夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

改装完了 二美人図 三木翆山筆 大正6年

2020-06-17 00:01:00 | 掛け軸
展示室の家に古くからあるダイヤル式電話機、いつの間にか息子は自宅へのダイヤルを回せるようになっていました。



本日はお気に入りの作品を改装したので紹介します。本ブログでは2018年8月に下記の写真の状況で紹介した作品です。軸先は片方が欠損し、箱はない状態でした。



軸先は古い作品は膠?で接着されており、掛け軸を巻きあげる際に軸先を回すので取れてくることはままあります。時には象牙などの高級な軸先を他の作品に転用することもあります。

本作品は美人画ですので、絵の具の剥落や折れシワが発生すると台無しなので、太巻きの誂にしました。

二美人図 三木翆山筆 大正6年
絹本水墨着色軸装 軸先蒔絵 太巻き二重箱
全体サイズ:縦1750*横570 画サイズ:縦1095*横435
2020年4月改装出来上がり
改装後 全体サイズ:縦1905*横547 画サイズ:縦1087*横430



気に入った作品は気に入ったスペースで・・・。



掛け軸を掛ける場所は極力高くします。大きな掛け軸も掛けれるようにするためですが、掛ける際に脚立に乗りますので必ず手でつかむ場所を工夫しておきます。梁や手摺(床柱)があると転落を防止できます。これは普段から掛け軸を扱っていないと思いつかない工夫でしょう。



手前の皿は取り替えるのが面倒なので、そのままの古伊万里(幕末?)の大皿です。

 

親子? 姉妹かを描いた作品でしょうか? さわやかな色香が漂います。



出かける前の身支度でしょうか?



下唇に緑色が見られます。これは江戸時代の文化・文政期(1804-30)頃に流行した口紅化粧、「笹色紅(ささいろべに)」をあらわしていますね。 上方の肉筆浮世絵によく見られた表現ですが、三木翆山は京都の画家ですので少なからず影響を受けているのかもしれませんね。



二人の着物を対照的に描いています。秋の季節感も十分です。



大正ロマン期の作品とは別の伝統的な女性美を描いています。



款記に描いた年が記してある作品は珍しいですね。これは資料としても貴重な作品となります。

 

大正6年、三木翆山が35歳頃の若い時の作品と解ります。



美人画の名手と言われた三木翆山の若いながらも卓越した技量がうかがえる作品だと思います。またひとつ遺すべき作品の誂えが完了しました。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。