これは実際にあったお話です。
上の写真は7月31日の金曜日。
甲府盆地から帰ってまだ明るいから夕日を撮りに出てきた時のこと。
川風に当たっていた午後7時頃、カミさんから携帯が鳴った。
「大変なことに」。「なに?」。深刻そうな声である。
家の二階の窓の下に大きな蜂の巣が出来てる。
裏のご主人が見つけてくれたという。
日没を撮り終えて帰宅すると、確かに大きなアシナガ蜂の巣がある。
近所の人たちも見ている。
別にいい格好しようと思った訳ではないが、
アシナガ蜂なら付き合いは長い。蜂の子を炒って食べたり釣りの餌にしたり。
じっとしてればそう襲うものでもない。
場所が下からは梯子が立てにくい場所だ。
要は一瞬で巣を蹴落とせばお仕舞だと思っていた。
窓の外の格子の左から三番目のちょっと横。
私は二階の窓から手を伸ばして払おうとした。
カミさんがゴム手袋を出したが、軍手だけで良いと断った。
部屋の明かりを消して網戸を開けて。
そっと覗くと目と鼻の先の格子にも蜂は止まっていた。
格子が邪魔して巣を直接見ることはできない。
レジ袋を左手に持って、巣の位置を確かめようと
手を動かした瞬間、蜂の巣の感触も分からない内に
指先に激痛が走った。
「あっ!」。
私は手を引込めあわてて軍手を外して指先を吸った。
右手中指の先端である。 網戸を急いで閉めた。
裏のご主人も見ていたが、
その日は対外的には二度と家から顔も声も出さなかった。
ミツバチには二度ほど刺されたことがあるが、
アシナガバチは初めてだ。
ミツバチの痛みとは明らかに違う。
音に例えるとミツバチは高音の痛み
アシナガバチはもっと低い音で痛みも深い。
指先を吸ったところで、痛みは容赦ない。
取りあえず指先を縛ってみようと輪ゴムを第一関節に巻いた。
ところがこれがいけない。見る見る指先は赤ワインの色にパンパンに。
「医者に行って見せた方が」。 「そうだな」。時間は午後7時半頃。
ところが、いつもは緊急の電話番号とかちらちら目にするのに
こんな時間どこに電話して良いか分からない。
やむなく119番。
事情を話して、自分で行けるのでやっている病院を教えてくれと頼んだ。
入間市の病院と、日高の巾着田の近くの病院とを教えてもらった。
日高の病院に電話して、事情を話し20分ほどで行くからと。
病院からは、もう会計が仕舞っているので
保証金として1万円用意してほしいと言われた。
指先の輪ゴムの話をしたら、取った方が良いという。
取ったら二重の苦しみのひとつから解放された。
「針は残ってないですよね」。
老眼だからそこまで確認できない。
指先を吸ったとき何の異物感もなかったので
無いと思うと答えた。
指先に薬を塗って、脱脂綿を被せて第一関節から絆創膏で止められた。
後はアレルギーを抑える飲み薬。
刺されて45分後だった。医者の目を通しているのでこれで一安心。
ところが帰りの車。 ハンドルを握ると中指が立った形になってしまう。
ワイパーが突然回るは、ウィンカーが勝手に点いちゃうは。
平和な一日は7時の夕食が、8時半を回っていました。