第五章 皿川本体の排水について
前回記事「その25-4」では市街地に流れ出した水についての考察を行った。
大方のストーリー、ロジックの展開はそこで示したものでよいと思われる。
そうして、まあ力ずくでの計算を重ねていくと「水位21.5センチ」が出てくることになる。
もちろん各所に「ウエブ地図からの面積の読み取り」という個人判断による誤差が生じるが、まあ大体は今回得られた数値に近い値が得られるものと思っている。
そうして今回は皿川そのものの排水についての考察となる。
「その25-2」で言及していたように、
『一時間で42691m^3という数字がどれほど大きなものであるのか、たとえば城山雨水排水ポンプ場の3台のポンプ、フル稼働で一分あたり330m^3、一時間で19800m^3の排出量です。
そうすると、なんと2時間回しても排出不可能な水量がこの時は一時間に皿川上流から流れてきた、とその様に河川事務所さんは主張しているのであります。』
で見る様に一時間で42691m^3という、大きな数字が「1時45分に内水位6.43mで樋門を閉めた」という主張からは生まれる事になります。
まあそれでも強情な河川事務所さんにしてみれば「それがどうした」と主張するのでありましょう。
さて、しかしながらさすがに強情な河川事務所さんでも「認めなくてはならない無理な点」が、実は排水時に発生しています。
その部分を「その25-4」から引用しますと
『さて、河川事務所によれば13日の15時30分にはこの皿川ダムの水位は6.40mであって、その時点を持ってゲートを開けたとされています。
そうして6.4mの水位標高は315.5mです。(皿川水位標ゼロの標高は309.1m)
そういうわけで、ポンプ車2台による排水作業のおかげで、ダム湖の水位は9時間50分かかりましたが、317.8mから315.5mまで2.3m下げる事ができました。
http://archive.md/8RpSJ
1時間当たり約0.23mです。
さて堤防の決壊場所の外側の公園の標高を316.1mと読みます。
http://archive.md/NKDYQ
317.8mから316.1mまで1.7m、ダム湖水面を下げるには7時間25分ほどかかります。
そうして5時40分をスタートとしますとその時刻は13時05分という事になります。
つまり「13時05分には水の流出は止まっていた」という事になります。』
ここでちょっとコメントをしておきますが、上記では「ポンプ車2台」としましたが、どーやらその内の1台は「照明車」であった模様です。
http://archive.md/E8p1R
この写真を拡大表示しますと、この右上に1台のポンプ車と1台の照明車が写っているのがわかります。
そうしてそれは上記の写真で写されたものと同じ場面ですから、2台の内右側の1台は照明車という事になります。
そうして、皿川本体の排水の為に実際は何台の排水ポンプ車が投入されたのか、飯山市はその台数を明らかにしていません。
たぶん「たった1台しか皿川には配置しなかった」という不自然さがばれるのが嫌なのでしょうね。
さていずれにしましても316.1mから樋門を開けたと河川事務所が主張している水位315.5mまで0.6m分の水を排水ポンプ車は排水しないといけないのです。
その水量は、といいますと「その25-2」の第一章から分かります様に
『あとは2mの高さを考慮して台形の体積Vを求める式にいれれば
V=(13117+11786)/2*2=24903m^3
となる。』
とあります。
従って2mで24903m^3ですから0.6mでは7471m^3となります。
これを1台のポンプ車、毎分30m^3の排水能力で排水しますと249分=4時間9分かかります。
13時05分がスタート時刻でしたから17時14分までかかってようやく315.5m、つまり河川事務所が主張している水位6.40mに到達できるのです。
「いや実はポンプ車は2台配置していたのだよ。」とかいいだすやもしれません。
そうなりますと2時間5分で排水完了です。
13時05分に足しますと15時10分、これだとなんとか15時30分に水位6.40mまで水面を下げる事ができそうですね。
ただし、条件が一つあります。
13時05分以降は皿川上流から一切水が流れてこない、というものがそれです。
ためしに14時~15時の一時間に上流から流れてくる水量をいれてみましょう。
「その25-3」から
『流域雨量指数と水位、流速、流量
水位 流速 流量
13日 m m/s m^3/s
14時 3.3 1.16 0.86 5.97』
一時間ですからV=5.97*60*60=21492m^3
この増加分を排水するのにポンプ車二台では358分=6時間弱必要となります。
つまりこの条件では「排水終了時刻は21時10分」という事になります。
そうして実際は13時05分から15時30分の間にこの量の約2.5倍の水量を排水しないと15時30分に水位6.40mまで水面を下げる事ができないのです。
さて、こうして千曲川河川事務所が情報開示請求に対して回答してきた内容が全くお話にならないもの、それは単なる作文に過ぎないものである、という事が証明されてしまうのです。
第六章 飯山市は皿川樋門が開いたままである事を知っていたのか?
飯山市が立てた今回の台風19号に対する対応計画では「皿川樋門は開きっぱなしで何のケアもしない」と言うものである事はこれまでも述べてきた通りであります。
そうして、それに従って河川事務所は所有している排水ポンプ車を事前配置しました。
当然皿川樋門は閉める予定がありませんから、排水ポンプ車の事前配置はありません。
さて河川事務所から飯山エリアの樋門・樋管の操作委託を受けている操作員は樋門を閉めるとその連絡を飯山市と関係する区長に入れるのが決まりである事が河川事務所の回答から分かっています。(注1)
そうして実際に栄川樋管ではその様な通知を飯山市に入れていました。(注2)
そうでありますから実際に樋門操作員が皿川樋門を閉めたのであれば、その連絡は操作員から市役所に、栄川樋管で行ったのと同じように行われていた事でありましょう。
しかしながら実際はそのような連絡は市役所にはありませんでした。
皿川樋門を閉めてはいないのですから、その様な連絡を操作員は市役所に入れる事はなかったのです。
従いまして、住民からの第一報「皿川があふれている」を受けた市役所の対応が「えっ、あふれてる?」だったのです。
これが操作員から「樋門は閉めた」という連絡が事前にあったならば市役所の対応は「分かりました。すぐに避難してください。」というようなものであったでしょう。
こうして飯山市は当初の飯山市が立てた予定通り「皿川樋門は開きっぱなしである」という事を知っていました。
しかしながら飯山市が後日報告したプレス発表では「樋門は閉められていた」と発表しました。
しかもその後で千曲川河川事務所が「こちらのミスで樋門を閉めた、と言う連絡を飯山市に伝えませんでした。」という新聞発表までさせています。
さて、何故河川事務所は「皿川樋門を閉じた事にしたかった」のでしょうか?
「皿川樋門が開きっぱなしで、皿川堤防が決壊し、その結果千曲川の水が逆流をおこし決壊場所から飯山市街地に流れ出して甚大な被害を出した、という事実を知られたくはなかった」という事であろうと思われます。
それで「皿川樋門は閉じた事」とし、しかし残念ながら「皿川が氾濫・決壊し大きな被害がでた」という話で通そうとしたのです。
この話で済ますことが「関係者が非難される事が一番少なくて済む」と判断したものと思われます。
なんとなれば「皿川樋門を管理しその閉・開の責任を負うものは河川事務所であるから」であります。
しかしながらとうとう情報公開請求によって千曲川河川事務所は「それまではダンマリを決め込んでいた樋門を再び開けた時刻」を公表するはめになりました。
おまけに情報請求が「水位情報を出せ」でしたので、その情報も公開せざるを得なかったのです。
しかしながら、実際に水位を計測して樋門を閉じた、という作業はしていませんから「机に向かって作文をするしかなかった」のです。
その公表された回答に基づいて皿川の状況を検証したものが今回の一連の記事です。
その結果明らかになった事は「公表された回答は作文である」というものでした。
何故作文をしなくてはならなかったのか?
隠したい事実がそこにあるからであります。
注1
「その11」より引用
『操作の際に行った通知の状況 飯山市役所および樋門周辺区の区長へ連絡』
注2
情報発信より引用。
『Yおちゃん「市役所には城山下の水門は閉めました。
揚水ポンプは正常に作動してますって建設省から報告があったから見に行ってきたけど水は流れてたよ」
・・・
Yおちゃん「ポンプ場見てから中央橋の上から川見たけど、河川敷から川へ水が流れてたよ」』
(引用コメント:Yおちゃんというのは、とある飯山市議会議員さんの愛称です。
それから上記中「建設省」とあるのは「国交省」の聞き間違いであろうと思われます。)
追伸
ポンプ車の排水作業が皿川ダムの水位を下げるのには十分ではない、としたらなぜ皿川の水位は下げることが出来たのか?
答えは簡単ですね。
始めから皿川樋門は開きっぱなしだった。
だから皿川の水位と千曲川の水位は連動していたので、千曲川の水位が下がれば自動的に皿川ダムの水位も下がる。
ただそれだけの事です。
それではそこで排水作業をしていた方々は何をやっていたのか?
まったくひどい事に「樋門が閉まっており、それゆえここでこうして我々は排水作業をしております。」という「偽りのプレゼンをさせられていた」のですよ。
それ以外にどのような目的も意味も「この一見排水作業らしく見える作業」には無いのです。
http://archive.fo/oYNk3
さてどういう人達なのでしょうね、こういうひどいことを平気で人にやらせることが出来る方々というのは?
飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧
前回記事「その25-4」では市街地に流れ出した水についての考察を行った。
大方のストーリー、ロジックの展開はそこで示したものでよいと思われる。
そうして、まあ力ずくでの計算を重ねていくと「水位21.5センチ」が出てくることになる。
もちろん各所に「ウエブ地図からの面積の読み取り」という個人判断による誤差が生じるが、まあ大体は今回得られた数値に近い値が得られるものと思っている。
そうして今回は皿川そのものの排水についての考察となる。
「その25-2」で言及していたように、
『一時間で42691m^3という数字がどれほど大きなものであるのか、たとえば城山雨水排水ポンプ場の3台のポンプ、フル稼働で一分あたり330m^3、一時間で19800m^3の排出量です。
そうすると、なんと2時間回しても排出不可能な水量がこの時は一時間に皿川上流から流れてきた、とその様に河川事務所さんは主張しているのであります。』
で見る様に一時間で42691m^3という、大きな数字が「1時45分に内水位6.43mで樋門を閉めた」という主張からは生まれる事になります。
まあそれでも強情な河川事務所さんにしてみれば「それがどうした」と主張するのでありましょう。
さて、しかしながらさすがに強情な河川事務所さんでも「認めなくてはならない無理な点」が、実は排水時に発生しています。
その部分を「その25-4」から引用しますと
『さて、河川事務所によれば13日の15時30分にはこの皿川ダムの水位は6.40mであって、その時点を持ってゲートを開けたとされています。
そうして6.4mの水位標高は315.5mです。(皿川水位標ゼロの標高は309.1m)
そういうわけで、ポンプ車2台による排水作業のおかげで、ダム湖の水位は9時間50分かかりましたが、317.8mから315.5mまで2.3m下げる事ができました。
http://archive.md/8RpSJ
1時間当たり約0.23mです。
さて堤防の決壊場所の外側の公園の標高を316.1mと読みます。
http://archive.md/NKDYQ
317.8mから316.1mまで1.7m、ダム湖水面を下げるには7時間25分ほどかかります。
そうして5時40分をスタートとしますとその時刻は13時05分という事になります。
つまり「13時05分には水の流出は止まっていた」という事になります。』
ここでちょっとコメントをしておきますが、上記では「ポンプ車2台」としましたが、どーやらその内の1台は「照明車」であった模様です。
http://archive.md/E8p1R
この写真を拡大表示しますと、この右上に1台のポンプ車と1台の照明車が写っているのがわかります。
そうしてそれは上記の写真で写されたものと同じ場面ですから、2台の内右側の1台は照明車という事になります。
そうして、皿川本体の排水の為に実際は何台の排水ポンプ車が投入されたのか、飯山市はその台数を明らかにしていません。
たぶん「たった1台しか皿川には配置しなかった」という不自然さがばれるのが嫌なのでしょうね。
さていずれにしましても316.1mから樋門を開けたと河川事務所が主張している水位315.5mまで0.6m分の水を排水ポンプ車は排水しないといけないのです。
その水量は、といいますと「その25-2」の第一章から分かります様に
『あとは2mの高さを考慮して台形の体積Vを求める式にいれれば
V=(13117+11786)/2*2=24903m^3
となる。』
とあります。
従って2mで24903m^3ですから0.6mでは7471m^3となります。
これを1台のポンプ車、毎分30m^3の排水能力で排水しますと249分=4時間9分かかります。
13時05分がスタート時刻でしたから17時14分までかかってようやく315.5m、つまり河川事務所が主張している水位6.40mに到達できるのです。
「いや実はポンプ車は2台配置していたのだよ。」とかいいだすやもしれません。
そうなりますと2時間5分で排水完了です。
13時05分に足しますと15時10分、これだとなんとか15時30分に水位6.40mまで水面を下げる事ができそうですね。
ただし、条件が一つあります。
13時05分以降は皿川上流から一切水が流れてこない、というものがそれです。
ためしに14時~15時の一時間に上流から流れてくる水量をいれてみましょう。
「その25-3」から
『流域雨量指数と水位、流速、流量
水位 流速 流量
13日 m m/s m^3/s
14時 3.3 1.16 0.86 5.97』
一時間ですからV=5.97*60*60=21492m^3
この増加分を排水するのにポンプ車二台では358分=6時間弱必要となります。
つまりこの条件では「排水終了時刻は21時10分」という事になります。
そうして実際は13時05分から15時30分の間にこの量の約2.5倍の水量を排水しないと15時30分に水位6.40mまで水面を下げる事ができないのです。
さて、こうして千曲川河川事務所が情報開示請求に対して回答してきた内容が全くお話にならないもの、それは単なる作文に過ぎないものである、という事が証明されてしまうのです。
第六章 飯山市は皿川樋門が開いたままである事を知っていたのか?
飯山市が立てた今回の台風19号に対する対応計画では「皿川樋門は開きっぱなしで何のケアもしない」と言うものである事はこれまでも述べてきた通りであります。
そうして、それに従って河川事務所は所有している排水ポンプ車を事前配置しました。
当然皿川樋門は閉める予定がありませんから、排水ポンプ車の事前配置はありません。
さて河川事務所から飯山エリアの樋門・樋管の操作委託を受けている操作員は樋門を閉めるとその連絡を飯山市と関係する区長に入れるのが決まりである事が河川事務所の回答から分かっています。(注1)
そうして実際に栄川樋管ではその様な通知を飯山市に入れていました。(注2)
そうでありますから実際に樋門操作員が皿川樋門を閉めたのであれば、その連絡は操作員から市役所に、栄川樋管で行ったのと同じように行われていた事でありましょう。
しかしながら実際はそのような連絡は市役所にはありませんでした。
皿川樋門を閉めてはいないのですから、その様な連絡を操作員は市役所に入れる事はなかったのです。
従いまして、住民からの第一報「皿川があふれている」を受けた市役所の対応が「えっ、あふれてる?」だったのです。
これが操作員から「樋門は閉めた」という連絡が事前にあったならば市役所の対応は「分かりました。すぐに避難してください。」というようなものであったでしょう。
こうして飯山市は当初の飯山市が立てた予定通り「皿川樋門は開きっぱなしである」という事を知っていました。
しかしながら飯山市が後日報告したプレス発表では「樋門は閉められていた」と発表しました。
しかもその後で千曲川河川事務所が「こちらのミスで樋門を閉めた、と言う連絡を飯山市に伝えませんでした。」という新聞発表までさせています。
さて、何故河川事務所は「皿川樋門を閉じた事にしたかった」のでしょうか?
「皿川樋門が開きっぱなしで、皿川堤防が決壊し、その結果千曲川の水が逆流をおこし決壊場所から飯山市街地に流れ出して甚大な被害を出した、という事実を知られたくはなかった」という事であろうと思われます。
それで「皿川樋門は閉じた事」とし、しかし残念ながら「皿川が氾濫・決壊し大きな被害がでた」という話で通そうとしたのです。
この話で済ますことが「関係者が非難される事が一番少なくて済む」と判断したものと思われます。
なんとなれば「皿川樋門を管理しその閉・開の責任を負うものは河川事務所であるから」であります。
しかしながらとうとう情報公開請求によって千曲川河川事務所は「それまではダンマリを決め込んでいた樋門を再び開けた時刻」を公表するはめになりました。
おまけに情報請求が「水位情報を出せ」でしたので、その情報も公開せざるを得なかったのです。
しかしながら、実際に水位を計測して樋門を閉じた、という作業はしていませんから「机に向かって作文をするしかなかった」のです。
その公表された回答に基づいて皿川の状況を検証したものが今回の一連の記事です。
その結果明らかになった事は「公表された回答は作文である」というものでした。
何故作文をしなくてはならなかったのか?
隠したい事実がそこにあるからであります。
注1
「その11」より引用
『操作の際に行った通知の状況 飯山市役所および樋門周辺区の区長へ連絡』
注2
情報発信より引用。
『Yおちゃん「市役所には城山下の水門は閉めました。
揚水ポンプは正常に作動してますって建設省から報告があったから見に行ってきたけど水は流れてたよ」
・・・
Yおちゃん「ポンプ場見てから中央橋の上から川見たけど、河川敷から川へ水が流れてたよ」』
(引用コメント:Yおちゃんというのは、とある飯山市議会議員さんの愛称です。
それから上記中「建設省」とあるのは「国交省」の聞き間違いであろうと思われます。)
追伸
ポンプ車の排水作業が皿川ダムの水位を下げるのには十分ではない、としたらなぜ皿川の水位は下げることが出来たのか?
答えは簡単ですね。
始めから皿川樋門は開きっぱなしだった。
だから皿川の水位と千曲川の水位は連動していたので、千曲川の水位が下がれば自動的に皿川ダムの水位も下がる。
ただそれだけの事です。
それではそこで排水作業をしていた方々は何をやっていたのか?
まったくひどい事に「樋門が閉まっており、それゆえここでこうして我々は排水作業をしております。」という「偽りのプレゼンをさせられていた」のですよ。
それ以外にどのような目的も意味も「この一見排水作業らしく見える作業」には無いのです。
http://archive.fo/oYNk3
さてどういう人達なのでしょうね、こういうひどいことを平気で人にやらせることが出来る方々というのは?
飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧