海岸線沿いに車を走らせるトオル君の横で、私はフロントガラスの先の涙に歪んだ景色を見ていた。
「僕は両親のことを本当に愛しているし、尊敬もしている。
だけど、僕が一体どこから来たのか、僕自身のルーツを知りたいんだ」
「・・・・・・お父さんやお母さんからは何も聞かなかったの?」
トオル君は頭を振った。
「親を傷付けたくない。だから、僕は知らない振りをしているんだ。」
「それって、本当に、トオル君の望むことなの?
お父さんもお母さんも、それで本当に平気なのかな?」
トオル君は「間違っているかもしれないけど、・・・恐いんだ。本当のことを知れば何もかもが崩れてしまいそうで」と小さく呟いた。
「それに、僕が一体誰なのか、知ってどうしようと言うのかも、実は分からないんだ」
トオル君は深い混乱と悲しみの中に今も住んでいて、その場所は常に漂流している・・・・・・そんな気がした。
まるで棲家を失ったカモメのようにトオル君の心は、港を求めてさ迷っているような淋しさが潜んでいた。
私は今までトオル君の愛にどっぷり浸かっていながら、それに気付きもせず、自分のことを嘆いてばかりだった。
トオル君が本当はどんなに苦しんでいるのか耳を傾けようともしなかった。
私は初めて男のヒトを救いたいと思った。
そして、守ってあげたいと・・・・・・。
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だけど、僕が一体どこから来たのか、僕自身のルーツを知りたいんだ」
「・・・・・・お父さんやお母さんからは何も聞かなかったの?」
トオル君は頭を振った。
「親を傷付けたくない。だから、僕は知らない振りをしているんだ。」
「それって、本当に、トオル君の望むことなの?
お父さんもお母さんも、それで本当に平気なのかな?」
トオル君は「間違っているかもしれないけど、・・・恐いんだ。本当のことを知れば何もかもが崩れてしまいそうで」と小さく呟いた。
「それに、僕が一体誰なのか、知ってどうしようと言うのかも、実は分からないんだ」
トオル君は深い混乱と悲しみの中に今も住んでいて、その場所は常に漂流している・・・・・・そんな気がした。
まるで棲家を失ったカモメのようにトオル君の心は、港を求めてさ迷っているような淋しさが潜んでいた。
私は今までトオル君の愛にどっぷり浸かっていながら、それに気付きもせず、自分のことを嘆いてばかりだった。
トオル君が本当はどんなに苦しんでいるのか耳を傾けようともしなかった。
私は初めて男のヒトを救いたいと思った。
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