夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

リメイク 美人図 祇園井特筆

2017-12-05 00:01:00 | 掛け軸
週末には息子の幼稚園でのカーニバル。



自然がいっぱいの幼稚園です。



年長組と一緒に劇やら歌やら・・。眺めの良いホールで行いました。



終わってからは庭で遊んで帰りました。



園長さんのお寺が隣接しています。



庭には茶室もあります。



ちょっと茶室を覗くと椿の花が落ちていました。床には会津八一の軸・・。



息子は「おなかが空いた!」と・・、緊張が解けたようです。



本日の作品の紹介ですが、以前に紹介したことのある作品で、再整理の作品ですのでリメイクとなります。最近展示室に美人画を多く飾るのに家内が不満を漏らしています・・

リメイク 美人図 祇園井特筆
絹装軸絹本着色
画サイズ:305*960



本作品はかなり汚れた状態であったものを表具し直したものであり、鉛筆かボールペンのいたずら書きは完全には消えませんでした。仙台の骨董市からの掘り出し物・・・??。

 

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祇園井特:文政10年に没している上方浮世絵師。通称井筒屋徳右衛門と称する。京都祇園に住んでいたためこの名で呼ばれている。円山派の影響を受けているのが作風に見られるが、門人であったかどうかは不明である。芸妓や遊女を中心に、女性の容貌を生々しいまでに写実的に描き、独自の美人画を生み出した。その美人画は、美化された今までの美人画とは違い、醜さも、乱れも、ありのままにさらけ出している。アクが強いだけに、好き嫌いも激しく、気持ち悪いという評価もある。だが、逆に今の時代に合い高い評価を受けているのも事実である。多くの肉筆画を残しているにもかかわらず、人物についての記録がなく、その生涯は謎に包まれている。

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下唇を緑に、上唇は赤く塗っているのは、当時流行した化粧方法のようで、上方浮世絵の特徴でもあります。



洋犬を抱いた絵図は珍しく、着物や女性の描きの微細さからも井特の佳作のように思います。



賛の読みは「小姑是阿姐大姑是阿娘 但愁末嫁日不慣噢吾朗 門沢老人題」であり、意味は「下の娘はよいお姉ちゃん、上の娘はこれまたお嬢さま、二人は美人ですが、ただ心配なのは二人とも男の事となると様子を伺い、こばみいまだに嫁に行くこともなく、末が案じられる」と解釈されるらしい。「はやく嫁に行って欲しい」というニュアンス? 



この読みは同じ現場で働いていた重機を運転する書家に読んでいただいたもの・・。



当作品は「字日伯立」の白文方印と「せいとく」の朱文千鳥形印を用い。皇都(京都)井特と落款されています。「せいとく」の印の欠損が見られるのは後期の作品であるらしいです。なお賛の「門澤老人」については詳細は不明です。



良きにつけ悪しきにつけ、このような作品が骨董市にときおりあったものですが、現在は掛け軸自体が骨董市では見なくなりました。

きちんとし美術商から購入すると間違いないという御仁がいますが、それは資金が潤沢にある御仁のできること・・。常にそうするには鑑識眼を磨くにはあまりにも短絡的であり、「掘り出し物」への胸がときめかないのも事実です。



表具の状態の悪い作品やまくり(未表装)の作品には興味深い作品がよく骨董市にあったのですが・・。



浮世絵肉筆美人画もそろそろこれで打ち止めかな・・。浮世絵肉筆画はこだわりの多い御仁が多いようですが、意外に奥行きがなく、当方のメインの蒐集対象にはなっていません。



賛の読みは友人の助力によります。



骨董市で見つけたお気に入りの作品を改装したり、調べた資料を記録に遺したりしていくのは愉しいものです。

 

仕事一辺倒ではない趣味の世界は人生を豊かにしてくれます。


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