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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
会社の存続を最優先に置くと、
すべてに牽制が働き動きが制約されてしまう。
また、それを最優先に置かないと、
会社制度が一日たりとも成り立たないのだから、
致し方のないことなのだろう。
そんな会社の寄せ集めが、この国の中身だ。
5時になったので、そそくさと帰る。
5時に帰社するには、相当勇気が入る。
何か特別な用事でもない限り、
40男には許されてない行為だ。
会社員を20年近くも続けてやっていると、
すっかり会社の見えない意志に
身が縛られてしまっている。
しかし、今日は人には言えないのだが、
香久やの為という大義名分があるので
疾しさは感じられない。
香久やが来てから、22~3時間になっている。
ということは、もう4~5才に成長しているはずだ。
デパートの惣菜売場に寄り、
ハンバーグ、コロッケ、カレー、アイスクリーム、
プリンなどを買う。
目茶苦茶な取り合せ。
こんな組合せになったのも、買物に慣れていない所為である。
夏の夕方の7時は、まだまだ明るかった。
風が心地よくあたる。
クーラーは、入れっぱなしにして出てきた。
風邪を引いてはいないだろうかと心配になってくる。
家について鍵を開けると、香久やが玄関口に立っていた。
心細かったのだろうか。
「ただいま」
つづく