水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

梅酒をつくる

2007年06月07日 | カテゴリー外

先日、母親と一緒に近所に住むおじいさんとおばあさんのところに呼ばれて訪ねていった。梅をあげるからおいでということだ。そうかあ、梅かあ。

おじいさんとおばあさんのお宅に着く。ガラガラーと威勢の良い音を立てて玄関の引き戸が開き、おばあさんがぼくらを座敷に通してくれた。座敷には87歳のおじいさんが座っていて、にこにこした笑顔でぼくたちを迎えてくれた。

お茶とお菓子と摘みたてのゆすらを頂く。「あんたも田舎の出ならこれ覚えとるだろう?ゆすら」と、おじいさんが言う。懐かしいですねえ、と母親は目を細めてゆすらをつまんだ。ぼくも一つつまんでみた。初めて食べる。「ゆすら」ってチェリーを小さくしたような果実で、味もチェリーに近い。ほのかに甘くて少しすっぱい。素朴な味であるがなんとなく栄養価は高そうな気がする。しかしなんといってもその色の美しいこと!こんなに鮮やかな赤色ってちょっとないんじゃないかと思う。

おじいさんは会話のふしぶしに、「・・・ほだでまーかんわ!足が悪うて。平地はいいんだが段差がいかんわな」といっては足をさすっている。けど顔は笑顔。何度も繰り返してそういうから足でももんであげようかなと思ったら、ぼくより母親がいち早く、「足首が張ってますね、もみましょうか」といってマッサージを始めた。

ほどなくしておばあさんが梅酒の入った大きなビンを二つも持ってきた。ぼくたちにくれるという。こんなにたくさん悪いです、というんだけど、おじいさんはピタンと手を額に当てては「わしものみてゃーが、あかん、酒は好きだが医者に止められとるもんで。頼むで持ってってくれや」という。ぼくたちは丁寧にお礼を言って梅酒を頂いた。フタを開けると梅のいい匂いがアルコールと混ざって鼻に届いた。

で、またこのビンがいかにも年代物に見えるのだ。フタが鉄で出来ていて、ところどころへこんで見事に黒く錆びている。閉まりもなんとなく悪くて、まさか戦前からあるんじゃないかと思ってぼくはしげしげと眺めてしまった。梅酒に錆の味がついてしまわないように、ビンとフタの間にビニール袋をかませてあった。小さなことだけど、こういう工夫ってえらいよなあと素直に感心してしまった。もちろんこうやって他人にポンとあげてしまえるのにもぼくは感心したし、感謝した。

帰りにまた一袋、採ったばかりの青梅を頂いた。大きな実だ。子どもの頃持ってた一番大きなスーパーボールくらいある。なんともありがたい。ぼくたちに恐縮させないように実にさりげなく当たり前のようにプレゼントしてくれる老夫婦の姿に、ぼくはまたまた感心してしまった。ぼくたちは採りたての梅のようにさわやかな気分で家に帰った。




さて、この青梅をどうしよう。梅干しなんて作ったことないしなあ。やっぱりこれも梅酒にして、来年飲むことにしよう。

まずは梅を洗って、しばし水につけておく。そしてザルにあげて水を切り、表面の水気がなくなるまで置いておいた。新たに買い求めた大口のビンに梅と氷砂糖を入れ、おしまいに麦焼酎をヒタヒタになるように注ぐ。たぶんこれでいいはずだ。これで来年の楽しみが一つ増えた。



まてよ・・・とぼくは思う。たしか梅って毒あるよな。梅は毒があるから生で食べてはいけないと聞いたことがある。ただ酒に漬けるだけで梅の毒って消えるのだろうか?まあきっとそうなんだろう。だってインターネットのレシピにも特別なことは書いてなかったしー。で、エー、不必要な忠告だとは思うのだけれど、「梅の毒」というのはいわゆる恥ずかしい病気のことではありませんので。詳しくは保健体育の教科書を参照してください。

さっき、漬けた梅酒を引っ張り出したのだけど、梅から水が出てしまったらしく梅が浮いてしまっていた。梅の乾燥が足りなかったか・・・。焼酎が多すぎたか・・・。けどまーいーや。梅酒っちゅーのはアバウトでいーのだ。きっと。初回にしては上出来だ(まだ飲んでないけど)

梅の実がなるころに降る雨だから梅雨。もうすぐこの国に雨の時期が始まる。


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