◇OSS◇マイクロソフトがAPIを無償公開

2008-02-24 17:06:07 | OSS・ニュース
 米マイクロソフトは、他社製品の接続性を高めるため、他のマイクロソフト製品が利用し、広く使われている企業向け製品の全API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とコミュニケーション・プロトコルを記述した技術文書を、自社のWebサイト上で公開すると発表した。これにより、開発者はライセンス使用料や特許使用料といった料金を支払うことなく、これらの情報にアクセスすることができる。

 <短評>今回の発表は、直接的にはEU独禁法違反に対するマイクロソフトの回答だということになる。この意味ではマイクロソフトが裁判所側に対し、従順な態度を表明したことに過ぎないともいえる。しかし、この背景にある事柄はなかなか複雑である。

 表面的にはマイクロソフトは敗訴し、その結果今回の発表となったことは事実であるが、長期的にはマイクロソフト側にメリットをもたらすことも事実だ。もし、EU独禁法違反判決がなかったら、マイクロソフトは従来どうりのクローズドな路線をとり続けるはずだ。もしそうなっていたら、オープンな姿勢を表明しているグーグルやレッドハットなどOSS陣営に遅れを取り、敗北は決定的になっていたであろう。

 EU独禁法違反があったからこそ、マイクロソフトの危機は事前に回避された。それどころか、今後OSS陣営はかなり困難な戦いを、マイクロソフトとの間で行わなければならないことになる。これまではマイクロソフトのクローズドな姿勢をユーザーにアピールすれば優位に立てた。ところが今後は必ずしもそうとは言えなくなる。それどころか、マイクロソフトは国際標準化戦略を取りやすくなったわけで、こうなるとOSS陣営の錦の御旗であるオープンという主張は色褪せてくる。OSS陣営はこのことを肝に銘じないと、マイクロソフトに押さえ込まれてしまう恐れだって十分に考えられる。(ossdata)

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3364