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す ず な り

なかなか辿りつけない辺鄙なブログへようこそ... メールはIDのplinkに続けて@willcom.comです

略称がひとりだちする

2006-07-15 20:07:52 | 言葉と過去
 以前大型家電販売店の天井から吊られていた表示板を見て面白いと思ったことがあります。「卓上電卓」。一種の「おみおつけ現象」です。
 電卓は電子卓上計算機のことですが、略称が定着し、そうするうちに卓上どころかカードサイズまで登場し、小さいのが普通になりました。パームトップになっても電卓。そして、持ち歩かず固定して使うタイプを示すのに「卓上」をつけないと、ただ電卓と言えばパームトップをイメージされるようになってしまいました。
 略さなかったら卓上電子卓上計算機。でも、頭に卓上がつく時点で既に「電卓」はひとつの独立した単語として生きているわけです。

 「ワープロ」も公式文書に書かれるまでになりました。ワードプロセッサと言えばワープロ専用機を思い出してしまい、パソコンのソフトウェアを指す感じはしません。そういえばパーソナルコンピュータもほとんど耳にも目にもしなくなりました。既に略称ではなくなり「一人前」な単語になってしまったようです。

 携帯電話は「ケータイ」と書かれる場合もあり、それで電話だとわかるのでいいのですが、「携帯」イコール電話という意味になりかけていてちょっとばかり気になります。

「かき」と「こけら」の違い

2006-06-23 23:53:39 | 言葉と過去
 郵政公社のホームページからダウンロードした郵便番号のデータで、ある地名を探していました。「柿」という字を出すのに「かき」ではあれこれ沢山出てくるだろうから「こけら」で変換して検索。しかしその地名は出ません。おかしいなと思って「かき」で変換すると同じ字が出て、それで検索すると出ました。
 同じ字なのに。どこか違うのかな?そういえばなんとなく違う。「かき」を変換したのと「こけら」を変換したのを並べてフォントをとんでもなく大きくしてみると僅かに「巾」の大きさが違います。しかし微妙すぎます。形はほとんど同じなのにフォントが違うなんて。
 そこでインターネットで「かき こけら」を探すとかなりあるし、違うと書いてありました。「柿」の旁はナベブタの下に巾、しかし「柿」の旁は縦線が上から下まで貫いているので「柿」より画数がひとつ少ないのです。
 知らなかったよ。
 昔はどうして「こけら」は「かき」なんだろうと謎に思っていました。何かいわれがあるんだろう、と。しかし違う字ならすっきりそれっきり。なんだか小さなきっかけから広がっていくはずの夢が消えてしまったような気分です。
 そして帰宅して今、明朝体だったこの文章を楷書にしてみたところ、上の方で確かに「こけら」を変換したはずの「柿」は旁の一番上が点になっています。この文章内を検索してみても同じものとして扱われています。職場では書体を変えてまでは確認しませんでしたが、違うフォントだからきっと「こけら」は縦線が貫いていることでしょう。もしも職場で検索しなかったら、もし今使っている自分のパソコンで検索していたら、私にとって「かき」と「こけら」は同じままだったのです。

レシート

2006-05-17 23:28:37 | 言葉と過去
 図書館で本やCDなどの貸出手続きの時、返却期限や書名などの書かれた紙を貰います。渡しながら「レシートです」と言われることが時々あります。そうなんだ、こういうふうに細長いロール紙に印刷されて切られたものを日本語でレシートというんだなあ、と思いました。以前は間違った言葉だなんて思っていたけれど、言葉とはそういう生き物なんだと思えるようになりました。シートは紙でしょ、レって何だろうな、なんて言ってみる。

是非というなら

2006-05-17 23:23:51 | 言葉と過去
  是非一度………されてはいかがでしょうか。
 もう十年ほど前になるでしょうか、あの気になる言い回しがはやったのは。あの頃のテレビ、雑誌、BBSそして社内報にまでも。おそらく始まりはテレビの観光か何かの紹介をする番組だろうと思います。
 是非と言ったら相手の気持ちがどうであれ勧めているわけだから最後は「してください」というような命令形になるもんだと思っていました。なのにそれは相手の意向を尋ねるような形なのです。強く始めたら最後まできちんと強いままでいないと情ないではありませんか。始まりと終わりが食い違わない方が気分がいいです。

食材

2006-05-04 15:58:55 | 言葉と過去
 今ではごく普通になってしまった「食材」という言葉は、昔は聞いたことも読んだこともありませんでした。家庭科の授業でさえ出て来ず。そういう意味を示すのに先生はやや困ったふうに食品と言われたという記憶があります。手元にある昭和60年発行の広辞苑にも載っていません。「食材」を私が初めて耳にしたのは「料理の鉄人」というテレビ番組が始まってパソコン通信仲間の話題になってからでした。
 「食材」は件のテレビ番組で新しくできた言葉か、それともどこかで密かに使われていたのか、わかりません。しかしもしも前者であれば言葉の歴史上特異なもののひとつになるでしょう。
 人々がほとんど忘れかけた古い言葉が政治家や芸能人やスポーツ選手がひとこと口にしたのをきっかけに非常に多く使われるようになるのはよくあります。しかし新しくできてしかも流行語を使うのは躊躇われる場でも平気で使われる古そうな顔した言葉はそうありません。機会があって憶えていれば図書館の辞書でも探してみます。