がありやはり外には出られなかった。
ちょうど期間限定で送付しなければいけない書状があった。しかしポストまで行くこともできない。集荷サービスがあることを思い出し、郵便局に問い合わせると、最低520円のレターパックからとのことだった。やむなくそうしたが、430円の超過出費になった。
また、土日にまとめ買いするので、少し余裕はあったが、やはり1品2品追加でほしいものが出てきた。ネットスーパーというものがあることに気づき、注文した。ただし最低1ロット1500円からということで、今後使いそうで日持ちするものを探すのが大変だった。まアイテムもリアルスーパーと比較すれば少ない。ただそういうサービスがあることを知り、実際に試してみたのは、ひとつの収穫だったともいえる。
なお都から1週間分の食料を配達してもらえるシステムもあるということを聞いた。わたしの場合、不要なものまで届けてもらってもお互いにムダだと考え、それは依頼しなかった。
また診療所から薬局に処方箋をファックス送りし自宅まで薬を配達してもらえるサービスもある。診療所に行った日は、まだノドが痛かったので、解熱剤と風邪薬を処方してもらい薬局が配達してくれた。ただし、それを飲むと、自宅待機がリセットされ一からやり直しになるという話を聞いたので、飲まない(飲めない)薬だった。結局、電話は通じるものの東京も実質的には無医村になった。
保健所からは診療所へ行った翌日、1度だけ電話があった。診療所で聞かれたのと同じような内容で、1人暮らしのせいか、濃厚接触者についての質問はとくになかった。これでは都に感染予防に対する対策はないのも同然だ。それでこの3-4日30分以上、近くにいた方を思い出し、4人に電話連絡し「コロナにかかったので、万一症状が出たら、原因はあるので、早めに医療機関を受診するよう」お願いした。また1人手紙を出した人がいたので、もし着信したら、封筒は手袋をして開封し、とくに切手部分は唾液が装着した可能性があり、ハサミで切って捨てるようお願いした(幸いメール連絡後に手紙着信したため、感染予防の役に立った)。
保健所からの連絡はその後なかったが、自宅待機5日のうち3日、診療所の医師から経過観察の電話がかかってきた。診療所が休みの土曜まで連絡があり、ただでも多忙のはずなので、頭が下がる思いがした。

そうこうするうちに5日が過ぎ、無事外出できることになった。
●発熱相談センター
はじめてコロナ感染し、自宅療養してみて、発熱相談センターは(電話が通じれば)それなりに相談にのってもらえる。ただ、相談には乗るが、医師ではないからか「どうすればよい」ということは言えないようだった。患者(相談者)側からみると、電話なので、相手がどういう人なのかはわからない。なにかのときに「医師か」と聞くと「そうではない」と答え、「保健師か」と聞くと「そうではない」という。「看護師か」の聞くと「そうだ」と答えた。それでも「こうすればよい」とはなかなか言いづらいようだった。
コロナの治療薬はあるのかもしれないが、そういうものは処方してもらえなかった。
なお、自分が感染したのが新型コロナであることは確かだが、デルタかオミクロン株なのか、またオミクロンとしてもBA.1系統かBA.5系統かということは教えてもらっていない、また自分が何日の感染者数に入っているのか、わからない。はじめの無料検査所に行った日曜か、翌日陽性と判明した月曜か、その翌日診療所で陽性診断が出た火曜か、あるいはさらに翌日保健所が連絡を受け取った水曜か、いったいどこにカウントされたか、あるいはダブルカウントされているのか、なども不明だ(医師や保健師にも聞いてみたが、わからないとの回答だった)。
●疫病大流行
最後に、自分のことからいったん離れ、日本全体のこと、国や都の対応について、考えたことを書いておく。
2022年8月30日東京新聞朝刊3面
新型コロナによる死者は8月29日現在3万9285人(累計 なお世界では648万人)、すでに2011年3月11日の東日本大震災の死者・行方不明者数1万8423人(22年3月1日警察庁)の2倍を超え、しかも死者は1日200人前後増加し続けており、21世紀の歴史に残る大災害であることは間違いない。
これに対する日本政府の対策は、3年間ほとんど後追いと思いつきに過ぎない。
2020年1月のクルーズ客船ダイヤモンド・プリンセスでの感染防止失敗による巨大クラスター発生に始まり、2月末安倍首相の突然の小中高校の臨時休校要請(3月2日から)、4月7日7都府県への第1次緊急事態宣言発令、4月ムダ遣いの象徴「アベノマスク」配布開始、「Go To キャンペーン」問題、2020東京オリンピック1年延期発表と続いた。結局、小池都知事が旗を振った「ステイ・ホーム」などの自粛要請、それに追随する「自粛警察」の目、そして緊急事態宣言・まん延防止等重点措置などの行動制限しか打つ手はなかった。また国民の目からは、守るべきは「医療体制」つまり医療体制崩壊をなんとかして食い止め保健所機能を維持するため、行政は入院患者を減らし、発熱患者を自宅に留め置くことに専念しているように見えた。コロナに感染したり感染拡大するのは(市民の)「気のゆるみ」ということにされてしまった。「よく言うよ」という感じだ。

2022年8月30日東京新聞朝刊3面
全数把握をやめるとかやめないという議論がある。どちらにせよ感染者数の把握はどうやら続けるようだ。ただし経過観察の質問数を減らし手間をはぶくということのようだ。小池都知事など首都圏近隣の知事は全数把握継続のようだ。あれだけ全数把握反対を声高に主張していた黒岩神奈川県知事まで「制度設計が十分精査されていなかったと思わざるを得ない」と全数把握維持に態度変更した(千葉は検討中)。
不思議なことのひとつに無料検査所のシステムがある。あれは陰性だった人にはひとつの安心材料になりメリットがあるが、陽性だった人は、もう一度医療機関で検査しなければ、その先に進めないので、時間のムダに思えた。無料検査所も医療施設も検査費用は国か都が負担しているはずなので、意味がわからない。なお無料検査所でも検査を受ける前に「結果を都に通知してもよいか」チェックを入れる受付用紙になっており、「ノー」とは言いづらい用紙なので、連携関係がどうなっているのか、謎である。
検査所で検査はできるが、コロナという「診断」は医師にしかできない(法律上の)立て付けになっている、という説明は聞いた。
一方、選挙が終わったり、オリンピックが終わると感染者数が急増するためデータ発表そのものへの不信も増している。
また、わたしの場合、自宅待機は5日でそれも「治りかかっている」時期だった。一方、初めの5日はある意味外出し放題、そのころのほうが感染しやすい時期に思えるが、その時期の感染予防対策を国・都はどう考えているのだろう。

100年前のスペイン風邪のときは1918年8月から21年7月の3波合計3年3年で収束したので、100年のあいだの医学や医療行政の進歩もあるはずだから治療法や感染予防でもう少し早く収束するかと期待していた。しかしウィルスのほうも100年で生存競争に鍛えられたのか、どうも3年では終わらなそうな見込みだ。現在7波だが、今後いつまで続くのか、当分長引きそうだし、見通しがきかない。また新たな変異株が発生・流行するかどうかもわからないが、今年も冬になれば再流行しそうに思える

●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。


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