夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

婦女風俗十二ヶ月図の内 五月蛍火図

2010-10-08 00:49:09 | 掛け軸
婦女風俗十二ヶ月図の内 五月蛍火図 伝勝川春章筆(写し)
絹本着色絹装軸二重箱 257*1057

上村松園展を観に行ってから、なにか美人画はないかな~と思い探してみました。
上村松園の襦袢が透けて見える技法はまだ良く解っていないとか。
そういえば、勝川春章もそのような技法を用いていました


本作品は岩手県盛岡市の骨董店「古陶庵」より購入。

購入時は訳がわからず、高貴な?出来が気に入り入手しました


調べてみると本作品の本画があることが解りました。本画(写しの原作)は重要文化財であり、松浦家旧蔵で現在はMOA美術館所蔵です。

中国の故事「蛍雪の功」を当世風俗に表現した作品です。




本作品は肉筆による写しと思われますが、これほどの出来はなかなかなく、楽しめる一品


本画は立美人の長襦袢が透けて見えるのですが、これは難しい技法で、さすがにそこまでは真似ることは出来なかったと推察されます



 




 

本作品の香炉が面白いですね。本画は普通の香炉・・本作品は達磨の香炉・・・本画には適いませんと示唆しているのでは・・



読んでいる本は「梅暦(拝/襗)僧傳? 上巻」とありますが、「春色梅児誉美」を踏まえていると思われます。
このシリーズは1832年の発刊ですから、本作品は勝川春章の作であるはずがありませんね

墨に書かれた文字は判読不能で、後学とします。

 

勝川春章:享保3年生まれ、文化9年没(1743年~1812年)、享年69歳。

俗称裕助、号は旭朗井、酉爾、李林、六々庵。縦画生。

肉筆美人画の宮川春水に学び(高嵩谷に学んだともいわれる)、多色刷版画錦絵が創始された明和初期に一筆齋文調と共に役者似顔絵を描き、鳥居派の様式的な役者絵とは大いに異なる写実的な画風は一世を風靡した。

晩年の活動は肉筆画中心となり、高雅な趣の美人画は「春章一幅値千金」と賞賛された。

版画「市川団十郎」、肉筆画「竹林七賢人」は代表作.肉筆画本来の一点製作ゆえの高級感や雅な味わいといった特筆を重視した宮川長春の画風は、初め宮川姓を称し、後に勝宮川、勝川と称した春水を通じて、勝川春章に継承された。

春章以降の肉筆画は型にはまり、結局美人画は彼を頂点とする。「春章一幅値千金」とは「春宵一刻値千金」をもじったものである。春章の製作態度を受け継いだのは葛飾北斎である。



上記の写真は本作品の落款と印章ですが、詳細は不明です。
贋作といえば贋作の可能性もありますが、一種の複製と考えてもいいでしょう。
幕末から昭和期でしょうが・・製作年は不明です。

婦女風俗十二ヶ月図の内で紛失した絵があり、歌川芳国が製作した作品があります。

そのように紛失対策かもしれませんが、忠実に写していないのでその可能性は少ないとと思われます。

作品を探求していくと本当に面白いですね

しかも自分でお金を出して・・身銭で身をもって習得していくことが大切です。

多く方はこの辺がなかなか身につきません

趣味とはいえ、突き詰めると真剣勝負から無我の境地へ





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