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ペコペコ絵日記

なにはともあれ嵐

「黒と茶の幻想」恩田陸

2006年04月28日 | 
こんなスバラシイ本に加トちゃんのイラストを付けるのは気が引けるんですが、これしか浮かばなかったんだからしょうがない。軽く流してくださいまし。ほんっと面白かったです。上下巻なんですが、上巻を読み終わった時点ですぐに下巻を読むのがもったいなくてもう一度上巻を読んじゃいました。話は大学時代の同級生男女4人が久しぶりに再会して旅行に出掛けるというただそれだけなんです。なのに道中の会話の中ででそれぞれが抱える過去の謎がどんどん解き明かされていくのがすごく面白いんです。しかも物語が4章に分かれていて4人それぞれが語り手となるので、4人全員が何を考えているかが読み手には全て分かるようになっているところがまた心憎い。超オススメです。

「もつれっぱなし」井上夢人

2006年04月18日 | 
新刊コーナーに並んでいて面白そうだったので買いました。なんと全編会話のみの連作短編集なんです。うまいことできてました。会話だけの小説を読んだのは初めてですが「へぇ~っほんとに会話だけだ」というのが率直な感想です。話自体はそんなに面白くなかったかな。ところで、私が買ったのは講談社文庫なんですが、なんと6年前に文春文庫で一度出版されていたということに読み終わってから気付きました。新作ちゃうやん!正直ガッカリです。しかも文春文庫のほうが90円も安かった…。みみちい?
ところで「きょうの猫村さん」2が5月に発売されるみたいですよ!ああ~楽しみ!

「噂」荻原浩

2006年04月09日 | 
「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すために巧妙に広められた噂はいつしか都市伝説となり、やがて現実に足首のない少女の遺体が発見されたのだった…というお話。都市伝説好きなんですよね~。昔、別冊宝島の都市伝説モノなんかを何度か買ったものです。読んだらゾゾ~ッとするのに読んじゃう。あはは。というわけで買ったこの、面白かったです。噂が広まる過程を調べるのが面白いし、出てくる女子高生達も面白かったです(現役女子高生がこれを読んでどう思うのかは別ですが)。でも、どうしても納得できないのがこの本についてる帯の煽り文句。「衝撃のラスト一行に瞠目!」と書いてあるんですが、そこまで言われたら途中でラストがわかります。私は推理小説を読んでいても途中で犯人がわかったことは一回もありませんが、それでもこの本のラストも伏線もわかりました。この帯に惹かれて買ったことは事実ですが、この帯に怒りを覚えたのも事実です。
さあ、アナタもラストを当ててみませんか?

「東京タワー」リリー・フランキー

2006年04月08日 | 
書こうかどうか迷ったんですが、書いちゃいましょう。日本中を泣かせたこの本をやっとこさ借りて読みました。驚いたのは特に前半が読みにくかったこと。エッセイで慣れ親しんだ歯切れのいいクールな語り口はなく、うだうだうだうだとした文章が続いて大変でした。しかもリリーさんってかなりダメダメな人でびっくり。そのおかげでオカンの偉大な愛が引き立つわけですが、リリーさんに感情移入するのは難しかったです。そんなことしてちゃいかんやろって何回も思いました。まあ私が感情移入できないような破天荒な人だからこそリリーさんのエッセイが私にとってあんなに輝いたものだったんだなぁと妙に納得でしたが。さすがに後半はオカンの壮絶な闘病記になるので「泣ける!」という前評判は本当なんですが私には微妙な読後感の作品でした。…ひゃ~恐れ多いこと書いちゃった!!

「都立水商!」室積光

2006年03月30日 | 
28日に放送していたスペシャルドラマの原作です(裏番組の細木数子vsジャッキー・チェンを見ていたのでドラマの話は置いておきます)。面白い設定なのでハードカバーで刊行された時から気になっていました。なんと東京都に水商売の専門学校ができてしまうというお話なんです。学生はホスト科・ホステス科・マネージャー科・ソープ科(!)など七学科に分かれてそれぞれの専門技術を学ぶんですって。いや~面白いこと考えるなぁ…と当時私は素直に感心したものです。でも文庫になって中身を読んでみたらびっくり。この作者は発想力はあっても文章力はなかったようです。「都立水商の歴史」というちゃちいパンフレットを読まされたような感じでした。なんか浅くて薄いんです。「こういうエピソードがありました。こういうエピソードもありました」と並べただけみたいな。…微妙。面白い題材なのに惜しいな~と思ってこの本を原作にした漫画の1巻をネットで試し読みしてみたら漫画のほうが面白かったです。題材が題材なのでちょっとエッチなシーンもありますがオススメです。

「ブルーもしくはブルー」山本文緒

2006年03月24日 | 
昨日までNHKでドラマの再放送をしていたのでなんとなく買っちゃいました。…ドラマ見てないんですけどね。主人公は羽振りのいい夫と結婚して東京で優雅に暮らす佐々木蒼子。しかし結婚6年目を迎えた今、夫は堂々と不倫し自分も憂さを晴らすように年下と浮気する空虚な生活を送っているのでした。実は蒼子は今の夫と結婚する前に朴訥な板前と付き合っていたんですが、所帯染みていく自分の将来におびえてその板前のプロポーズを断っていたのです。空虚な日々の中で考えるのは「もしもあの時あの人と一緒になっていたら…」という想像。普通ならそれで終わりなんですが、なんと蒼子はある日、その板前と仲睦まじく寄り添う自分の姿を発見するのでした。びっくりするでしょう?そのそっくりさんと話をしてみたところ、相手も確かに自分らしい。なんで??…結局何がなんだかわかんないけど、いい機会だからお互いの生活を取り替えてみよう!ってことになり、そこから恐ろしいすったもんだが起きるのでした。いや~面白かったです。山本文緒は女のドロドロしたところを書くのがいつもうまいんですが、今回はドロドロした感情を抱く相手が他人ではなく「自分」。怖さも倍増でした。オススメです。

「臓器農場」帚木 蓬生

2006年03月23日 | 
そう、このオドロオドロしいタイトルに惹かれて買いました。いや~こわ~いと言いつつもウキウキする私。このの舞台は新しく出来た総合病院。積極的に最先端医療を導入し、特に脳死の赤ん坊からの多臓器移植では多大な成功を収めています。でもその病院には謎の特別病棟が…。と、つかみはオッケーだったんですが、そこから先がイマイチ。(以下ちょびっとネタばれ)オドロオドロしいのを想像していた私が悪かったんですが、意外と爽やかだったんですよ。主人公は学校を出たてのピチピチ純真ナースだし、黒幕はちゃちいし。どうも国家的陰謀とか国際テロ組織とか軍隊なんかが出てくるもんばっかり見てるんでこれぐらいじゃ動じなくなってしまいました。いかんなぁ。そんなこと言いつつもこの本の提示したこれからの医療の問題点はなかなか考えさせられました。医療モノが好きで「この本怖そうだからやめよっと」と思っていた方はぜひ読んでみて下さい。怖くないです、ハイ。
今回の絵は「農場」で連想したカワイイおじさんで~す。

「イン・ザ・プール」奥田英朗

2006年03月22日 | 
近代的で清潔感漂う伊良部総合病院の地下にじめ~っと存在する神経科。そこに訪れた人を迎えるのは「いらっしゃーい」という甲高い声。その声の主は伊良部一郎。色白で太ったその精神科医は言動も治療方法もなんか変。利口なのかバカなのか、名医なのかヤブ医者なのか患者は大混乱…という連作短編です。面白かったですね~。ほんとにこの医者気持ち悪いです。ドラマでは阿部寛、映画では松尾スズキが演じました。阿部ちゃん、男前キャラをなげうってかなり気持ち悪~く熱演してましたが、それでもまだ足りません。松尾スズキ(見てないけど)でも足りないくらいに気持ち悪かったです。でも面白い。不思議ですね~。ぜひ読んでみてください。でもこの作者の「最悪」はあんまりというか全然好きじゃないんです。私にとってはほんと最悪。ネットのレビューでは評判がいいみたいでびっくりしましたが。
ところで今回の絵は映画「スキャ○ダル」のあのお方。松尾スズキが同じヒゲをはやしてる時に激似だといろんなブログに書いてあったので描いてみました。…あくまで一般的な意見です。私の意見ではありませんので悪しからず。

「コスメティック」林真理子

2006年03月17日 | 
前に「anego」を読んだらドロッドロで面白かったので古本屋で買ってみました。化粧品業界を舞台に繰り広げられる女たちの闘いを描いたこの。30代キャリア女性が主人公なのに、なんか遠い…。スチャラカ社員の私にとっては「24」ぐらい遠い話でした。だって広告代理店で働く30代のキャリアウーマンが、外資系化粧品業界のディレクターに「うちで働きませんか?」と旅行先のフランスで声を掛けられる→広報担当としてバリバリ働く→別の会社からヘッドハンティングされる…という華麗なるサクセスストーリーなんですもん。その間、女性蔑視傾向のあるマザコン彼氏をズバッと切って捨てたり、ステキなオジサマと不倫したり、まるでハーレクインロマンスのように波乱万丈なんです。…ありえない。でもそのありえなさが面白かったです。仕事をバリッバリ頑張ってる皆様に特にオススメです。…そうでない方もそれなりに。

「夏と花火と私の死体」乙一

2006年03月06日 | 
会社の人に「カスハガの世界」を貸したらお礼にこの本を貸してくれました。実は前にこの作者の本を一冊読んだはずなのですが内容はもちろんタイトルまで忘れてしまっていたのでありがたくお借りしました。作者が16歳の時に書いたというこの本、ホラーと銘打ってあるだけあって全編を通して暗~いですが面白かったです。びっくりしたのが解説文。私の大好きな小野不由美だったんです。しかもベタ褒め。私はかなり流されやすい人間なので小野不由美が褒めてるだけで読む前からかなりテンションが上がりました(私はいつも解説文を先に読みます)。それで前より面白く感じたのかも。いやそもそも前に読んだのは何だったんだ…?
ところでこの本の中に子供達がアニメを見るシーンがあるんですがそのアニメが「宇宙船サジタリウス」だったんです!いや~大好きだったよな~。急に乙一に親近感を感じる私なのでした。

「消費セラピー」辛酸なめ子

2006年03月04日 | 
前に買った「ほとばしる副作用」が結構気に入ったので新刊を買いました。「生きるためのお金を自分で稼がなければならない大人になった今、買い物は万引き以上にスリルがあると言えましょう」とおっしゃる著者が自腹で購入した品々について語ったエッセイです。ヒネリの効いた文章と独特のタッチの絵が不気味なハーモニーを醸し出していて今回も面白かったです。…そんなに楽しませてもらったのに今回のイラストの出来はひどすぎます。ゴメンナサイ、なめ子サン。

「QJ」映画ドラえもん総力特集

2006年03月02日 | 
今まで読んだ事のない雑誌なんですが、かわいいドラえもんの表紙が目に付いてパラパラと立ち読みをしました。そしたらなんとオダギリジョーのロングインタビューが載ってるじゃありませんか!あのユルいドラマ「時効警察」を熱く語るオダジョー。そうか~そうだったのね~といちいち納得しながら熟読してしまいました。そんなこんなで今回のイラストはドラえもん。隣にいるのはミニドラです。残念ながら私が創作したわけではありません。ちゃーんとマンガにもアニメにも出てくるんですよ。ちょっとちっちゃいだけなのにカワイイと思いません?セリフは単語の頭文字しか言えないので「ドラえもん、ドラえもん」と呼びかける時は「ドードー」です。う~ん、カワイイ。

「太陽の黄金の林檎」レイ・ブラッドベリ

2006年03月01日 | 
3月25日(土)から公開される映画「サウンド・オブ・サンダー」の原作です。この映画、すっごい私の好みっぽいんですよ。まず舞台は近未来。その世界ではなんとタイムトラベルが可能で旅行会社が「白亜紀ハンティングツアー」を組んでるんですよ。でも狙っていいのは2分後に死ぬとわかっているティラノサウルスだけ。もしもそれを破ってほんの少しでも過去に影響を与えてしまえば未来が変わってしまい、異常気象や巨大生物などの進化の波が一気に人類を襲う…というお話。私の大好きな「恐竜」と「異常気象」がダブルで楽しめるわけです。わーいわーい。「デイ・アフター・トゥモロー」以来の興奮です。そこはかとなくB級の予感がするのもいい感じ。そんなこんなで原作を買ってみました。短編集だったんですが面白かったです。この作者、初めて読んだんですが「SFの叙情詩人」「幻想作家」などと呼ばれている大家らしく、巻末の解説では中島梓(栗本薫)が絶賛しててびっくりしました。他のも読んでみよっと。

「リアルワールド」桐野夏生

2006年02月26日 | 
高校三年の夏休み、山中十四子(としこ)の隣家の少年が母親を撲殺して逃亡。ひょんなことからその少年と携帯でやりとりすることになる。そして十四子の友人もその逃亡にかかわることに。遊び半分で始まった冒険はやがて取り返しのつかないことに…という背表紙のあらすじを見て購入。結構面白くってだーっと読んじゃいました。ただ気になるのはこれってほんとに今の高校生をうまく描けてるの?ってことです。大人には想像も出来ない脅威の数々にさらされた高校生。対人関係で恐ろしく気をつかい、友人にさえ容易に心を開かない高校生。う~ん。極端に書いてあるけど高校生活が遠い昔の私ですら「高校生ってそんな感じだったよね~」なんて納得できちゃうのが納得できないような。…ややこしいな。

「MAZE」恩田陸

2006年02月21日 | 
メイちゃんが二人で「メイズ」。うっふっふ。恩田陸の本は(文庫化されているもの限定ですが)結構読んでます。途中で必ずじわわ~っと不気味なシーンがあるのがいいんですよね。もちろんこの本にもあります。それにこの本は設定自体もなかなか不気味です。「アジアの西の果て、白い荒野に立つ矩型の建物。その中に入ると戻ってこない人間が数多くいると言い伝えられている。その人間消失のルールを解き明かすためにやってきた4人の男たちは、果たして真相を掴むことができるのか?」…いい感じでしょ?ただ、ものごとは全部理詰めで解明されないと納得できない!という人にはオススメできません。解明できないことがじゃがじゃが出てきますので。