退院の日、私達はそれぞれの親にたっぷり怒られた。
「二人して入院なんて!親としての自覚に欠けている!」
特にカズトは、おばさんから紅葉色の立派な手形を両頬に貰っていて、痛々しかった。
マンションに帰って、私がその手形を見る度にクスクス笑うと、カズトはむっとした。
「ひっでぇ……。笑ってるし……」
彼はそう言いながら、私の首に腕を回し体を引き寄せると、拳で私の頭をグリグリし、「お前にもお裾分けだーー!」と笑った。
嫌がって逃げ回る私を見るカズトの目は、以前のように穏やかで、私をほっとさせた。
カズトは笑った私に一通り復讐すると、ソファにふんぞり返りながら、
「ったく。いい年した息子を捕まえて、『愛のムチだ!』つって往復ビンタはねぇよな」
と、ブツブツ文句を言って、鏡にその頬を代わる代わる映しては何度も「痛ぇ~」と擦った。
私がタオルを冷して彼に渡そうと、笑いに涙を拭きながら水道の蛇口を捻った時、電話が鳴った。
電話に出たカズトの声と顔が一瞬、冷たくなった。
「ハルナ……。トモちゃんからだ」
カズトの顔からは笑みが消え、受話器を持ち上げながら、私の顔をじっと見つめた。
息を飲み、震えそうな指先に力をいれて受話器を受け取った。
「もしもし……」
「あ!ハルナ!電話しても出ないから心配してたよぉ~」
テンションの高いトモの電話を受けながら、私の鼓動はその動きを速めて行く。
「……ごめんね、トモ。今、私、ちょっと手が離せないから……」
「話せばいいだろう!!」
カズトの怒声が電話を通して聞こえたようで、トモは一瞬言葉を失っていた。
「……まさか、ばれたの?」
トモの問いに、私は沈黙で答えた。
「ごめん!ハルナ!!本当にごめんね……。あたし余計な事、しちゃって……」
「ううん。じゃ、また」
「ハルナ!あたし、急いでハルナに伝えたい事があって……」
「ごめん……。切るね」
私は、カズトの目線を逸らしながら、急いで電話を切った。
トモを責めるつもりなんてない。
私は、あの京都で本当に幸せだったから……
トオル君とほんの一瞬でも心を通わせる事が出来て、一緒に過ごせて幸せだったから。
そう思いながらも動揺し、タオルを絞る手が震えた。
カズトはじっと私を見つめたまま、私の側に歩み寄るとキスをした。
「カズト、ダメ……。すぐに頬を冷さないと……」
タオルを彼の頬に当てようとした瞬間、彼は私の手を取り、ツカツカと早足で彼の部屋へと連れて行った。
そして、彼はベッドに私を押し倒すと、再び唇を重ね、胸元を弄り始めた。
「カズト……。あ……」
「今日はどんな言い逃れも聞かねぇからな……」
目を瞑り、震える息を堪える私の上半身を露わにし、その胸の頂きを口に含みながら、カズトは言った。
「ハルナ……。ハルナ……。オレの方がずっとお前の事を愛してる……」
シーツを掴み、カズトを受け入れながら、今日、アメリカに帰るトオル君を想い、私は零れ落ちる涙を枕に隠していた。
↑「いま、会いにゆきます」で有名な♪アルファポリスです
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「二人して入院なんて!親としての自覚に欠けている!」
特にカズトは、おばさんから紅葉色の立派な手形を両頬に貰っていて、痛々しかった。
マンションに帰って、私がその手形を見る度にクスクス笑うと、カズトはむっとした。
「ひっでぇ……。笑ってるし……」
彼はそう言いながら、私の首に腕を回し体を引き寄せると、拳で私の頭をグリグリし、「お前にもお裾分けだーー!」と笑った。
嫌がって逃げ回る私を見るカズトの目は、以前のように穏やかで、私をほっとさせた。
カズトは笑った私に一通り復讐すると、ソファにふんぞり返りながら、
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と、ブツブツ文句を言って、鏡にその頬を代わる代わる映しては何度も「痛ぇ~」と擦った。
私がタオルを冷して彼に渡そうと、笑いに涙を拭きながら水道の蛇口を捻った時、電話が鳴った。
電話に出たカズトの声と顔が一瞬、冷たくなった。
「ハルナ……。トモちゃんからだ」
カズトの顔からは笑みが消え、受話器を持ち上げながら、私の顔をじっと見つめた。
息を飲み、震えそうな指先に力をいれて受話器を受け取った。
「もしもし……」
「あ!ハルナ!電話しても出ないから心配してたよぉ~」
テンションの高いトモの電話を受けながら、私の鼓動はその動きを速めて行く。
「……ごめんね、トモ。今、私、ちょっと手が離せないから……」
「話せばいいだろう!!」
カズトの怒声が電話を通して聞こえたようで、トモは一瞬言葉を失っていた。
「……まさか、ばれたの?」
トモの問いに、私は沈黙で答えた。
「ごめん!ハルナ!!本当にごめんね……。あたし余計な事、しちゃって……」
「ううん。じゃ、また」
「ハルナ!あたし、急いでハルナに伝えたい事があって……」
「ごめん……。切るね」
私は、カズトの目線を逸らしながら、急いで電話を切った。
トモを責めるつもりなんてない。
私は、あの京都で本当に幸せだったから……
トオル君とほんの一瞬でも心を通わせる事が出来て、一緒に過ごせて幸せだったから。
そう思いながらも動揺し、タオルを絞る手が震えた。
カズトはじっと私を見つめたまま、私の側に歩み寄るとキスをした。
「カズト、ダメ……。すぐに頬を冷さないと……」
タオルを彼の頬に当てようとした瞬間、彼は私の手を取り、ツカツカと早足で彼の部屋へと連れて行った。
そして、彼はベッドに私を押し倒すと、再び唇を重ね、胸元を弄り始めた。
「カズト……。あ……」
「今日はどんな言い逃れも聞かねぇからな……」
目を瞑り、震える息を堪える私の上半身を露わにし、その胸の頂きを口に含みながら、カズトは言った。
「ハルナ……。ハルナ……。オレの方がずっとお前の事を愛してる……」
シーツを掴み、カズトを受け入れながら、今日、アメリカに帰るトオル君を想い、私は零れ落ちる涙を枕に隠していた。
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