パンチョの世に棲む日々

自称ドン・パンチョが訪れた名所旧跡の感想を綴ります。

2010-10-27 10:36:53 | 日記
すみれさん、深大寺の釈迦如来倚像拝観に対する投稿有り難うございます。

すみれさんに紹介された正暦寺の薬師如来像を今年の秋の紅葉の頃に見に行きたいと思っていましたが、残念ながらそれができなくなりました。ワイフが胃ガンで床に伏せており、余命あと一ヶ月という所まで来ました。

昨年の10月体調不良を訴えるので、最寄りの病院で検査を受けさせたところ、進行性の胃ガンに冒され、しかも末期の症状であることが判明しました。すぐにさいたま市民病院に入院し精密検査をしたところ、他の臓器への転移が見つからなかったので、11月24日に胃の全摘手術を受けることになりました。

当日、手術室に入り執刀前に念のため内視鏡で腹部を調べたところ、腹膜播腫が見つかりました。そのため手術を断念し、化学療法による延命治療を施すことになりました。しかし、執刀医の見立てでは、治療に専念しても余命は1年との判断でした。

こうしてタイマーがセットされた命をできるだけ楽しく過ごさせてやろうと、天気の良い日は日光や高尾山、秩父、那須高原など近在の観光地へ、息子は車で連れ出しました。中禅寺湖畔の旧イタリア大使館の別荘を訪問したときのことをフォトアルバムで紹介しましたが、そのレポートの最後に記したワイフの一言をすみれさんが目敏く見つけられ、”レポートの最後の文章が少し気にかかる”と投稿いただいたのはその頃のことです。

でも、抗がん剤の投与で吐き気と便秘に悩まされながらも、ワイフは今年の7月頃までは普段通りに主婦業をつとめていました。食事も量こそ少し減りましたが普段通りに食べ、それほどやせたようにも見えませんでした。事情が一変したのは8月に入ってからです。食事が全く食べれなくなり、まるで階段を転げ落ちるように体重が激減し体力も落ちて、ついには自分の力で床から立てないほど衰弱してしまいました。

主治医は入院を勧めましたが、本人は意識のある間は家で過ごしたいと入院を拒否してきました。痛み止めのモルヒネが切れると、全身に激痛が走るにもかかわらずです。そのため、本日、24時間の点滴を受けながら住み慣れた家で最後を迎えられるよう在宅治療の処置を施して貰いました。

結婚して44年、まるでミイラのようにやせ衰え、シワばかりが目立つ体になってしまったことを恥ずかしがるように、本日もワイフはベットも上から弱々しい眼差しで小生を見上げていました。それがまるで先に逝くことになってしまったこを詫びているようで、哀れでなりません。人間の命が今にも消え入るのを、見守る以外に何もできないのは本当に悔しいです。