現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

大阪ギャラリー巡り

2005-07-16 | アート感想@遠征
地下鉄西長堀駅に移動し、studio Jへ。

名和晃平展 -Drowings-

15点の展示作品は、全て紙へのドローイング。うち14点は、エアブラシドローイングの《A.B.D.》シリーズ。一見、ビーズや偏光シートの作品と同じ作家とは思えないけど、雰囲気は通じるところがあるかも。何よりも楽しんで描いているのが伝わってくるのが良い。気になるお値段も、4万円~と1点モノにしては手ごろだった。

7月30日まで、日・月休廊。



地下鉄北浜駅に移動し、MEMへ。冒頭の写真は、このギャラリーが入っている新井ビルの階段。

森村泰昌展「フェルメールの部屋」~大きな物語は、小さな部屋の片隅に現れる~

ギャラリー入口の扉には鍵が常にかかっていて、呼び鈴でスタッフを呼んで開けてもらう形式。しかも、ギャラリー内はカメラで監視中とのこと。それほど貴重なものがあるかと思うと、ますます期待が高まる。

ギャラリー内は、フェルメールの《画家のアトリエ》の部屋のようにに改装されていた。もちろん床はあの模様。近江八幡で観たボーダレス・アートギャラリーNO-MAの《画家のアトリエ》部屋は、外から覗くだけだったけど、こちらは中を歩き回れるのが良い。テーブルや床には、作家自身が学生時代に使った画材や、当時描いたスケッチがさりげなく置いてあった。

作品は6点で、うち5点が写真作品《フェルメール研究》シリーズ。これらの作品は、作家自身が変装して《画家のアトリエ》を実写で再現したものだけど、誰もいない部屋の写真や服の色を変えた写真もあって、改めて元絵の完成度の高さを実感。ビデオ作品《フェルメール研究(動く絵画)》も、最初は動画とは気づかなかったけど、作家による「発見」を次々に映し出すのが面白かった。

あと、なのかさんの7月2日の日記に、森村泰昌によるオープニング・レクチャーのレポートがあるので、興味を持たれた方はどうぞ。

7月30日まで、日・祝休廊。

ガンダム展@天保山(大阪)

2005-07-16 | アート感想@遠征
ひさびさの大阪遠征。

地下鉄大阪港駅で下車し、酷暑の中を5分ほど歩いてサントリーミュージアム[天保山]に到着。この建物(写真)は安藤忠雄の設計。

GUNDAM ~ 来たるべき未来のために

生粋のガンダム世代である東谷隆司がキュレーションした現代アートのガンダム展。出品作家は全員男性というのもガンダムならでは?

今回もっとも強烈だったのは、西尾康之の《crash セイラ・マス》。この作品は、ガンダムに登場する女性を陰刻鋳造で立体化したもので、普通の身長の5倍以上ある巨大な姿が圧巻。特に、お尻周りの表現には、作家の並々ならぬコダワリが感じられる。あと、ちょっと見づらいけど、お腹の部分に意外な仕掛けがあって面白い。

会田誠の《ザク(戦争画RETURNS番外編)》も凄まじい。無数の「ザク」が山のように密集しているシーンを描いたこの作品からは、本物の「戦争画」のような異常な高揚感が伝わってくるようだった。チラシやHPに載っているのは着色前の下絵だけど、着色された展示作品は、それと比べ物にならないくらい生々しい。

小谷元彦の《胸いっぱいの愛を》は、戦争の一面を冷徹に捉えた写真作品。軍服の女性が荒野でイスに腰掛けている写真が中央にあり、その両隣に男性の死体の山の写真、さらにその両隣と対面に骸骨の山の写真が配置されている。

このほか、形のないものを立体化した田中功起の《覚醒 in the air》と《ピキピキーン(劇場版)》や、金箔の背景に日本画風のガンダムを描いた天明屋尚の《RX-78-2 傾奇者 2005 Version》が印象的だった。

実を言うと、私はガンダムについてほとんど知識がなく、展覧会を楽しめるかどうか不安だったけど、純粋な現代アート展としても十分に楽しめる展覧会だった。ガンダム好きの現代アートファン(世間にどれくらいいるのだろうか……)なら、遠征してでも観に行くべき?

8月31日まで、会期中無休。