夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

都名所蒔絵 黒吸物九寸膳 & 吸物椀

2018-09-10 00:01:00 | 漆器
幕末から明治期のかけては漆器の蒔絵が最盛期を迎えた時期でもあるようです。輸出用として漆器は振興された産業のひとつであったからでしょう。以前にお紹介した下記の作品もそのひとつです。

吉野龍田蒔絵 御料紙文庫 & 硯箱

*下記の写真は内蓋の部分写真です。詳細はブログ記事をご覧ください。



傷ひとつないこのような作品は現在ではほぼ入手不可能でしょう。



上記の作品は運よく海外に渡らず当方にて保管していますが、当時は海外向けに名所を描いた蒔絵がたくさん製作されました。本日紹介する作品は上記作品ほどの出来ではありませんが、蒔絵の優品のひとつと言えるでしょう。

都名所蒔絵 黒吸物九寸膳 & 吸物椀
20人揃
塗箱入 10人揃*2*2
膳:巾273*奥行273*高さ36
椀:口径130*全体高さ90



実際、使用されていた作品です。男の隠れ家に収納されており、全部で4箱の収納箱に分けられていました。膳10客が2箱、碗10客が2箱あり、すべてに使用された跡があります。



別々の収納場所にあったので、今回ようやくすべて揃いました。以前の本ブログでは10客しかないと思われており、20客のうち10客揃として紹介していましたので、改めての紹介となります。



膳と碗が都名所の対になっています。



10客の箱から選び出して並べるとどうも合わない対の作品があり、今回改めて並べて整理しました。



綺麗に蒔絵えで描かれた作ですが、どこの名所かは小生の知識の及び範囲ではないので、家内の応援をもらいました。



家内によると金閣寺・銀閣寺・清水寺・渡月橋・伏見橋・三千院・平等院・二条城・東福寺・大谷円通橋・三十三間堂・野々宮神社・大文字焼の13の名所とその場で特定できたのですが、残りの7か所は特定できていないとのことで京都に住んだことのある茶道を一緒に学んでいる友人にメールし調べてもらっているようです。



このように名所を描いた作品は外国の方々や地方から上京してきた人に人気があったのでしょう。





当方では「宝暦」とか書かれた紙類に包まれた保管されていました。



先祖の家人らは会食の場で、「これは京都のどこ?」と懇談しながら会食したのでしょうね。



海外の方にしてみても一種の観光はがきやプロマイド的なもの・・。



とりあえず対になっている作品は整理できたので、箱の中に仕切りが5客ずつあるので整理して収納しておきました。



すべての名所が判明したら改めての整理したいので、とりあえずまだ手元に置いておき、完全に整理が完了したらまた男の隠れ家の収めておくか、自分で使ってみようかと思います。



この他にもこの作品より良い出来の10客揃いの膳と吸物碗の対の揃いがあります。いずれまたこちらも整理の対象となっています。

*膳と椀は各々同じ名所を描いたセットであるので、5客ずつ区分して収納されている。そして椀と膳が各々の収納箱に10客ずつ収められている。


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