(この文章も書いてから数年経ちました)
日本人の脳に主語はいらない
月本 洋
講談社選書メチエ
からだ、心、言葉、動き。それぞれがお互いをつくりあっている。その過程で強くなる部分も出てくる。何をし、どこを通るかで時間は違う。時間がかかればその間に出てくる何かもある。時間がかからなければ扱わないものもある。
母音は右の脳で聴く。自他の区別は右の脳で。そうして言葉は心を、心は言葉を作っていく。
簡単に書けばそういうことです。昔からの私の持論と共通する部分も多く楽しく読めます。それにしてもこの本は見た目よりはるかに視点が新しく、深く、広いのです。
専門外の人にわかりやすいようにこころがけられていて、専門用語を使わない具体的な説明のうまさが著者の脳の好調さを示しています。
なんとなく見覚えのあるお名前ではあり、一昔ちょっと前の心のありかなどを語り合っていた幾つかのBBSかメーリングリストで私の書いたこともきっと読んでくださって、専門外の私が加わっていたことも本作りに影響していたりするだろうかと思いました。
あの当時からこの分野はこんな発展をしていたんだという感慨深さを味わいました。2008年の発行です。それから今まではどうなっていることでしょう。
自他の意識の説明は、その着眼点は、素晴らしいです。逆転の発想もあり、著者は言葉やきまりごとに縛られず柔軟な発想のできる人なのです。
この本の内容に関して私が思い出したことというと、歌の合の手かそれに類するものです。
ある時期よく聴いていたイギリスのラッセル・ワトソンの歌には、フレーズの切れ目によくちょこちょこと本来の歌詞にない言葉が入っていました。日本人が歌うなら「〜ときた」みたいなもの、父やそこらの高齢者は昔はフレーズの終わりに「げな」と言っていました。〜だそうなという意味です。他人事。今歌ったばかりの内容について。しかしイギリス人の彼は、フレーズの前に、大部分は直訳するなら「私は言う」みたいなことを言っていた気がします。そしてそれはこれから歌う内容について。日本語では文の終わりに来る「だってば」を文頭で言う感じ。偶には日本と同じように"I said it"「そうだとも」のような前文についての時もあります。他人事ではなく本人の意志が感じられます。これらについてはちゃんと聴きなおし、他の例も多く聴かなければはっきりしたことは言えませんが、今のところ英語の歌についてはそういう印象です。自他の感覚はそんなところにも。
日本人の脳に主語はいらない
月本 洋
講談社選書メチエ
からだ、心、言葉、動き。それぞれがお互いをつくりあっている。その過程で強くなる部分も出てくる。何をし、どこを通るかで時間は違う。時間がかかればその間に出てくる何かもある。時間がかからなければ扱わないものもある。
母音は右の脳で聴く。自他の区別は右の脳で。そうして言葉は心を、心は言葉を作っていく。
簡単に書けばそういうことです。昔からの私の持論と共通する部分も多く楽しく読めます。それにしてもこの本は見た目よりはるかに視点が新しく、深く、広いのです。
専門外の人にわかりやすいようにこころがけられていて、専門用語を使わない具体的な説明のうまさが著者の脳の好調さを示しています。
なんとなく見覚えのあるお名前ではあり、一昔ちょっと前の心のありかなどを語り合っていた幾つかのBBSかメーリングリストで私の書いたこともきっと読んでくださって、専門外の私が加わっていたことも本作りに影響していたりするだろうかと思いました。
あの当時からこの分野はこんな発展をしていたんだという感慨深さを味わいました。2008年の発行です。それから今まではどうなっていることでしょう。
自他の意識の説明は、その着眼点は、素晴らしいです。逆転の発想もあり、著者は言葉やきまりごとに縛られず柔軟な発想のできる人なのです。
この本の内容に関して私が思い出したことというと、歌の合の手かそれに類するものです。
ある時期よく聴いていたイギリスのラッセル・ワトソンの歌には、フレーズの切れ目によくちょこちょこと本来の歌詞にない言葉が入っていました。日本人が歌うなら「〜ときた」みたいなもの、父やそこらの高齢者は昔はフレーズの終わりに「げな」と言っていました。〜だそうなという意味です。他人事。今歌ったばかりの内容について。しかしイギリス人の彼は、フレーズの前に、大部分は直訳するなら「私は言う」みたいなことを言っていた気がします。そしてそれはこれから歌う内容について。日本語では文の終わりに来る「だってば」を文頭で言う感じ。偶には日本と同じように"I said it"「そうだとも」のような前文についての時もあります。他人事ではなく本人の意志が感じられます。これらについてはちゃんと聴きなおし、他の例も多く聴かなければはっきりしたことは言えませんが、今のところ英語の歌についてはそういう印象です。自他の感覚はそんなところにも。