「・その27-1」で指摘した状況に続いて、次はそれに関連している事を話していきます。
それは2つのことであって、
1つ目は「飯山市の水位観測員の事」
2つ目は「前々回の台風、2017年10月23日 台風21号の時の事」である。
1、飯山市の水位観測員について
飯山市の水位観測のデータは、特に夜間においては水位観測所に立てられている水位標をライトで照明しながら双眼鏡などを使って「目視確認する」という方法でしか測定できない。(注1)
つまり「二人一組で行動しないと観測できない」のである。
そうしてもちろん「飯山市独自の水位観測」であればその行為を行う者は「飯山市の職員である」と思うのが普通である。
さてそうなると台風19号襲来時に千曲川堤防のその場所付近では二組の「違う組織のもの達が活動していた」という事になる。
一組は「国から委託された委託樋門操作員が二名」、もう一組は「飯山市の水位観測を担当する市の職員が二名」という事になる。
そうであればこの二組の活動するもの達は「お互いの姿を目撃しあった」と考えるのが普通である。
さてそれで、ここにとても不可解な事が一つある。
飯山市の水位観測データには12日の夜8時のデータが無いのである。
その前後のデータ、7時と9時はあるのに8時が無いのである。(注2)
さあこれはどういう理由で「水位観測が出来なかった」のであろうか?
飯山市の職員が「観測をさぼった」のであろうか?
台風が襲来している時に「観測をさぼる飯山市の職員??」。
さすがにそれは考えにくいものです。
さてそれでは何故夜8時の観測データがないのでしょうか?
・・・ということがずうっと疑問でした。
それで「気が付いてしまった」のです。
台風が来た時には堤防には2組4人いた、のではなく1組2人しかいなかったのだ、と。
そしてもちろんこの1組2人は「委託樋門操作員の事」です。
その存在は「飯山樋管で待機中の姿」が堤防道路の通行車両の運転手によって確認されています。<--リンク
さらには、『「ポンプ場の内水ゲートを下した」という連絡を市役所にいれた』という証言が市議会議員さんの話としてブログに記録されています。(注3)
つまりこの「河川事務所から委託を受けた樋門操作員2人」が同時に「飯山市からの依頼で水位観測も行っていた」のです。
さて、「国から業務委託を受けた樋門操作員」に、その職務遂行中に「飯山市の仕事をさせていいのでしょうか?」。
この件は市長と市役所から正式な説明をしていただく必要があります。
さてそれでは何故この「委託樋門操作員」が夜8時の水位観測ができなかったのか?
それは丁度この時刻に千曲川の水位が栄川樋管の千曲川側出口の標高(310.8m)に到達しからです。
それはつまり「そろそろポンプ場の内水ゲートを下さなくてはいけないタイミングになった」ということであり、「その準備に忙しくて、そこから少し離れた場所にある水位観測所に行って水位を測定することができなかった」という事です。
さあそれで千曲川水位が310.8mに到達した時刻は何時でしょうか?
水位データからそれは7時20分である事がわかります。
『つまり「そのころから内水ゲートを下げる準備に入り、実際に内水ゲートを下したのが8時40分ごろである」と推測できます。
それから委託樋門操作員はポンプ場の係員に「内水ゲートを下した旨を伝えて」排水ポンプ1号機のスイッチを入れてもらったのです。』<--『 』内部分、2021/8/25に訂正・追記
そうでありますからプレス発表には
「20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始 」と記録されているのです。(注4)
その様にして7時20分から8時50分まで「忙しく活動していた」ので「8時の水位観測が出来なかった」のであります。
2、2年前の2017年10月23日 台風21号の時の栄川樋管の状況
まずは飯山市報の水位データを参照します。
飯山市報 2019年11月号
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/kikakuzaisei/koho/r01.11/2-11.pdf
この2ページ目下段に水位グラフあり。
これから分かります様に、2017年の台風21号では水位のピークは8mであった事が分かり、その値は今回台風19号の時には13日の午前1時の時の水位と同じでした。
その時に「栄川樋管のゲートが開きっぱなしであった」としたら何が起こったのかを見てみます。
それで、8mの水位の値を標高に換算すると315.1mとなり、ポンプ場前の道の標高314.7mよりは40センチほど高い事になります。
したがってポンプ場の排水ポンプが動いていなければ「栄川氾濫」となったでしょうが、ポンプ場の1号機、2号機のポンプが稼働していれば「何の問題もなく」状況はすぎていったことでしょう。
その事は今回台風19号の13日の午前1時の時のポンプ場の状況が証明しています。
台風19号の時も1時の時点では「1号機、2号機のポンプを稼働させただけ」で「何の異常もなく」状況は過ぎていきました。
それと同じことが2017年の台風21号での8mという水位がピークの時にも起きていました。
3、まとめとして
現行のやりかた、システムはこのようにして「フェールセーフ」になっておらず、「樋門操作員の勘違い」や「ミス」がそのまま「大惨事につながる」という状況になっています。
『特に「日光川樋管で起きていた事例」では「樋門操作員の操作ミス」を発見することは難しく、「樋門操作員自身を含めて」誰も気が付かない、という状況でした。』<--『 』内部分、2021/8/25に訂正・追記
このことは現行システムの持つ「ヒューマンエラーに対してはとても弱い」という「致命的な欠点の現れ」であり、「河川事務所および飯山市によって早急に改善される必要がある事柄」であります。(注5)
注1:飯山市水位観測所・遠景<--リンク
注2:飯山市の水位観測データ<--リンク
注3:情報発信<--リンク
Yおちゃん「市役所には城山下の水門は閉めました。揚水ポンプは正常に作動してますって建設省から報告があったから見に行ってきたけど水は流れてたよ」
・・・
Yおちゃん「ポンプ場見てから中央橋の上から川見たけど、河川敷から川へ水が流れてたよ」
・・・
Yおちゃん「本流はそんなに上昇してなかった」(市議会議員のYおちゃんは「建設省」と言いますが、今の名称は「国土交通省」=河川事務所となります。)
追記:ここで述べられている「城山下の水門」というのは「栄川樋管」ではありませんでした。
それはポンプ場に設けられている「内水ゲートの事」でした。
以上、訂正いたします。(2020/6/29)
注4:排水ポンプのスイッチを入れるのは関連する樋門・樋管のゲートを下してからである、というのは排水作業の基本です。
注5:以上の事はすでに・追補の2・皿川樋門操作の客観的な記録が無い事について。で指摘していた事でもある。
訂正の追記(2020/6/29)
その後、飯山市に対して行われた情報公開請求に対する回答内容から栄川樋管とポンプ場との運用方法が明らかになりました。
回答された内容によれば、「ポンプ場のポンプを動かす時には内水ゲートを閉めて、栄川樋管のゲートは開ける」という手順になっています。
そうであれば、上記1で述べた「飯山市の水位観測員について」の記述にでてくる「栄川樋管のゲート」というのは「ポンプ場設備の内水ゲート」と読み替えてよんでいただく事になります。
そうして、その様に操作をした委託樋門操作員の行動にはミスはなかった様です。
同様に2017年10月23日 台風21号の時にもそのように「ミスのない作業をやれていた」と推測されます。
(但し、国の委託業務中に市の業務<--内水ゲートをおろす、と言うような事をやってもいいのか、という問題は残ります。)
さて、そうではありますが「委託樋門操作員が水位観測員を兼ねていた」という部分の結論に変わりはありません。
ゲートが開いていた栄川樋管を通じての千曲川からの逆流の発生につきましては、ポンプ場のポンプが稼働している状況ではほぼ考慮しなくてもよさそうです。
この事については、上記記述内容の訂正となります。
ただし今回の飯山水害で、ポンプ場のポンプが浸水により停止した後に、千曲川からのゲートが開いていた栄川樋管を通じての逆流があったのか、なかったのかについては現時点では明確になっておりません。
(それはつまり、千曲川からの逆流の可能性があったという事になります。)