「あのさ。聞いてもいいかな?」
車に乗り込むなりトオル君は大真面目な顔で私に質問した。
「もしかして、以前、プレゼントしたペンダント、気に入らなかった?」
私は思ってもみなかった彼からの質問に一瞬キョトンとしてしまった。
「え?え??え???そんなことないよ!すんごい嬉しかった。どしたの?急に?」
「いや・・・・・・さ。ハルナしてないから・・・・・・。無理して喜んだのかと思って」
「どうして、そうなるの?確かに身に付けてないけど、それは無くしたくないからなんだもん」
私はトオル君の疑いの眼差しにちょっとムッとして、バッグから財布を取り出した。
「落としたくないから、この中に入れてるの!」
トオル君は少しほっとした表情を見せながらも、私への抗議の声を緩めなかった。
「ハルナ・・・・・・。そんなトコに入れてないでさ。着けてよ。プレゼントの意味無いよ、それじゃ。
気に入らなかったんじゃないかって、内心ショックを受けたよ」
「だって、無くしたら悲しいし・・・・・・」
「大丈夫!君はぽーっとしてるから、身に着けてても、財布に入れてても無くす時は無くすよ。それよりも、着けてくれた方が嬉しいよ」
トオル君のムチャクチャな主張に私は更にむくれてしまっていた。
「これ無くしたらショック大きいもん。立ち直れないもん」
「無くしたら新しいのを買ってあげるよ。だから安心して着けようよ。ね?!」
「だけど、トオル君が初めてくれたプレゼントはこれだもん。
他のじゃ、ダメなの!これは特別なんだもん!」
トオル君は、何も言い返さずに、はぁっと小さく溜息を吐いた。
私達はしばし無言で抗議の鍔迫り合いをした。
昔、誰かが言っていたことを思い出す。
沈黙の時間のことを「天使が通る」と言うらしいってことを。
きっとトオル君と私のこの沈黙の時間にも、天使はオロオロしながら何度も私達の間を往復しているんだろうな。
だけど、天使が右往左往している時間に堪え切れず最初に口を開いたのは私の方だった。
「・・・・・・呆れた?怒ってる?ちゃんと言ってくれないと不安になる」
私は、彼の溜息の意味を幾通りもの意味で考えてしまって、不安になってきた。
「違うよ。嬉しくて・・・・・・。で、可愛いなぁって思って。
車を運転してなきゃ、抱きしめてキスしたいとこだったのに。残念」
私もほっとすると共に、徐々にいとおしい気持ちが込み上げてきた。
じゃぁ、後で気絶するくらいいっぱい抱きしめて、そしてキスして・・・・・・
そんなことが言えるくらい大胆な性格じゃない自分の情けなさに「はぁ」って短い溜息を吐いた。
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「もしかして、以前、プレゼントしたペンダント、気に入らなかった?」
私は思ってもみなかった彼からの質問に一瞬キョトンとしてしまった。
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「いや・・・・・・さ。ハルナしてないから・・・・・・。無理して喜んだのかと思って」
「どうして、そうなるの?確かに身に付けてないけど、それは無くしたくないからなんだもん」
私はトオル君の疑いの眼差しにちょっとムッとして、バッグから財布を取り出した。
「落としたくないから、この中に入れてるの!」
トオル君は少しほっとした表情を見せながらも、私への抗議の声を緩めなかった。
「ハルナ・・・・・・。そんなトコに入れてないでさ。着けてよ。プレゼントの意味無いよ、それじゃ。
気に入らなかったんじゃないかって、内心ショックを受けたよ」
「だって、無くしたら悲しいし・・・・・・」
「大丈夫!君はぽーっとしてるから、身に着けてても、財布に入れてても無くす時は無くすよ。それよりも、着けてくれた方が嬉しいよ」
トオル君のムチャクチャな主張に私は更にむくれてしまっていた。
「これ無くしたらショック大きいもん。立ち直れないもん」
「無くしたら新しいのを買ってあげるよ。だから安心して着けようよ。ね?!」
「だけど、トオル君が初めてくれたプレゼントはこれだもん。
他のじゃ、ダメなの!これは特別なんだもん!」
トオル君は、何も言い返さずに、はぁっと小さく溜息を吐いた。
私達はしばし無言で抗議の鍔迫り合いをした。
昔、誰かが言っていたことを思い出す。
沈黙の時間のことを「天使が通る」と言うらしいってことを。
きっとトオル君と私のこの沈黙の時間にも、天使はオロオロしながら何度も私達の間を往復しているんだろうな。
だけど、天使が右往左往している時間に堪え切れず最初に口を開いたのは私の方だった。
「・・・・・・呆れた?怒ってる?ちゃんと言ってくれないと不安になる」
私は、彼の溜息の意味を幾通りもの意味で考えてしまって、不安になってきた。
「違うよ。嬉しくて・・・・・・。で、可愛いなぁって思って。
車を運転してなきゃ、抱きしめてキスしたいとこだったのに。残念」
私もほっとすると共に、徐々にいとおしい気持ちが込み上げてきた。
じゃぁ、後で気絶するくらいいっぱい抱きしめて、そしてキスして・・・・・・
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