シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その25-3・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-01-21 12:00:04 | 日記
第三章
皿川上流域からの流量を求める。

前回第二章までで皿川の英岩寺の橋のあたりでの水位変化がわかりました。
それから、樋門を閉めた時刻から35分間に上流から流れ込んできた水量がわかりました。
さて、以上の事からここではいよいよ上流からの流量を求める事になります。

樋門を閉めた時は午前2時の前後35分間で24903m^3の流量でした。
これを1秒当たりに換算すると11.86m^3となります。
この時、英岩寺の橋のあたりでは川幅6mで水深が1.86mでしたから、断面積が11.16m^2の所を1秒間に通過した量が11.86m^3という事になります。
そうすると流速 vは v=11.86/11.16=1.063(m/s)となります。

さて水路を流れる水の流速を求める式にはマニング公式を使うのが常道の様です。
そうしてこの式は流域雨量指数を計算する時にも使われています。(注1)
式中に現れるn はマニングの粗度係数であり、この数値は流域雨量指数を計算する時に使われていた値
n=0.040
を今回の計算でも使います。(注1)

同様にI は勾配ですが、これは前回、地図上で示した標高差2mの2つの点の間の距離を測って
I=標高差2(m)/2点間の距離(m) として求めます。
距離は126mでしたのでI=2/126=0.01587
それで式で使う値は I^(1/2)=0.126となります。

マニング式は流速 v(m/s)を計算するものであり
v=(1/0.04)*(R^(2/3))* I^(1/2)
”=25*(R^(2/3))*0.126
"=3.15*(R^(2/3))
となり、Rが変数です。
それで
R = A /S は径深 [m]
A は流積 [m^2]<--水流の断面積
S は潤辺 [m]<--水路の断面形状で水に接している部分の長さ
であり
水位 hを変数とすれば水路の断面形状から
A=6*h
S=6+2*h
となります。

さて樋門を閉じて水があふれ出す時間の真ん中の時刻が2時でした。
2時の時点での水位は前回のデータから1.86mと分かっています。
この数値から上記式を使って流速vを計算しますと
v=3.15*(1.148)^(2/3)
"=3.45
しかし実際の流速は1.063(m/s)でした。
それでマニング式から計算される値に修正係数0.308を掛ければ実際の流速になる事が分かります。

こうして前回求めた水位からその水位での流速がわかり、流速に水流の断面積をかければ流量が計算できます。
以下、そのようにして求めた流速と流量を示します。
流域雨量指数と水位、流速、流量
        水位    流速    流量
12日      m    m/s    m^3/s
15時 1   0.35  0.44  0.94
16時 1.4  0.49  0.54  1.60
17時 2.2  0.77  0.70  3.24
18時 3.3  1.16  0.86  5.97
19時 3.9  1.37  0.93  7.64
20時 4.5  1.58  0.99  9.40
21時 5.1  1.79  1.04  11.24
22時 5.4  1.89  1.07  12.18
23時 5.6  1.96  1.08  12.82
13日
0時  5.7  2.0   1.09  13.14
1時  5.7  2.0   1.09  13.14
2時  5.3  1.86  1.06  11.86
3時  5.4  1.89  1.07  12.18
4時  5.3  1.86  1.06  11.86
5時  5   1.75  1.03  10.92
6時  5.1  1.79  1.04  11.24
7時  5.2  1.82  1.05  11.55
8時  4.9  1.72  1.02  10.61
9時  4.9  1.72  1.02  10.61
10時 4.4  1.54  0.98  9.10
11時 4   1.40  0.94  7.92
12時 3.7  1.30  0.90  7.07
13時 3.5  1.23  0.88  6.52
14時 3.3  1.16  0.86  5.97
15時 3.2  1.12  0.84  5.71
16時 3   1.05  0.82  5.18
17時 2.8  0.98  0.79  4.67
18時 2.6  0.91  0.76  4.18
19時 2.4  0.84  0.73  3.70
20時 2.4  0.84  0.73  3.70
21時 2.2  0.77  0.70  3.24
22時 2.2  0.77  0.70  3.24
23時 2   0.70  0.66  2.80

注1
マニング公式
http://archive.md/TzIY3
流域雨量指数計算ではこうなっています。
http://archive.md/dbunw
気象庁の計算で使われているマニングの粗度係数の値は0.040である。
(以下のpdf16ページ参照)
測 候 時 報 75.2 2008
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/sokkou/75/vol75p035.pdf

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