水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

ナパバレー、ワイナリーめぐり

2007年03月27日 | カテゴリー外

この間友人カップルがわざわざ日本からぼくたちのところへ遊びに来てくれた。お酒好きの彼のこと、行く先は最初から決まってる。カリフォルニア、ナパバレーだ。ぼくと彼女は平日に有給をとって、彼らと一緒にナパバレーへ向かった。

モーテルで友人カップルをピックアップして車でナパバレーへ向かう。バークレーからおよそ1時間半ほどのところにあるよさそうなワイナリーをインスピレーションで選ぶ。最初に訪れたのはワイナリーロード29から一本東に平行に走るSilverado Trail沿いにある、Robert Sinskey Vineyards。建物が立派で美しい。ワイナリーロード29にはたくさんのワイナリーがあるけれど、そこから一本道を入ったりしてお気に入りのワイナリーを探すのが面白いと個人的に思う。



まだ出来て新しそうなワイナリーのテイスティングルームに入る。



まだ若い、けれどワインに情熱を持っている感じのお兄さんがぼくたちにサーブしてくれた。試飲は15ドルでおいしいフィンガーフードも付いてくる。サーブされるワインは白、赤あわせて5種類。ワインを二本買えば15ドルのテイスティング代が返ってくる。ぼくがここでおいしいと思ったのはMerlot(メルロー)。グラスに注がれて一口。くるくる回して一口。またくるくる回して一口。ワインが酸化してだんだん「開い」てくる。その開いてくる過程のどこかでおいしさがそのピークを迎える。テイスティングのために注がれるワインが少量なのは、ケチッてるわけではなくてテイスターにそのワインが開いていくのを味あわせるためである。ぼくは白ワインが好きだけれど、やはり嗜好品として赤ワインの持つ面白みって他に類をみないと思う。ぼくはこのワイナリーでMerlot、友人はCabernet Sauvignonを購入。ぼく以上の白ワイン派である彼が、赤を買うのをぼくははじめてみた。そのくらいここの赤ワインはおいしかった。



酔うほど飲んだわけじゃないが、昼食前に飲むワインはぼくたちを少しだけ上機嫌にした。新しい期待を持たせてくれそうな淡い高揚の中、ぼくたちは次なるワイナリーを目指した。いくつかのワイナリーでは、持ち込んだランチを食べれるようにピクニックテーブルを併設してあるところがあるという。テイスティング代もばかにならないし、レストランでさらにお金と時間を使うよりは、ピクニックスタイルで手軽にすませるほうがいい。この春の陽気ならなおさらだ。

ぼくたちはOakville Groceryというおしゃれななデリに寄り、サンドイッチやサラダなどを買い込んだ。



昼食の前に、デリの近くにあるOpus Oneという有名ワイナリーをのぞく。おそらくアメリカ産のワインでは最も高級なものを生産しているここのワイナリーは、テイスティングルームのある建造物を見るだけでも訪れる価値がある。ナパに初めてくる友人は建築の仕事をしているので、その現代のパンテノン宮殿(みたことないけど)のような建物に興味しんしんであった。



Opus Oneの気になるお味は・・・といいたいところだけれど、さすがにぼくふぜいの者がジーンズでつかつかと入っていける雰囲気にはないためテイスティングルームに入るのは自粛する。建物の外部と、玄関の吹き抜けのホールの写真だけ撮らせてもらった。しかし、この広い空間には、えもいわれぬいい香りが広がっていた。きっと素晴らしいワインなのだろう。ここのワイナリーでは一種類のワインしか置いてない。テイスティングは$25。ワインはおよそ一本$200。パリッとスノッブにおしゃれをして、一度ここで冒険をしてみるのもいいかもしれない。忘れえぬ思い出になるのはうけあいだ。

次に訪れたワイナリーは29号沿いにあるAlpha Omega。ここでテイスティング&ランチのつもり。期待にそぐわずここのワインもおいしい。白ワインをワリカンで一本購入する。昼食用である。庭でピクニックをしたいんだけど、とたずねてみたら、ワイングラスを人数分貸してくれ、白ワインを冷えたやつに代えてくれた。慣れた手つきでコルクも抜いてくれる。いいサービスだなあ。



ぼくたちは噴水のある池のそばに作られたデッキの上で、わきあいあいと食事をした。ぶどうの柵が整然と並んでいる。この時期はまだ葉っぱもついていない。夏に来たらこれが緑いっぱいになってきっと綺麗なんだろうな。サンドイッチを食べ、今まで見たこともないような太いピクルスをかじり、カニの身をつぶして揚げたcrab cakeをほおばる。いい温度に冷えた上品なシャドネーをゴクッといく。食べる飲む以上に忙しいのはおしゃべりのほうで、ぼくたちは終始笑い合っていた。

食事を終えた後もぼくらはまったりと過ごした。ワインが空になるころには、おしりに3インチくらい根っこが生えてしまっていた。けどしかしなんとか腰をあげ、次のワイナリーへと向かうことにする。さすがにぼくの運転はここまで。あまりお酒を飲まない彼女に交代してもらう。いやこれが助かるんだ、ほんと。

ここから少し北へ足を延ばして訪れたのは、ちょっと奥まったところにあるRombauer Vineyards。ここも高いがウマイ。ここも「当たり」である。柔らかな甘みを持つデザートワインに心が揺れたけれど、ここでぼくは香り高く、ほのかに甘いZinfandelを一本購入した。やはり他とは違うな!と思わせるワイナリーっていい。




Rombauerから出たぼくらは、最初のワイナリーのお兄ちゃんが教えてくれたお勧めのワイナリーに向かった。Duckhorn Vineyards。何でも訊いてみるもんである。



一見ちょっと大きめの家屋のように見えた建物だったが、中に入ってみるとなんとも上品な空間が広がっていた。グランドピアノがおいてある。本来は予約制なんだけど、今日は空きがあるからいいよ、ということでテーブルに通される。テイスティングでテーブルに案内されたのはここがはじめてだ。なにやら期待感が高まる。説明文の横に並べられた3つのグラスにワインが注がれる。今こうしてこれを書いている時点で相当記憶があいまいであるが、たしかここでは2種類のMerlotと、Cabernet Sauvignonを試飲した。値段はすこぶる高くて残念ながら買わなかったのだが、味はかなり上ランクであった。とくにここのMerloは今回飲んだ中で一番おいしかったと思う。

深酒をしているわけではないけど、やっぱり一日中こんなことしてると酔っ払う。みんななんかいい気分である。うーん、どうする?とぼくたちは相談しあった。どこもいいワイナリーだったね、と意見が一致したものの、(どのワインもちょっと高めだったよね)と友人の顔に書いてあるのをぼくは読み取った。いくら極上のワインでも、試飲しただけで購入できないのでは喜びも半分というもの。そこでぼくは「そうだ、最後にさ、安めで有名どころに行かない?」と提案した。それいいね!と息があって、ぼくらが向かったのはアメリカのスーパーマーケットではおなじみのBeringer。わざわざスーパーで買えるワインをテイスティングしなくても、と思わなくもないけれど、安くてウマイと知っていることのこの安心感はやはりありがたい。そんなわけでぼくらは堂々とBeringerを訪れた。



ここのワインはくわしく覚えてないけど、どれもバランスよくおいしい。本当に、え?と思うくらいおいしかった。しかもお求め安くなっています。リーゾナブルでウマイ、やはりこれがカリフォルニアワインだよな、とぼくは一人合点し勢いで3本も違う種類の白を購入してしまった。それまで高いワインばかり一日中見てたから、ぼくの中のワイン相場がすっかり狂ってしまったようだ。ここのワインが異常に安くぼくの目には写ったのである。いやしかし、この一日ですっかりナマイキになったぼくの舌に堪えるクオリティだったわけだから、やはりここのワインは大したものだ。

のんべえがそろうと一日はこうなる、という見本のような日であった。ぼくたちはナパバレーを発ち南へむかった。友人カップルをサンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフ付近のホテルへ送り届ける。派手なライトと人の群れのフィッシャーマンズ・ワーフ。もう日も暮れて、夕食の時間である。ぼくらは海のかおりの中を少し歩いて、よさそうなレストランを探して入った。



レストランのテーブルに座る。今日はのんだねえ、と友人。そうですねえ、とぼく。友人との最後の夜。けど今夜はちょっともう、ワインを飲む気になれない。注文をとりにきたウエイターにぼくはさっぱりしたスパゲティとビールを頼んだ。あ、やっぱり?と笑った友人も、人差し指を立ててぼくと同じビールを頼んだのであった。


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