7.点火
実は東京の交通は監視されている。全ての情報を最大衛星情報から、最低でも巡回警邏の警察官に至るまでである。
昨夜降った雪は放射冷却で一時固まったが陽光を浴びて直ぐに溶けた。
MシステムやNTシステム等のシステムは、その行動が意図的であるかどうか?を把握する能力を持っている。
残念ながら加納の部下の行動は読まれているようだった。
警死庁の交通管制課では、グリーン警報が出た。
「ハイ、赤坂のTVS西側の資材置き場に集中していた8台の商用車が分散後、TVS集中が予測される。近くを移動中の巡回は?」
「赤坂26です」
「では赤坂26、あきる野ナンバーいXW-OYに職務質問かけて下さい」
だが、警察通信は傍受されていた。
「下川。狙われたぞ。第二ルートを行け、三木!急いでアンチ勢にTVSから離れるように言うんだ。」
「了解」
そう言うと軽自動車で一番身が軽い三木の車が先行する。
「8台の動きに変調あり、あきる野ナンバーいXW-OYの追跡は放棄する。先ずTVSが目標と思われる。至急到達するよう」
「了解」
三木の軽自動車にはスピーカーが付いている。
「偏向TVSにお怒りの方々、報復が今から始まります。3分以内に退去して下さい。そして正義がなされるのを御覧下さい。」
プラカードを持っていた200人ぐらいの群衆は、急いで足早に、しかし秩序正しく逃げた。撤退は2分で完了した。
そこに赤坂26がやってきた。
「そこの軽自動車!直ちに止まりなさい」
するとスピーカーで
「止まっていたんで、退けって意味ですか?ハイハイ」
とアクセル全開でパトカーと激突しかねない状況だった。
軽自動車が先にハンドルを切った、赤坂26は反対というか切る向きは同じで対応した。
2台は、逆ハンのスライド回転を続けた。
見物人は、その腕の凄さに歓声が上がった。
だが軽自動車の三木は、任務を忘れない。
ケツが丁度TVSを向いた時点で、急ブレーキの後ブレーキを緩めアクセルを開け、サイドブレーキを入れる。
典型的なアクセルターンだ。
そして、尻がTVSのどまんなかに向かった。
「おらよ!」
アクセル全開とリアトランク開放!中のタンクが姿を表した。
止めておいたワイヤをつなぐピンが抜かれた、慣性のついたタンクの中身はTVSの一階東フロアーに流れ出た。
「じゃぁな!」
とジッポーのライターを投げ入れて、最初の火の手となった。
15mの幅で広がった「ナパーム」である。三木は、その後車を捨てず、加納な限り引っ張り回した。
それに助けられ仲間の車も突入、ある者は運転不能で車を捨てたが、火はすでに全体に回っている。
合計で7トンのナパームである。
「下での祭りが始まったか?」
そう言うと、本棚部隊は、先ず3つの棚の一つを蹴り落とした。
ぶちまけられた液体は「ナパーム」である。
3つの階段を全部止めるのである。
本棚部隊は6個、合わせて500kgのナパームをぶちまけ、3階より下に移動するのは火の中のエレベーターしかなかった。
その頃リアルタイムで、サンバカモーニンが生放送されていた。
初回の車両の音は内部に入らなかったが火事の警報は轟いた。そして、一時ライトが消え「管内の全員退避」と言う警報が流れたが、それでどうしようと言う事もできない。
通常消化は、先ず地面の消化が優先するが、ナパームは滞留して、無くならない。1階から3階までの燃えるものを尽く燃やしている。だが、ナパームは、火持ちが良い。
最早サンバカモーニンのカーッペもやって無ければ、クソみたいな偏向放言もない。煙にいぶされるゴキブリの姿が見えた。
その時TVSを遠巻きに見た皆は「バンザーイ」と「君が代」を歌った。野次馬がドンドン集まり「コレが正義の鉄槌だ!」「うんこ臭い奴らめ!全く臭うぜ!」
見難く焼け爛れた死体を、誰も憐れまない。
「当然の報いだ!」
と言う人間しか居なかった。
ここまで集中して投入したナパームを誰も知らない。
今まで、7.5トンのナパーム攻撃は広場でやられた。
TVSのご自慢の建物の吹き抜けはトンネルとして効果的で、最上階に至るまで黒煙と火炎を登らせた。
ついに飛び降りが出たが、結局落ちるのはナパームの炎の中となった。
飛んで火に入る夏の虫。
捏造ばかりする虫は焼けて丁度良いのだ。
10時に発火したナパームとTVSの建物は18時間燃え続け、中の生存ゴキブリは、一匹たりとも居なかった。
このネットでは「偏向報道TVSまっくろけ!」と「TVS消失記念乙!」と皆騒いだ。
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