夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大津絵 その13 鬼の念仏 その2

2013-07-18 05:09:12 | 掛け軸
8月1日からは長期のブログ休投稿になります。作品もそろそろ本当に底を尽いた感もあります。

さて、本日は大津絵です。「鬼の念仏」の二作品目の登場です。

大津絵は古いものほど希少価値があり、作品数は非常に少ないようです。その中で「鬼の念仏」を題材とした作品は古くからあり、なた遅くまで描かれていたので作品数は多いのですが、その人気ゆえ思った以上に入手しづらいものです。

それでも大津絵を所持するなら古い作品のほうがいいです。現代作品の出来は江戸期の作品に遠く及びません。親子や兄弟の共同作業で版木を刷ったり、色付けを担当別で大量生産した御土産品ですが、その民芸のよさが現代では出せないのです。

私の蒐集はまだ13作品ほどですのでコレクションとは称せないレベルですが、巷には数多くのコレクターがおられるようです。

大津絵 その13 鬼の念仏 その2
紙本着色軸装軸先塗 合箱
全体サイズ:横298*縦1370 画サイズ:横250*縦650




鬼が僧衣をまとっている絵で、慈悲ある姿とは裏腹な偽善者を諷刺したものです。恐ろしい鬼が念仏を唱え、お布施を乞って歩いている絵の意味するところは、鬼の姿は慈悲のない心、僧形は形だけの善行で偽善をなす人の「たとえ」といわれています。






鬼の住まいは人間の心の内にあるということで、描かれた鬼の角は、佛の教えである三毒(貧欲・瞋恚・愚痴)いわゆる人々の我見、我執であると言えます。




人は自分の都合で考え、自分の目でものを見、自分にとって欲しいもの、利用できるもの、自分により良いものと、限りなく角を生やします。大津絵の鬼は、それを折る事を教え、鬼からの救いを示唆しているとも言われています。怖い鬼が滑稽な姿を演じるところが大津絵の鬼が面白がられた理由でしょう。



「鬼の念仏」はもっとも古くそして長く遅くまで描かれた大津絵の題材でした。鬼の二本の角のうち一本が折れている絵が多く、一つの約束ごとのようです。折れていない作品もありますが数は少ないようです。牙が上下逆転している作品は古くからありますが、逆転している作品数は少ないようです。



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