フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

18歳

2005年09月23日 20時09分11秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
「それで?」
オレはノートが何だよと言う態度をとった。
小谷は一歩オレに近づくと小さな包みを差し出した。
「これ……」
「何だよ?これ?」

ぶっきらぼうに小さな包みを小谷につき返しながら尋ねた。

「プレゼント、なの。お誕生日、おめでとう」

この時、初めて今日がオレの18の誕生日だったことに気がついた。

「こんなもん貰うほど、あんたと親しくないんだけど」

オレは冷たく突き放し彼女に背を向けると、玄関のドアノブに手を掛けた。

「……好き。好きです」
「はっ?!」
「片岡君が、骨折で入院した時に気付いたの」
「何を?」
「だから、好きってこと」

オレはこの時、史上最悪の気分だったから、さっさと小谷に帰って貰いたかった。

「悪いけど、今日はそんな話しする気分じゃない」
「片岡君、足を怪我してから変になった」
「……そうかもな」
「だから、昔のように戻って欲しくて……」
「そりゃどーも」
「そのためだったら、何でもしてあげたくて」
「……ふーん。じゃ、ヤラせろよ」
「……」


小谷は驚いたようで真っ赤になって俯いた。
見るからに小谷は男を知らなそうなヤツだった。
だから、困らせてやるつもりで言った。

誰でも良い……。
オレ以上に誰かを傷つけたい。
そんな残酷な衝動に駆られていた。
それに、幾らなんでもこんなサイテーなこと言うヤツ、引っ叩いて逃げるだろうと思った。

だけど、小谷は頷き、小さく、「いいよ」と、消え入りそうな声で言った。
「……まじ?!」

誰でも良かった。
誰でもいい、こんな状態から救い出して欲しかった。
性懲りも無く、また女を抱くことで、空虚な自分から目を背けようとしていた。

オレは黙って玄関の扉を開けた。
突然、小谷が後ろを振り向いた。

「どした?怖気づいた?」
「ううん。そうじゃなくて、人の気配がして」
「気のせいじゃねぇの。入んの?入んないの?」

小谷は下を俯くと、黙ってオレに体を預けてきた。
小谷の微かに震える肩を抱きながら、ふと長い髪に触れた。

「ハルナ……」

オレはその髪に顔を埋めると、思わず口ずさんでいた。




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