大変面白い本を借りました。一週間ぶりのブログに相応しいヒット作です。作者は大川豊興業に所属する芸人、阿曽山大噴火。そういえば「サンデー・ジャポン」で有名裁判の感想を嬉しそうに話しているのを見たことがあります。どうも裁判傍聴マニアだそうな。見るからに一筋縄ではいかない風情の阿曽山大噴火が語る裁判傍聴の日々が面白いのなんのって。もちろん裁判自体が面白いってこともあるんでしょうが、少し前に読んで「面白いなぁ」と思っていた「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」(北尾トロ)よりもさらに面白いことを考えるとやはり語り手の腕なんでしょう。軽いノリで読みやすいけれどもどこか深みを感じさせられる本でした。オススメ。
「グロテスク」(9/23)を読んだ直後に読み始めたこの本、あまりの爽やかさに目がチカチカしちゃいました。違う…あまりにも違い過ぎる。同じ高校生なのにまるで別の生き物です。映画が公開されるということで、今世間は「夜ピク」ブームの模様。でもイマイチ乗り切れない私。だってなんだか「爽やか高校生活」のいいとこ取りなんですもん。自分が過ごした高校生活の甘酸っぱかったり苦かったりする思い出の中でキレイなところだけを抽出された感じがしました。だいたい顔がまずまずで頭がよくって冷静に周りを観察している高校生なんてどこにいるというんでしょう。なんていうか、人間のどうしようもないおバカなところとか薄汚れたところとかちょっと悪魔めいたところとか、そういう混沌としたところが全く無いんです。みんなサ・ワ・ヤ・カ。いい話で、「泣ける!」って言われるのもわかるけど、入り込めなかったです。…どうしようもなくひねくれた私なのでした。ちなみに今回のイラストはわかりにくいですけど加藤ローサちゃんです。映画に出演しているらしいですよ。かわい~。
芸術の秋というわけで、新しい趣味にチャレンジしようかと本を買ってまいりました。その名も「晴れ ときどき はんこ」。今密かにブーム中の「消しゴムはんこ」の本です。そう、消しゴムを彫ってはんこを作るんです。ナンシー関の顔が浮かんだ皆様、今どきの消しゴムはんこはめちゃめちゃラブリーなんですよ~。ナンシーさんの切れ味鋭い似顔絵とはエライ違いです。時代の流れってすごいですね。この本には彫り方から図案集(イラストのマトリョーシカも図案集のものです)まで載っていて今日にでも始められそうです。今年の年賀状はこれで決まりかしら。うふふふふ。
タイトル通りのグロテスクな作品です。「夜は娼婦・昼は一流企業のOL」だった女性が殺され、世間を驚愕させた東電OL殺人事件をモチーフにしています。主要登場人物は3人の女性。最初の語り手である「私」とその姉で怪物めいた美貌を持つユリコ。そして「私」の同級生、和恵。その3人が名門女子高で共に高校時代を過ごし、数奇な運命を辿るというストーリー。何がグロテスクってこの女性達の心理描写がそれぞれにグロテスクなんです。怖いっちゅうか、悪趣味っちゅうか、ほんと物凄いです。爽やかな話しか読みたくないと思っている人はぜーったいに読んではいけません。でも私には面白かったですね。怖い物見たさって言うんでしょうか。語り手が3人の持ち回りになっていてそれぞれぜーんぜん違うことを話すのも面白かったです。誰が本当のことを言っているのかさっぱりわからないんですもん。このあたりもグロテスク。そんなこんなでオススメで~す。
読んでもいない雑誌のことを書くのはどうかと思うのですが、本屋であまりにもびっくらこいたので書かせてもらいます。なんと今店頭に並んでいる「Meets Regional」の表紙がギャートルズなんです。ワタクシ、ぜーんぜんグルメじゃないのでこういう雑誌はほとんど読まないのですが、それでもフラフラとレジに持って行きそうになるほどにラブリーでした。キャッチコピーは「新説 肉×ワイン」。「オレに肉塊を食わせろ!」ですって。やはり肉と言えばギャートルズなんですね。でもギャートルズに出てくるのはワインじゃなくてサル酒のはず。…細かすぎ?
上方落語の大看板・笑酔亭梅寿のもとに無理やり弟子入りさせられた金髪トサカ頭の不良少年が、大酒呑みの師匠にボロクソに言われながらも古典落語の魅力にとりつかれていくという話です。…どこかで聞いた事あるような話だなぁと思いながら読んでみました。読むとますます似ています。だって連作短編の目次に落語の演目がズラリと並んでるんですもん。でも最後に桂文珍さんの解説を読んでびっくり、この本の方が先でした。失礼致しました。その解説で文珍さんが「タイガー&ドラゴン」を毎週楽しみに見ていた事を告白し、「出来れば出演もしたいと思った頃には終わってしまったと聞き、ガクッ!となったのを覚えています」なんて書いてて、あのドラマのファンとしてはすごくうれしかったです。大御所にも認められちゃったわ~ルルル~♪…じゃなくてこの本についてですね。毎回ちょっとした事件が起こって金髪少年がズバッと解決するのが結構面白かったんですが、落語の魅力に関しては「タイガー&ドラゴン」のほうがよく出ていたように思います。やっぱり落語って文字で読むと魅力が半減しちゃうような。でも舞台が大阪で身近だし、人情味たっぷりだしなかなかよかったです。
イラストと本は全く関係ありません。表紙の絵を描くのが難しそうだったので王様が出てくるという共通項だけで「王さまシリーズ」の王さまです。懐かしいでしょ?
じゃなくて「七王国の玉座」ですね。世界各国でベストセラーになっているファンタジーです。単行本が月イチで文庫化されている最中でして、只今3巻まで出てます。この作者のSF「タフの方舟」(7/17)が面白かったので手に取ってみたんですが、もうめちゃくちゃ面白いです。シリーズ物なのでやたら登場人物が多く、最初のうちは人物紹介ページと行ったり来たりしてましたがすぐに頭に入っちゃいました。だって面白いんだもーん。登場人物全てにドラマがあるんですよ。なんちゅうかもうずーっと手に汗握ります。ファンタジーですが壮大な歴史物に近い感じでしょうか。権力争い、陰謀、暗殺、そして若者達の成長。いや~いいもん見つけちゃいました。当分楽しめそうです。オススメ。
じゃなくて「七王国の玉座」ですね。世界各国でベストセラーになっているファンタジーです。単行本が月イチで文庫化されている最中でして、只今3巻まで出てます。この作者のSF「タフの方舟」(7/17)が面白かったので手に取ってみたんですが、もうめちゃくちゃ面白いです。シリーズ物なのでやたら登場人物が多く、最初のうちは人物紹介ページと行ったり来たりしてましたがすぐに頭に入っちゃいました。だって面白いんだもーん。登場人物全てにドラマがあるんですよ。なんちゅうかもうずーっと手に汗握ります。ファンタジーですが壮大な歴史物に近い感じでしょうか。権力争い、陰謀、暗殺、そして若者達の成長。いや~いいもん見つけちゃいました。当分楽しめそうです。オススメ。
米倉が主演しているドラマが面白そうだったんですが、海外ドラマに夢中ですっかり見逃してしまったので原作を読みました。面白かったです。ちょっと時代が古いんですが、男と女のドロドロは時代を超えて楽しめますね。まあ不倫だの妊娠だのばっかりなんで最初から最後まで暗~い感じですが。それにしても主人公の男はほんとにおバカさんで笑えます。逆に女ってほんとオソロシイ。米倉では原作ほどの怖さが出せないような気がするんですが、どうなんでしょう。今週は見てみようかな…。ところでふと思ったんですが、私ったら米倉主演ドラマの原作を全部読んでいるんですよ。たぶん。「黒革の手帳」、「けものみち」、「女系家族」、そして「不信のとき」。いや~なんか熱狂的ファンみたいで照れるなぁ。…なんて言いつつもイラストは由樹ちゃん。
「SFが読みたい!<2006年版>」で海外篇第2位にランクインしたSF連作短編集(全2巻)です。時々SFを読みたくなるんですよね。主人公はタフというおっちゃん。これがもうなんていうかビジュアル的に全くそそられないおっちゃんなんです。身長2メートル半の大男で全身無毛、太鼓腹。た~す~け~て~。せっかく美男子を描くのが得意な末弥純が表紙を描いているのに変なおっちゃんがドーン!…もったいない。だけどストーリーは面白いです。宇宙一あこぎで慇懃無礼な商人、タフが星々で繰り広げる騒動を書いてるんですが、結構手に汗握ります。タフがほんとヤな奴なんで感情移入はしませんでしたが、あまりの頭の良さと立ち回りの狡さに感心しきりです。連作短編集なんで読みやすいのもよかったです。SF好きで、おどろおどろしい生物が襲ってくる話とか騙したり騙されたりの話が好きな人にオススメです。
これを本のカテゴリにするのもどうかと思ったんですが、やっぱり本関係なんで。このブログを読んでくださっている方ならお分かりかと思いますが、私はかなり本代の掛かる女です。そんな私にご褒美をくれるただ一つの出版社、それが新潮社なのであります。新潮文庫のカバー折り返しに付いている応募マークを集めて送付すると応募枚数に応じて賞品がもらえるんです。しかもカワイイYonda?パンダグッズ!ああ、ほんとにカワイイ…。今回私が送ったのはなんと25枚。いや~我ながらよく読んだもんだ。もう少し待てばラブリーなピンバッジ(5枚)とマグカップ(20枚)が私の物に。うっふっふっふっふ。
もーびっくりするほど下品な本を読んでしまいました。その名も「UMAハンター馬子」。UMAというのはユーマと読みまして、未知生物の総称でございます。ネッシーとかツチノコとかそういうものですね。主人公の蘇我家馬子(そがのやうまこ)は伝統芸能「おんびき祭文」の伝承者。素晴らしい語り口で聴衆を虜にする天才なのですが、普段は「大阪のオバチャン」。どぎついメイクとド派手な衣装、そして周りの迷惑なんてどこ吹く風で我を通しまくります。そんな馬子はなぜか不老不死の伝説を調べる為に全国津々浦々を巡業しており、行く先々でUMAに遭遇してひと騒動起こすのでした。ほんと面白かったです。作者のUMAへの熱い愛がこもった斬新な解釈や豊富な民俗学の知識、馬子と弟子のイルカちゃんの漫才のようなやりとりも楽しくてあっという間に読んじゃいました。でも物凄く下品です。あらゆる意味で。食事中にはちょっと読めない感じです。あと、UMAが人を襲う残虐なシーンもあるので苦手な方はご注意ください。ちなみにこの本の作者は映画「水霊(みずち)」の原作も書いてます。そちらはあまりに怖そうで読むかどうか迷ってます…。
主婦の友希江は日々降り積もっていくストレスを何かにぶつけるわけでもなく、なるべく波風を立てないように生きてきました。しかし夫が過労で倒れ、尽くした会社から退職に追い込まれようとしたその時、ついにキレたのです。彼女は大企業を相手に手段を選ばない報復を開始するのでした…というこの本、読んでるとなんちゅうかもうやるせない気分になります。普通の主婦がどんどん壊れていくんですもん。最初は今まで誰かにイヤミを言われても何も言い返せなかった主人公が、ビシッとイヤミを返すようになった姿を見て「おお~私もそんなこと言い返してみたいな~」なんて惚れ惚れしてましたが、だんだん嫌がらせだの不法侵入だのとエスカレートしてきて「あいや~」って感じになっちゃいました。爽やかさのカケラもないお話でしたね。面白かったことは面白かったんですがね…どうもね…。
社会人一年生の主人公、大介が勤めるビルの掃除を細腕一本で丸ごと請け負っているのはピチピチのコギャル、キリコなのでした。あまりの徹底した掃除っぷりに「掃除の天才」とまで言われるキリコは、掃除することによって見えてくるオフィスでの複雑な人間模様を鋭い洞察力で観察し、そこで起こった事件の真相をズバリと推理しちゃうのでした…というこの本。掃除という仕事に誇りを持ってバリバリ働くキリコちゃんの爽快なこと!ああ、私の会社でも働いて欲しい…。連作短編なので8つの事件が起こりますが、殺人事件はひとつだけ。あとは身近でささやかな話ばっかりなんですが、これが以外と面白いんです。キリコちゃんがいい味出してるし、どの事件もほんのちょっと毒が効いてるのがよかったのかな。爽やかだけどそれだけじゃないところが私好みでした。続編もノベルス版で出てるみたいなのでそっちも文庫になったら買おうっと。
イラストはかぼちゃワインのエルちゃんです、ハイ。本の内容とは全く関係ありませんので悪しからず。
この本のタイトルは文庫化の際に改題されてまして、元は「GMO」といいます。GMOとは遺伝子組み換え作物のこと。GMOを駆使して地球上のあらゆる生態系を支配することをもくろむ巨大企業とそれを追うジャーナリストの話です。帯に踊る「狂った生態系が人類への復讐をはじめた」の文字。きゃ~ん面白そ~と思ってぶっとい文庫を上下で買いました。…またやっちゃった。遺伝子組み換え産業の恐ろしさはなかなか迫力がありましたが、狂った植物や動物が人間を襲う話ではありませんでした。あいや~またもや早とちり。まあそんな勘違いは抜きにしてもこの本には致命的な欠陥がありました。主人公のジャーナリストがちっとも魅力的じゃないんです。愛すべきダメダメさも、感嘆するような頭脳のひらめきも、ウィットに富んだ会話も、目を見張る運動神経も、なーんにもないんです。は~つまらん。これじゃちっとも感情移入できないです。ウンチク部分は面白かっただけに悔やまれます。しかしほんとにGMOってコワイわ~。
この本のタイトルは文庫化の際に改題されてまして、元は「GMO」といいます。GMOとは遺伝子組み換え作物のこと。GMOを駆使して地球上のあらゆる生態系を支配することをもくろむ巨大企業とそれを追うジャーナリストの話です。帯に踊る「狂った生態系が人類への復讐をはじめた」の文字。きゃ~ん面白そ~と思ってぶっとい文庫を上下で買いました。…またやっちゃった。遺伝子組み換え産業の恐ろしさはなかなか迫力がありましたが、狂った植物や動物が人間を襲う話ではありませんでした。あいや~またもや早とちり。まあそんな勘違いは抜きにしてもこの本には致命的な欠陥がありました。主人公のジャーナリストがちっとも魅力的じゃないんです。愛すべきダメダメさも、感嘆するような頭脳のひらめきも、ウィットに富んだ会話も、目を見張る運動神経も、なーんにもないんです。は~つまらん。これじゃちっとも感情移入できないです。ウンチク部分は面白かっただけに悔やまれます。しかしほんとにGMOってコワイわ~。
「オーデュボンの祈り」はあんまりでしたが「ラッシュライフ」は面白かったので映画化された「陽気なギャングが地球を回す」も読んでみました。面白かったです。やっぱりこの人の書く会話は小気味いいですね~。今回は特にテンポが良くって楽しめました。あと、誰も偽善的な台詞とかクサイ台詞を言わないところも好きです。普段はあまり邦画を見ないんですが、これが原作だったらちょっと見てみたいかな。キャストも私の好きな佐藤浩市と鈴木京香だし(主役は大沢たかおだけどあんまり好きじゃない…)。DVDになったら見ようっと←ケチ。