ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

在外選挙権制限違憲判決

2005-09-15 00:14:07 | 法務
在外選挙権の制限は違憲 立法の怠慢指摘 最高裁判決 (朝日新聞) - goo ニュース

 ご承知のとおり、日本国外に居住する日本人は国政選挙において比例代表のみ投票することができ、選挙区に関する投票をすることができません。このような選挙権の制限の合憲性を問う訴訟につき、最高裁大法廷判決が本日言い渡されました(判決全文はこちら)。


 結論としてはこのような制限は憲法に違反するとして原審の判決を破棄し、自判して原告勝訴としました。判決理由はかなり説得的であり納得できるものですが、立法不作為の違法を認定して原告勝訴とした判決は正直意外でした。もっとも選挙権に関する訴訟については最高裁はこれまでもかなり積極的に違法確認をしてきていたのでその一連の流れに沿うものなのでしょう。


 私も米国に居住していたときに一度だけ参議院議員選挙の投票を行いましたが、郵便投票では投票用紙が郵送されてきます。したがって、投票用紙を送付する際に選挙公報を送ることもできるので、「在外国民に候補者に関する情報を伝えることが著しく困難」とも言い難いような気がします。もっとも、郵送にかかる時間との関係から選挙公報ができる前に発送しなければならない事情があるのかもしれませんが、情報が完全に行き渡らないので一律に権利行使を認めないというのは行き過ぎでしょう。そんなことを言ったら、告示日の翌日から投票を行える期日前投票の制度だって考え直す必要がでてしまいます。


(ちなみに、在外投票をするには事前に在外公館に出頭して(在外公館の出張サービスを利用しても可。とにかく、領事館員の面前で手続きをとらなくてはならない)、在外選挙人名簿に登録してもらわなくてはなりません。結構面倒です。また、郵便投票では、送られてきた投票用紙を自己負担で選挙管理委員会に返送しなくてはなりません。しかも、時間の関係等がありEMSを使うことが推奨されています。私自身は、必ず選挙は投票しますので在外投票をしましたが、コストがかなりかかりますね。)


 この最高裁判決を受けて、政府は公職選挙法の改正作業に入ったようですが、依然としてインターネット上での選挙活動には消極的なようです。これを禁止する積極的な理由があまり見当たらないような気がするんですけどね。