追記:2021/9:以下の本文記事内容は2020/5月時点での状況と認識となります。
そうして、このお話の全体像につきましては
を参照願います。
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↓ 本文 ↓
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さてこのシリーズ、「その26で終わるか」と思っていたのですが、そうはいかない事になりました。
といいますのもどーやら「栄川樋管が開きっぱなしだった」という事が明確になってきたからであります。
しかも実は前々回の台風、「2017年 10月23日 台風21号」の時にもそうであったと思われるのです。
しかし幸運な事にこの時は「栄川は氾濫しなかった」。
なぜならば千曲川の最高水位が8mであったからです。
しかしこの事実は「委託樋門操作員だけが知っている事」でした。
そうしてその失敗を「誰にも指摘されなかった為」「しっかりと反省せず」「今回またしても同じ失敗を繰り返した」というのが実状の様です。
そうであればまた今年の大雨の時にこの「おバカな委託樋門操作員」が本当にうまく「栄川樋管のゲートを下すことができるのかどうか」という事は「全く保障されておらず」、これが飯山市の今の水害対策の致命的な弱点となっています。
さて、そういう事が明らかになってきましたので、このシリーズもまだ終わるという訳にはいかなくなった次第であります。
第1章:栄川樋管と栄川の位置及び仲町通りとの交差位置
・その26・城山雨水排水ポンプ場のポンプ稼働状況と浸水深さについて検証した。<--ここに城山雨水排水ポンプ場の位置が示されている。このポンプ場の千曲川堤防をはさんだ反対側の位置に「栄川樋管」がある。
このポンプ場の建物を堤防から見るとこうなる。
まわれ右をして後ろを見ると「栄川樋管」がそこにある。
さて飯山市には2系統の「雨水排水下水道」がある。一つを中央排水区といい、もう一つを飯山排水区という。そうして栄川は中央排水区の中の一つの排水路である。
雨水排水下水路の系統図はこうなっている。この系統図の赤字で書かれた右から三つ目に「栄川下水路」の表示がみえる。この下水路と仲町通りの交差する所で13日の午前3時に越水が確認されている。(注1)
上記で示した「地図」の右端に栄川樋管の一部、そうしてそれとつながっている「城山雨水排水ポンプ場」、それからその場所から左側に伸びている「栄川」が確認できる。その栄川が広い道と交差しているが、その道が「仲町通り」である。
示した地図で上(北側)から下(南側)を見た時の仲町通りの風景。一応栄川の橋が見える。
橋の位置から左側(下流側)を見た時の風景。
同様に橋の位置から右側(上流側)を見た時の風景。
その橋の位置の標高は地図より315.1mであり、ポンプ場前の堤防下道路の標高は314.7mと橋の位置より40センチ低い事が分かる。
つまりその場所で13日の午前3時に越水が発生していた、という事はポンプ場前の道ではすでに40センチの浸水が、栄川からの氾濫水があった、という事になる。
そうしてもちろんこの氾濫水は「市街地に降った雨水が原因の氾濫水」ではなく「栄川樋管から逆流してきた千曲川の泥水」である。
第2章:千曲川の水位と栄川樋管の関係、そして「いつごろ氾濫し始めたか?」
上記で述べたように「ポンプ場前の道の標高は315.1m」でありこの高さが「栄川がその場所で越水するかどうかの高さ」を決めている。
従って「栄川樋管が開いていた場合は千曲川の水位がこの高さを超えると栄川はそこで氾濫する」ということになる。
ただし、千曲川水位がここまで高くなる前には「ポンプ場の排水ポンプは稼働する事になる」ので、実際には千曲川水位が315.1mに達した時点では氾濫する事はないものと思われる。
それで次は、千曲川の水位はいつ315.1mに達したのか、ということであるが、飯山市の水位観測データから13日の午前1時である事が分かる。
そうして実際に仲町通りで「水があふれた」と報告されたのは午前3時、この時の千曲川の水位は316.7mであり、ポンプ場前の道路の標高よりも1.6mも高かったのである。
これだけ千曲川の水位が高いと栄川樋管を通じてポンプ場に流れ込む千曲川の逆流水の量は「ポンプ場で稼働していた3台の排水ポンプの能力を上回ってしまい」、それでポンプ場前で40センチの浸水が発生し、仲町通りでは「栄川から水があふれ出す」という事になったのである。
さて飯山市のプレス発表には「1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。」と書かれているので、13日の2時頃はぎりぎりで氾濫は発生していなかった事がわかる。(注2)
そうなると2時から3時の間のどこかで氾濫し始め、3時の時点でポンプ場前で40センチの氾濫という事になる。
ちなみに午前2時での千曲川水位は316.0mであり、ポンプ場前の道路の標高よりは90センチ高かった、という事がわかる。
そうして又この辺りが「ポンプ場をフル稼働させた場合には、栄川樋管を開けっ放しにしていても大丈夫である水位」という事になる。
ちなみにこの水位は飯山観測所の数値では8.86mである。
第三章:ポンプ場が浸水しポンプが停止した。
つづいて飯山市のプレス発表から引用すれば
「5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。
城山雨水排水ポンプ場3台フル稼働等しており、市街地の内水対策は、機能していた。」となります。
5時40分時点での千曲川の水位は標高で318.0m。
ポンプ場前の標高より2.9mも高い事になりますから、千曲川からの逆流は大変なものであったでしょう。
したがってポンプ場位置での浸水深さも40センチを超えていたものと思われます。
そうであれば当然「仲町通りの橋の位置」でも相当に浸水がすすんでおり、市長の主張「市街地の内水対策は、機能していた。」は成立していなかった事がわかります。
そして次の記述は7時であって
「7:00 千曲川 飯山観測所で過去最高水位11.10mを記録。(S58年 10.09m)
7:00 城山雨水排水ポンプ場が、浸水によりポンプ3台が機能停止に陥った。」とありポンプ室浸水深は80センチとのことです。
このときの水位標高は318.2mであり、ポンプ場前の標高とは標高差が3.1mに達していました。
そうであれば「栄川樋管からの逆流水の量も最大となり」ポンプ3台を故障に追い込んだのも「むべなるかな」という事になります。
注1:この下水路と仲町通りの交差する所で13日の午前3時に越水が確認されている。これについては「横丁大家さんブログ」を参照されたい。↓
・13日〜3時台から市街地は「内水氾濫により被害が発生していました」
注2:1時50分のポンプ場の状況についての考察は以下を参照願います。
・その26・城山雨水排水ポンプ場のポンプ稼働状況と浸水深さについて検証した。
3号機を動かす必要がないにも関わらず動かしている。-->栄川樋管からの逆流が疑われる。
訂正の追記(2020/6/29)
その後、飯山市に対して行われた情報公開請求に対する回答内容から栄川樋管とポンプ場との運用方法が明らかになりました。
回答された内容によれば、「ポンプ場のポンプを動かす時には内水ゲートを閉めて、栄川樋管のゲートは開ける」という手順になっています。
我々は飯山市から公開された情報を得るその前に、今回も2年前も栄川樋管のゲートが開きっぱなしであった、という証拠を得ていました。
そうして、その事については何も変わりはありません。
但し、通常はそのようにして樋管のゲートが解放状態であれば千曲川の水はポンプ場側に逆流してしまうのですが、堤防の下を通っている排水トンネルの入り口と出口にそれぞれゲートがある、Wゲート構造になっていた為に、単純に「栄川樋管のゲートが開いていたら千曲川の水が逆流する」という事にはならない様です。
しかしながら、その事を含めてポンプ場周りの水の流れとゲートの開閉についての説明、ポンプ場の機能などについての飯山市からの公式な説明は今までに行われていません。
したがって「栄川樋管が開いていれば千曲川の水が逆流する」と我々が推定する事は「無理からぬ事」であります。
そうではありますが、飯山市から開示された情報を考慮した場合には、ポンプ場周りでなにが起こっていたのか、再度検討する必要が出てきました。
そういう訳で
その27-2・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討
という「新しいページ」を起こして、この続きを検討する事に致します。
ちなみに、我々が「前もって栄川樋管が開いていたと確認できた証拠」が飯山市が後から公開した情報によって「その証拠の有効性が証明できた」という形になっています。
そうしてまたその様に確認できていた証拠が皿川樋門でも確認できていた、とするならば、さて、皿川樋門のゲートは実際はどうなっていた事になるのでしょうか?