帰りは二人とも無言だった。
車窓から見える景色が華やかなネオンから見慣れた街の明かりへと変わる頃には、私の体の震えも止まっていた。
家まで後数メートル手前の角でかずにぃは車を止めた。
そして、ハンドルを握ったままじっと前を見つめていた。
数台の車が私達の車の横を通り過ぎた後、おもむろに、かずにぃが重い口を開いた。
「返事……」
「えっ?」
「返事は、もっと後でいいから」
「…………」
「オレのこと、ちゃんと見て、考えて欲しい」
「…………うん」
「『おにぃちゃん』じゃなくて『オトコ』として」
「…………」
「今日のことは悪かった」
「…………」
「でも、なかったことにするつもりはないから」
かずにぃの振り絞るような声にはっとして私が瞳を上げると、そこには今まで見たことのないかずにぃの顔があった。
私はとにかく逃げたかった。
そう……。
かずにぃが恐かった。
私は車から降りると、走り去るかずにぃの車のテールランプが見えなくなるまで、私はただ立ちつくしていた。
それからどうやって自分の部屋まで辿り着いたのか、よく覚えていない。
ベッドにしがみ付くようにうずくまり、深く深く深呼吸をした。
身体はまだ車に乗っていた二人の時間を忘れていないかのように揺れていた。
「ホテルにでも泊まる?」
「冗談だよ。ジョ、ウ、ダ、ン。」
「オレのこと、ちゃんと見て、考えて欲しいんだ」
「『おにぃちゃん』じゃなくて『オトコ』として・・・」
かずにぃの顔がゆらゆらと浮かんでは、夜の闇に溶けて行く。
頭がパニクってて、思考がまとまらない。
でも、これだけは分かった。
もう、昔の二人には戻れない。
かずにぃは、「男のヒト」なんだ。
人気blogランキングへ
↑ブログランキングに参加しています。
押して頂けると励みになります。
車窓から見える景色が華やかなネオンから見慣れた街の明かりへと変わる頃には、私の体の震えも止まっていた。
家まで後数メートル手前の角でかずにぃは車を止めた。
そして、ハンドルを握ったままじっと前を見つめていた。
数台の車が私達の車の横を通り過ぎた後、おもむろに、かずにぃが重い口を開いた。
「返事……」
「えっ?」
「返事は、もっと後でいいから」
「…………」
「オレのこと、ちゃんと見て、考えて欲しい」
「…………うん」
「『おにぃちゃん』じゃなくて『オトコ』として」
「…………」
「今日のことは悪かった」
「…………」
「でも、なかったことにするつもりはないから」
かずにぃの振り絞るような声にはっとして私が瞳を上げると、そこには今まで見たことのないかずにぃの顔があった。
私はとにかく逃げたかった。
そう……。
かずにぃが恐かった。
私は車から降りると、走り去るかずにぃの車のテールランプが見えなくなるまで、私はただ立ちつくしていた。
それからどうやって自分の部屋まで辿り着いたのか、よく覚えていない。
ベッドにしがみ付くようにうずくまり、深く深く深呼吸をした。
身体はまだ車に乗っていた二人の時間を忘れていないかのように揺れていた。
「ホテルにでも泊まる?」
「冗談だよ。ジョ、ウ、ダ、ン。」
「オレのこと、ちゃんと見て、考えて欲しいんだ」
「『おにぃちゃん』じゃなくて『オトコ』として・・・」
かずにぃの顔がゆらゆらと浮かんでは、夜の闇に溶けて行く。
頭がパニクってて、思考がまとまらない。
でも、これだけは分かった。
もう、昔の二人には戻れない。
かずにぃは、「男のヒト」なんだ。
人気blogランキングへ
↑ブログランキングに参加しています。
押して頂けると励みになります。