引越業者さんは金魚は扱わないそうなので、私より先に金魚が引越しました。
水を半分にし、隠れ場所の茶濃みたいなインテリア?はぶつかって怪我するといけないから取出して、丈夫なビニール袋を二重にし、手提に入れて、出発。
まあ重いけど小さい水槽だし、楽器を運び慣れているはずの私にはどうってことない。そう思いましたが楽器運んだのは遠い過去。しかも揺らさないように肘を常に曲げてしまうのでそれなりに負担は大きいのでした。
例えばケーキの箱を持って走る時に、何も考えないのに肘を曲げて自分の揺れに合わせて動かし箱の揺れを最小限にしようとしてしまいます。これと同じで、頭ではただ手提をぶらさげて運ぶだけと思っていたのに、からだは揺れをおさえて運んでくれるのです。頭より賢いではありませんか。
電車は適度な混み具合。いいタイミングで荷物の置ける端っこが空きました。しかし端といえば揺れは最大。ほかにも荷物があるのでその場所から移動したくありません。金魚を両手を敷いた膝に置くことにしました。揺れに合わせて手で調節するはずが、うとうとと。
乗り換えの末やっとで金魚は新居に到着し、エアレーション開始。おや、泡が出ない。とりあえずホースの先のストーンを外してごぼごぼ空気を入れ始めました。茶濃なんて後まわし、まずは空気。水足し。ここの水はおいしいぞ。
ホースの空気を細かくするセラミックストーンは移動中に水が染込んで空気が通らなくなったのではないかと思います。汚れもたまったことだし、コンロで焼きました。深夜、ひとりでこっそりと。
さて、ストーンが冷めた頃に水中に入れると泡が出ていい調子。ホースがあれこれに当たって振動がうるさいからあっちこっち向けたりしていると、どうも音が違うのです。ホースが外れている。繋いだら、泡、出ない。ちょっと泡が出ない間に水が染みてまた空気の出口を塞いだのです。翌朝乾く程度に焼いて、なんとか泡がでるようになりました。
なんでもかんでもすぐできると思わないことですね。結構時間がかかります。思わぬことが起こります。
母は幾分金魚を楽しみにしていたようでもあります。
「横から見たら魚だけど、顔は結構可愛いね」
そりゃ正面から見たって魚です。年取ってきたけど根はやんちゃです。ごはんのときは喜んで踊ったりします。
正面から見ると魚というよりは何か自分に近い生き物に思えてくるのって、わかります。私が子供の頃に猫と一緒に家の外を見ていた時、ふと横に居る存在が猫の姿をしているのがおかしく感じたことがありました(何よミーちゃん猫の格好なんかして)。生き物みんな、とりあえずそんな格好をしているけれど、実は同じ仲間みたいなところがあります。
金魚は充分休んだら茶濃に隠れもせず水槽の外を珍しげに眺めている様子。
私の引越までの間、餌やりだけ頼みました。