水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

三河湾は佐久島、スナメリに会う!

2007年11月02日 | カヤック

平日のお昼、フト思い立って車を借りて三河湾へ。一色町の恵比寿海岸でカヤックを組んで出艇した。無性に島を目指したい気持ちに駆られ、梶島にバウを向ける。いやしかし梶島は近すぎた。陸からほんの1km程度だから見る見るうちに島に近づいてしまう。ちがーう!もっと遠くがいい!ぼくはカヤックを90度右へ回転させ、三河湾最大の島、佐久島を目指した。直線距離で7km、帰りも7km、島の向こう側をぐるっとまわっておよそ6km、しめて20km。日没まで2時間半。完全なる凪ぎ。体調良好。

行ける!と思った。ヘッドランプもある。帰りの後半はナイトパドリングになるだろう。出艇場所である恵比寿海岸周辺はちょっとした観光地なので大きな旅館やホテルが多い。日没後は明かりも灯り、全体的に森っぽい風景の中できっと目立つはずだ。ぼくはおよそ1kmおきくらいに振り返って出艇場所の風景を頭に入れた。こうしておかないと、帰りの景色がまったく認識できずに出艇場所から1kmも離れた地点で一生懸命帰る場所を探している、なんてことがありえるのである。漕ぎ出したら後ろを見よ、である。ただし海況が変わったら引き返すつもりでいた。波のある海でのナイトパドリングは避けるべきだ。

陸と島の中間地点くらいで小休憩。ぼくはいい気分だった。漁船もいない。見渡す限りの凪ぎの海。水面が、まるで水銀のような重厚な光沢を放って微かに揺れている。音というものが重さを持っていて、鈍重な海に飲まれてしまってぼくまで辿りつかない・・・そんな想像をさせるくらい静かな海だった。再び漕ぎ始める。パドルが水を切る音だけが聞こえる。一定のリズムで。

佐久島についた。森しか見えず、ほんとうに人が住んでいるのだろうかと思う。島の西側にまわると小さな浜があった。白浜という場所のはずだ。遠浅で海底がよく見えた。夏にここでシュノーケルでもしたら楽しいかもしれない。さらにまわるとブーマー地帯が出てきたので、大きく迂回した。岩にヒットしたくないザマス。ちょくちょく民家が見えてきて、南側の大浦港にでる。このあたりには食事のできるところや民宿なんかもあるはずである。全体的になんとなくひっそりとしている様子だ。上陸しようかどうかすごく悩んだけど、時間が気になったので漕ぎ続けた。今日はただの偵察だ。南東にもブーマー地帯があったので大きく迂回。この辺りは太平洋のうねりが到達しているようでちょっと緊張感がある。夕焼けが始まった。

だんだんハイアングルの漕ぎで肩が疲れてきたので、ロウアングル漕ぎも混ぜて漕ぐ。ぼくのパドルはワイドブレードでハイアングル向きなのであるが、まー上手にやればロウアングルでも漕げる。それでもだんだん疲れてきて、休憩が多くなった。疲れるペースが早くなってきた。実は出艇前にロールケーキとアップルパイを食べたのだが、これがよくなかった。砂糖の取りすぎで軽い脱水症状になっていたらしい。砂糖の取りすぎはよくなーい! けどまぁ大丈夫な範囲だったので休憩をこまめにいれて漕いだ。

日が沈んで、ハァ~つかりた、とかなんとか言いながら(実際にいってる)、ちょっと長い休息を取っていたその時だった。音が聞こえたのでそちらを向くと、凪ぎの海に流線型の物体が上下していた。「!?」 なにかいる。ぼくは帽子を脱ぎ耳を澄ました。するとまたその物体が浮上してきた。スナメリ(イルカ)だ(たぶん)! ぶるっと体に感動が走る。「プシュー、ヘェェェ」という呼吸音が聞こえる。この「プシュー、ヘェェェ」をゆっくりと2、3度くりかえして、スナメリはぼくの背後へ消えていった。

それがぼくとスナメリとの出会いだった。まさか愛知の海でスナメリにあえるなんて、一体誰が想像できただろう(結構周知の事実らしいです)!途中で疲れて休憩をいれたりだとか、島に上陸しなかったりだとか、いやいや昼に食べたあのアップルパイまでもが、ぼくをスナメリに会わせるための導きであったのではないかとまで考え、ぼくはひとり感謝と興奮に浸った。後に調べたところ三河湾ではスナメリが生息していて、見かけるのはそれほど珍しいことではないということを知った。いやーそれにしてもびっくりしたなぁ!

出艇場所には迷うことなく戻ることが出来た。漕ぎ時間はちょうど3時間くらい。ウン、大体予想したとおりのツーリングが出来るようになってきたゾ。嬉しいな!今度は佐久島散策だ!