多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

苔生す石垣がある向山庭園

2008年07月29日 | 日記
遊園地としまえんの南側には向山住宅という閑静な住宅地が広がっている。その入口付近に、練馬区立向山庭園がある。設備としては母屋に和室が3間(10・12・20畳)と、離れに茶室(8畳)がある。母屋があるところと茶室や池のあるところでは3―4m高低差がある。それを結ぶのが2つの石段である。緋鯉が泳ぐ池には石橋や石灯籠がある。2600平方メートルの敷地は緑が多く、春は桜、秋は紅葉が美しいそうだ。高低差があるつくりは鍋島松濤公園に似ている。

見事なのは、地形に合わせてジグザクになっているが、延長すれば30mほどの石組である。ところどころ苔が生えツタが下がっている。高さは1.5mほど。
係りの人に聞いてみたが、この庭の来歴はよくわからない。区立になったのは1980年で建物がそのとき建てられたことははっきりしている。しかし庭や石組がいつできたのかは不明である。
このあたりは14世紀から15世紀までは豊島氏の拠点、練馬城だった。1927年に豊島園が全面開園し駅が開設されてから宅地化が進み始めた。向山庭園は1929年から1931年まで浜口内閣・第2次若槻内閣の江木翼鉄道大臣邸だったという。ただこの庭や石組が昭和初期のものか、もっと後のものかはわからない。(記事公開後、支配人の方から、庭園そのものは1930年代の江木氏の時代からあり、石組みは1980年の区の管理以降に手を加えたものとの、コメントをいただいた)

ウィキペディアによると、石垣は7世紀に百済の技術者が伝えたのが最初で、13世紀の元寇の際に復活し、次は16世紀以降の城郭建築で盛んになったとある。積み方は野面積み、打込みハギ、切込みハギの順に進化した。布積、整層乱積、亀甲積などさまざまな工法があるらしい。
周囲を見回すと、この庭園は多くの石を活用している。玄関には石造りの門、塀、敷石があった(上の写真参照)。石橋や石灯籠だけでなく茶室の礎石も石組みだ。階段も石だし鳥の水飲みも石造りで、エサ台の下にも石が並んでいた。

人は少なく落ち着く。
春の桜、秋の紅葉、その他季節季節にサツキ、アジサイ、シャクナゲなどがきれいに咲くそうだ。この日は10人くらいの水彩画の会のグループが写生中だった。和室は囲碁、生け花、お茶などさまざまな市民サークルが利用している。

10-16時に抹茶(茶菓子付き)を300円でいただける。ロビーに上がり、庭を眺めながら抹茶をすすると気分が安らぐ。
住所:東京都練馬区向山3-1-21 
電話:03-3926-7810
開館日:月曜日~金曜日(12/29~1/3は休園日)
開館時間:9時~17時
入館料:無料


☆近隣も、緑が多く非常に閑静な住宅街である。もう少し南に5分ほど歩くと有料老人ホーム「シルバーヴィラ向山」がある。久田恵さんのノンフィクション『母のいる場所』で有名になった。なおこの介護をテーマにした作品は槙坪夛鶴子監督により2003年に映画化された。
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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご来園ありがとうございます (向山庭園支配人)
2008-07-31 16:39:55
ご来園ありがとうございます。
向山庭園支配人でございます。
庭自体は、江木氏が所有の頃からあったものです。石積みは、区立として公開する前に、区の設計によって新たに加えたものです。
またのお越しをお待ちいたしております。
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