福島・大熊町「5年帰還せず」宣言へ
国の3区域分割案受け入れ
東京電力福島第1原発事故で全域が警戒区域にかかる福島県大熊町は2日までに、町が3区域に分かれる国の再編案を受け入れる方針を固めた。
家財などの賠償に区域ごとの差が出ないことが条件。
生活基盤が整わない現状も踏まえ、少なくとも5年間は町に戻らないとする「帰還しない宣言」を表明する。
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同県会津若松市で1日に開かれた町議会全員協議会で渡辺利綱町長が説明した。国の賠償方針が示されれば、町議会の同意を得て宣言する。
大熊町民約1万1500人のうち約95%が暮らしていた地域は、被ばく放射線量が年50ミリシーベルトを超え原則として立ち入りが禁止される「帰還困難区域」に指定される見通し。
再編案では、残りの地域は年20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の「居住制限区域」、年20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」になるが、介護施設や医療機関などがなく町民が生活できないと判断した。
町はこれまで、町民の賠償に差をつけないため、国に町全体を帰還困難区域に移行するよう求めていた。
町は復興計画の素案で、同県いわき市周辺に「仮の町」を置き、役場機能や教育機関の移転を目指す方針を示している。
国は当初、4月1日の避難区域再編を目指していたが、賠償方針が定まらないことなどへの自治体側の懸念から南相馬市、田村市、川内村の3市村でしか実施されていない。〔共同〕