シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

44-17・台風19号の時、排水ポンプ事前準備状況

2023-11-16 01:39:32 | 日記

まずは市議会の一般質問に対する飯山市の答弁から見ていきます。

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令和 4年 12月 定例会(第383回)

          令和4年12月第383回飯山市議会定例会
               ◯議事日程(第3号)
          令和4年12月20日(火曜日)午前10時開議

          日程第1 一般質問 から以下、引用します。

『・・・

2番(高橋達幸) 
 本当に堤防を上げても樋門を撤去しなければ私はなんの意味もないと思いますので、一年でも、いっときも早く撤去できるように計画を進めてもらいたいと思います。

堤防ができたからといって一安心しないようにしていただいたほうがいいと思います。

 次ですが、皿川と同じような一級河川が市内には何本もあると思うんですが、皿川と同じような改修が必要な河川というのは今検討されていますか。確認されていますか。

建設水道部長(高橋英志) 
 現時点では、一級河川を管理する県からは、市内の一級河川において、皿川と同様のフルバック方式への改修案というのは示されておりません。

 以上です。

2番(高橋達幸) 
 示されていません。

要するに、皿川と同等な危険箇所はないと、こういうことでしょうか。

建設水道部長(高橋英志) 
 現状の一級河川におきまして、決壊といいますか、内水の被害に関しましてはそれぞれの水系ごとに内水排除の対応をしておりますので、決壊の心配がないということではございません。

 以上です。

2番(高橋達幸) 
 心配がないということではございません。

じゃあ、どういうふうに考えていますか。

 

建設水道部長(高橋英志) 
 それぞれの河川でこれまでも内水排除の対策はしてまいりましたので、その対応を継続してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。』

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さて飯山市はこのように一般質問で答弁しているが、いままでの検証で明らかになった様に「台風19号襲来のおりには『それぞれの河川でこれまでも内水排除の対策はしていた』という飯山市の主張は事実ではない事が判明しています。

以下、台風19号襲来の折にはどうであったのか、北の方から順に内水排除の状況を整理します。

 

1、桑名川1号~5号樋管:管理担当は長野県である。とはいえ「だから飯山市は関係ない」とは言えない。

ここは備え付けの排水ポンプがそれぞれの樋管に設置されている模様。例として桑名川3号樋管の状況を以下に示す。

: https://archive.md/2Q6Az :左上から飯山線の線路、県道408号、堤防があってそこに桑名川3号樋管が写っている。右下に少し見えるのが千曲川本流。

: https://archive.md/znCFT :道路から3号樋管に通じる、堤防をあがる階段を写したもの。

: https://archive.md/isjJd :樋管そのものの入り口は道路より下になっていて写真右側に写っている階段を下りる事になる。そこには樋管ゲートを閉めた際にそこに集まってくる内水を千曲川堤防をつらぬいて千曲川側に排水する為の排水ポンプと堤防を貫通している排水パイプが設置されている。

: https://archive.md/RBf70 :これがその場所から少し離れた所に設置されている「排水ポンプ操作盤」である。銘板に「桑名川3号・ポンプ」の文字が読み取れる。

但し台風19号襲来の折この1号から5号まで全部で2kmほどの離れた場所にある5つの樋管を一人の区長が閉めて排水ポンプのボタンを確実に押したのかどうかは確認がとれていない。

そうしてまた飯山市もそれについては一切の公表をしていない。

 

、下柏尾樋管:ここは樋管ゲートは閉められた模様。ただし内水排除の為の排水ポンプは事前配置されておらず、その為に内水氾濫が発生した。

: https://archive.md/z4dQN :

: https://archive.md/QKN1T :

排水ポンプによる排水作業は行われなかったために内水は氾濫しているがその水位は13時時点で1m程度の模様

: https://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/bousai/shussui/20191012kouzui/sokuhou.pdf :

の26ページに状況がわかる写真がある。400%に拡大・確認のこと。

ここの樋管についても飯山市からの一切の公表がない。

 

3、今井川樋管: https://archive.md/tkZyN :、日光川樋管: https://archive.md/MO4ew :

: https://archive.md/QKN1T :今井川樋管の位置は千曲川をはさんで下柏尾樋管の反対側に「今井川樋管」の文字がある。日光川樋管は野沢側から戸狩へ柏尾橋を渡り切った左側にあるのが日光川樋管。

ちなみに広井川樋門と常設の排水ポンプ場は日光川樋管から下の方向に見ていくと「国土交通省」の文字がある。その場所が広井川樋門: https://archive.md/FNoKV :となる。

さて今井川と日光川に対しては台風19号襲来に備えて排水ポンプ車3台が事前に配置されていた。この3台は河川事務所(国)と北信建設事務所(県)そうして飯山市所有の1台である。

ここでは事前配置された排水ポンプ車にて排水作業を実施した。

 

4、広井川樋門: https://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/jimusho/shisetsu/suimonhimon/4.pdf :ここには常設の排水ポンプが設置されていて、排水作業にあたった。

5、おだての排水機場: https://archive.md/bH69G : https://archive.md/FGkSx : https://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/jimusho/shisetsu/suimonhimon/6.pdf :名前の通り、樋門構造に排水ポンプが常設されていて、排水作業にあたった。

 

、有尾樋管: https://archive.md/Ag05f :排水ポンプは事前配置されず、樋管ゲートも開けっ放しであった。

、皿川樋門: https://archive.md/CuOUg :排水ポンプ車は事前配置されず、樋門ゲートも開けっ放しであった。

  市民からの「氾濫した」を受けて国にポンプ車1台の出動要請をした。

8、栄川樋管+城山排水ポンプ場: https://archive.md/zcABs :常設のポンプ場ではあったが、皿川からの氾濫水によって排水機能が停止した。ーー>排水ポンプ車6台+可搬式排水ポンプで対応した。

、静間樋管: https://archive.md/XkhE2 :排水ポンプは事前配置されず、樋管ゲートも開けっ放しであった。

10、宮沢川樋門: https://archive.md/CrhX4 : https://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/jimusho/shisetsu/suimonhimon/11.pdf : https://archive.md/SdGV6 :排水ポンプを事前準備し、それで排水作業を実施した。

 

以上のまとめから分かります様に「台風19号襲来のおりに排水ポンプが事前配置されていなかった樋門・樋管は4つある事」が確認できます。

つまり『それぞれの河川でこれまでも内水排除の対策はしていた』という「飯山市の主張は事実ではない」という事になります。

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・排水ポンプ車を必要か所に事前配置する責任は飯山市がもつ件

さて「その9」で紹介した楽農家さんの投稿内容を見ておきましょう。
千曲川河川事務所からの回答
https://minkara.carview.co.jp/userid/2158429/blog/43569920/ : https://archive.fo/aO0Sf

 

『質問2.以前はポンプ車と監視員の設置をしてから閉門だったのに、今回からポンプ車設置しなかった理由も教えて下さい。』

従来は皿川樋門を閉じる時には常にそこには排水ポンプ車が待機していた、という証言になっています。
そうして、そのような手当をしないまま樋門を閉めたのは今回が初めてである、と言っています。

『(回答)
排水ポンプ車の派遣は、各市町村等からの要請を受けて、浸水状況などを総合的に判断して派遣しております。
今回洪水では、飯山市からの要請を受けて、広井川樋門、今井川樋門へ順次派遣をし、排水作業を実施しておりました。』

今井川樋門については飯山市の要請により事前に3台(国、県、市)の排水ポンプ車が事前に配置されていました。


広井川樋門については排水ポンプ場の排水ポンプトラブル対応の為に県のポンプ車が1台、先行で移動し稼働していました。


国にも広井川と今井川に向けて各1台づつの追加出動要請がありました。上記の河川事務所の回答はこの2台についてのものになります。(注1

しかしながらこの追加要請分は皿川氾濫の連絡を受けて、広井川、今井川には行かずに途中で皿川に行き先を変更したのでした。

『皿川樋門については、飯山市からの追加要請を受けた、10/13 4:00 に派遣をしています。』

13日の3時半に飯山市からの皿川氾濫の報告を受けて1台出発した、というのがこの記述です。

『なお、排水ポンプ車については、これまでも個別の樋門操作と一体とした運用は行っていません。』

排水ポンプ車の事前配置準備及び追加出動要請は各自治体の責任である、と言っています。
しかしこの話は各自治体が妥当な水防計画を立てる事が前提となっています。

そうして今回の飯山市の悲劇は「妥当な水防計画を飯山市が立てる事ができなかった」という事に起因しています。
その為に皿川については一切ノーケアであり、住民からの「水があふれた」という連絡をうけて、初めて皿川に注目するという「大きなミス」を犯しています。

しかしこれまでの飯山市の公式な見解では「飯山市にはミスがなく、台風19号が全て悪い」と総括されているのであります。

 

注1:さて国の報告「台風第19号(令和元年10月15日)の対応について(第7報)」によれば
http://www.hrr.mlit.go.jp/press/2019/10/191013press4.pdf
令和元年10月13日3時30分現在
『7.支援状況
10 月 12 日 広井川樋門(千曲川管内) 排水ポンプ車 照明車 1台 1台 現地へ移動中
10 月 12 日 今井川樋門(千曲川管内) 排水ポンプ車 照明車 1台 1台 現地へ移動中』
とあり、
このポンプ車は12日中に飯山市から河川事務所に今井川への事前準備分1台とは別に
追加の出動依頼が出されていたものと思われます。

このように広井川および今井川に対しては事前、あるいは台風襲来時にも相当に慎重な対応をしていますが、
皿川に対してはまったくその様な事前および台風襲来時の対応はなされていません。
そして後手に回った皿川対応が今回の被害の拡大をもたらした、という事は明らかであるように見えます。

さて「飯山市が3時30分に河川事務所に依頼した皿川対応用のポンプ車の事」が
国の報告に登場するのは
「台風第19号(令和元年10月15日)の対応について(第10報)」においてであり
http://www.hrr.mlit.go.jp/press/2019/10/191013press10.pdf
令和元年10月13日9時00分現在
『飯山市 皿川樋門(千曲川 管内) 排水ポンプ車 照明車 1台 1台 現地へ移動中』
と書かれています。

こうして国が飯山市に派遣した排水ポンプ車の数は事前配備の1台を含めて合計4台となり
これは飯山市の報告
『○排水ポンプ車の配置 10 月 12 日(金)~14 日(月)
 国土交通省 4台、長野県 2台、飯山市 1台
 広井川 1台 配置
 今井川 3台 配置 
皿 川 6台 配置』
という説明に現れる「国土交通省 4台」という数と一致する事が分かります。

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

台風19号 飯山水害の研究・一覧