日本画にはなかなか本物にお目にかかれない作者の作品があります。本物よりも贋作の数が多く、資料が少なく鑑定も非常に難しい作品群となっています。そのために評価も下がってしまうことさえあります。
具体的には田能村竹田、高橋草坪、柳沢淇園などであり、そして本日の椿椿山などがその画家になっていいます。
上記のように本ブログの作品にリンクしていますが、柳沢淇園などは良く描かれていますが、真作とは言えないでしょう。良く出来ているほうですが、出来も悪いものいいもの、とにかくたくさん世の中に出回っていますし、「いいだろう」と見せられることもよくあります。全て贋作といっていいものばかりです。
五瑞図 椿椿山画・萩原秋巌讃
紙本水墨淡彩 軸先木製 渡辺華石他鑑定箱
全体サイズ：縦2048＊横565 画サイズ：縦1230＊横430
椿椿山の作品は基本的には「渡辺華石」の鑑定のないものは本物とは認められていません。それゆえ鑑定そのものが贋作であることが生じてきます
他に高森砕厳が箱などの鑑定書しているものも見受けられます。
本作品は私としては真作と判断しましたが、後日になって贋作に気がつくことがあるので慎重に判断してまいります。
まずは画題ですが、「五瑞」とは五つのめでたいものであり、文人画の五つの画題とされ、具体亭には葵(あおい)・菖蒲(しようぶ)・蓮(はす)・柘榴(ざくろ)・枇杷(びわ)ですが、本作品は蓮かどうか不詳です。
箱書表「先師琢華先生瀘？彩五瑞図 紙本竪幅」
箱裏上段「椿山翁淡彩五瑞図□□□□館筆 頗深神□題鑑□華陽姓長尾名正名華陽其号□州豊橋人椿山門生也 華石渡邉□鑑 印章□□」
箱裏下段「辛亥夏日題□面 華陽□史長正名時年八十有八 脇に印章 □□」
巻き止め「琢華先生□五瑞之図 華陽 時年八十有八 印章□□」
賛「有果産西蜀作花 □早寒樹繁碧玉 葉柯疊黄金丸 秋巌真逸 □□」は「有果产西裔，作花凌蚤寒。树繁碧玉叶，柯疊黄金丸 上都不可寄，咀味独长叹。」という宋時代の宋祁（998-1061）という人の漢詩らしいです。意味は南の果物が北に来てもがんばって実をつけている・・という意味かな
落款の検証
右の参考落款は思文閣墨蹟資料目録第430号掲載 作品NO４「杏花黄雀図」より
嘉永2年 49歳の作品であることから、本作品も同時期（嘉永年間）の最晩年の作品と推察されます。
印章の検証
思文閣墨蹟資料目録「和の美」第432号掲載 花鳥虫花冊より
ここで印章が若干違うことに気がつきました。とても小さな印章なので許せる範囲か・・、他に同じような印章があるかどうか・・。
本作品は下記に記する四人を調べるところから始まります。
①椿椿山：1801‐54(享和1‐安政1)。江戸末期の文人画家。名は弼，字は篤甫。琢華堂，椿山などはその号。江戸小石川牛天神に住む。
幕府の槍組同心で，絵を金子金陵に学んだが，金陵没後，同門の先輩渡辺崋山に師事し，後には明から清にかけて徐崇嗣，南田（うんなんでん），張秋谷と継がれた着色花鳥画の伝統を取り入れ，自らの様式を完成した。
また崋山の得意とした肖像画も継承発展させた。蛮社の獄(1839)で逮捕された崋山の赦免運動に中心となり，崋山没後もその遺族をよく後見した。
。
②萩原秋巌：享和3年(1803)生～明治10年(1877)2月19日歿。名は翬、字は文侯、通称は祐助のち自然と改める。別号は古梁漁夫・大飛・松筠堂等。
詩は宮沢雲山に学び、書は幕末三筆の一人卷菱湖門下の四天王（萩原秋巌・中沢雪城・大竹蒋塘・生方鼎斎）の一人で、「位置は雪城、書は秋巌」と称された。門下には村田海石・小室樵山などがいる。
③渡辺華石：1852－1930 明治-昭和時代前期の日本画家。嘉永(かえい)5年10月生まれ。渡辺崋山の次男小華にまなび,その死後,渡辺家をつぐ。山水人物画を得意とした。
昭和5年11月6日死去。79歳。尾張(おわり)(愛知県)出身。旧姓は小川。名は静雄。字(あざな)は規道。編著に「崋山画談」「崋山真蹟(しんせき)」。日本画家・渡辺崋山・椿椿山の絵の鑑定家。
④長尾華陽：幕末明治の書画家。遠江生、名は正名、通称は作兵衛のち僊蔵。別号に守拙庵、不休斎。江戸に遊学し文学を大橋訥庵、書を巻菱湖、画を椿椿山に学ぶ。山水・花鳥画を能くした。大正二年（1913年）歿、享年90歳。
結論としてはかなりの確率で真作らしいと思われますが、それでも疑わしいのが「椿椿山」なので、最終判断は後学とします。
具体的には田能村竹田、高橋草坪、柳沢淇園などであり、そして本日の椿椿山などがその画家になっていいます。
上記のように本ブログの作品にリンクしていますが、柳沢淇園などは良く描かれていますが、真作とは言えないでしょう。良く出来ているほうですが、出来も悪いものいいもの、とにかくたくさん世の中に出回っていますし、「いいだろう」と見せられることもよくあります。全て贋作といっていいものばかりです。
五瑞図 椿椿山画・萩原秋巌讃
紙本水墨淡彩 軸先木製 渡辺華石他鑑定箱
全体サイズ：縦2048＊横565 画サイズ：縦1230＊横430
椿椿山の作品は基本的には「渡辺華石」の鑑定のないものは本物とは認められていません。それゆえ鑑定そのものが贋作であることが生じてきます
他に高森砕厳が箱などの鑑定書しているものも見受けられます。
本作品は私としては真作と判断しましたが、後日になって贋作に気がつくことがあるので慎重に判断してまいります。
まずは画題ですが、「五瑞」とは五つのめでたいものであり、文人画の五つの画題とされ、具体亭には葵(あおい)・菖蒲(しようぶ)・蓮(はす)・柘榴(ざくろ)・枇杷(びわ)ですが、本作品は蓮かどうか不詳です。
箱書表「先師琢華先生瀘？彩五瑞図 紙本竪幅」
箱裏上段「椿山翁淡彩五瑞図□□□□館筆 頗深神□題鑑□華陽姓長尾名正名華陽其号□州豊橋人椿山門生也 華石渡邉□鑑 印章□□」
箱裏下段「辛亥夏日題□面 華陽□史長正名時年八十有八 脇に印章 □□」
巻き止め「琢華先生□五瑞之図 華陽 時年八十有八 印章□□」
賛「有果産西蜀作花 □早寒樹繁碧玉 葉柯疊黄金丸 秋巌真逸 □□」は「有果产西裔，作花凌蚤寒。树繁碧玉叶，柯疊黄金丸 上都不可寄，咀味独长叹。」という宋時代の宋祁（998-1061）という人の漢詩らしいです。意味は南の果物が北に来てもがんばって実をつけている・・という意味かな
落款の検証
右の参考落款は思文閣墨蹟資料目録第430号掲載 作品NO４「杏花黄雀図」より
嘉永2年 49歳の作品であることから、本作品も同時期（嘉永年間）の最晩年の作品と推察されます。
印章の検証
思文閣墨蹟資料目録「和の美」第432号掲載 花鳥虫花冊より
ここで印章が若干違うことに気がつきました。とても小さな印章なので許せる範囲か・・、他に同じような印章があるかどうか・・。
本作品は下記に記する四人を調べるところから始まります。
①椿椿山：1801‐54(享和1‐安政1)。江戸末期の文人画家。名は弼，字は篤甫。琢華堂，椿山などはその号。江戸小石川牛天神に住む。
幕府の槍組同心で，絵を金子金陵に学んだが，金陵没後，同門の先輩渡辺崋山に師事し，後には明から清にかけて徐崇嗣，南田（うんなんでん），張秋谷と継がれた着色花鳥画の伝統を取り入れ，自らの様式を完成した。
また崋山の得意とした肖像画も継承発展させた。蛮社の獄(1839)で逮捕された崋山の赦免運動に中心となり，崋山没後もその遺族をよく後見した。
。
②萩原秋巌：享和3年(1803)生～明治10年(1877)2月19日歿。名は翬、字は文侯、通称は祐助のち自然と改める。別号は古梁漁夫・大飛・松筠堂等。
詩は宮沢雲山に学び、書は幕末三筆の一人卷菱湖門下の四天王（萩原秋巌・中沢雪城・大竹蒋塘・生方鼎斎）の一人で、「位置は雪城、書は秋巌」と称された。門下には村田海石・小室樵山などがいる。
③渡辺華石：1852－1930 明治-昭和時代前期の日本画家。嘉永(かえい)5年10月生まれ。渡辺崋山の次男小華にまなび,その死後,渡辺家をつぐ。山水人物画を得意とした。
昭和5年11月6日死去。79歳。尾張(おわり)(愛知県)出身。旧姓は小川。名は静雄。字(あざな)は規道。編著に「崋山画談」「崋山真蹟(しんせき)」。日本画家・渡辺崋山・椿椿山の絵の鑑定家。
④長尾華陽：幕末明治の書画家。遠江生、名は正名、通称は作兵衛のち僊蔵。別号に守拙庵、不休斎。江戸に遊学し文学を大橋訥庵、書を巻菱湖、画を椿椿山に学ぶ。山水・花鳥画を能くした。大正二年（1913年）歿、享年90歳。
結論としてはかなりの確率で真作らしいと思われますが、それでも疑わしいのが「椿椿山」なので、最終判断は後学とします。
