ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

インターネットと文書図画の頒布

2005-09-03 11:21:51 | 法務

 総務省が選挙期間中のホームページの書換えが公職選挙法に違反するという見解を明確にしたようですが、法解釈論としてどうなのでしょうか。私は、公職選挙法の専門家ではありませんし、法文をじっくり読み込んだわけでもありませんが、疑問点が二つほどあります。

1.ホームページが文書図画?
 総務省は、ホームページの記載内容も公職選挙法第142条に定める指定された文書図画以外の頒布禁止に該当するという解釈をしたのだと思います。しかし、一般的には各種法令で「文書」「図画」と「電磁的記録」とは明確に峻別されていると思います(例えば、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(いわゆるe-文書法)第2条)。
 ホームページは、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」そのものですから、電磁的記録に該当すると考えられます。公職選挙法第142条第11項で「文書図画又は看板(プラカードを含む。以下同じ。)の類」という表現がありますが、「類」に電磁的記録を含めるのは拡大解釈でしょうし、同法第143条第2項の「アドバルーン、ネオン・サイン又は電光による表示、スライドその他の方法による映写等の類を掲示する行為」にホームページを含めるのも無理でしょう。
 公職選挙法の選挙運動の規制は、選挙制度という国の制度の根幹にかかわるものであり、憲法に定める表現の自由とも密接に関連する重大な規制ですから、安易に「文書図画」の定義を拡大解釈するのはいかがなものかと思います。

2.実質論としてもホームページを規制する必要があるか?
 文書図画の頒布枚数等を制限することは、選挙にかかる費用を抑制するために必要だということだと理解しています。しかし、ホームページの作成、公開は、文書図画の頒布に比べれば格段に安い費用でできるはずで、これを規制する必要性が理解できません。表現の自由、国民の知る権利等を考慮すれば、この規制の妥当性に疑義なしとしません。