5.探り合い
虫獄狂惨盗悪賦の副首相、狂低脳がやってきた。
「ドラグノフ議員、窮屈な移動でした。ですが重要な事ですので。」
謝罪も慰労の言葉も無い。最初から上から目線の糞猿め!とドラグノフの第一印象は最悪だった。
目が慣れてきたところ、ここが巨大な空間である事が変わった。いや薄々は感じていた。
彼は石棺に視察に行った事もある。その時の耳に残る音が、それと似ていた。
「説明…頂けますか?」
話せない事は無いが虫獄語では話さない。最初の印象でそう決めた。
「ここは我が群のミサイル基地で…」
「四川で無ければ意味が無いな。見当違いの場所に連れて来たのか?」
むっとする狂低脳だった。
「ここは我が群の四川ミサイルサイトです。」
「そして、ここからあれが撃たれたのか?」
「撃ったように見えますか?」
「3日で修復したには早いな…。」
狂低脳はドラグノフを睨んだ。
何も言わず部下に顎で指示をした。
全く、こうまで尊大なのは虫獄のスタンダードか?ロシアではマフィアぐらいしかやらない。
プーチン大統領は、顎で指示する様な事はしない。それだけでも「ちゃんとした人だ」とドラグノフは思っている。
狂低脳の部下は、目の前のミサイルのカウリング(覆い)を外した。
「見て分かる通り、ミサイルには弾頭が三つ入っている。核弾頭が一発だけなのは我が群では現在巡航ミサイルだけだ。つまり、弾道弾で一発発射は有り得ないし、また、この四川のサイトでは、発射した形跡が無い。」
「そう言う主張ですかな?四川は広い、四川に別の基地があってもおかしくない。そこには一発の核弾頭しか持たない核ミサイルがあってもおかしくない。」
「可笑しいのはあんただ!」
ほら、地金が見えた。この手の恫喝には慣れているドラグノフは、煙草を口にした。
「ここは禁煙だ。」
「ロシアの基地では、大丈夫なんだがね…、そこまでの技術は無いか…」
「まぁこの発言を信じなくても、気にしなければ、ならない事がある。それは…」
「ハッキングか?」
機先を制された。
「それぐらいは考えた。だが形跡が無い。現在、システムの再チェック中だ。ほぼ全てのサーバのログを調べている。それとも把握しているのか?誰がやったか知っているのか?」
狂無能は黙っている。セルゲイは鼻で笑った。
「今本国のネット関係者が動いている、カスペルスキーもだよ。そして分かったのはIPv6攻撃の可能性がある。」
えっと驚く狂無能だった。
「IPv4では、IPアドレスが限られているから、それで直ぐ誰かが分かった。だが、今地球上の全生物の細胞1個ずつにIPを振っても余る状態だ。今の所我々が把握しているのは、3つの可能性、1つはIPアドレススワッピング、これはIPv4の時からEUのSNSサイトでやっていた。それを超えたのがIPアドレスワーピング、つまり、有り余るIPをサーバに入れたら元から内部にためているIPに振り替えて、正体を隠す。もう一つは、IPアドレスDDOS。いくつかのサーバで架空のIPアドレスのやり取りを延々とやり、どれがどれかわからないって奴。そんなものだろう。」
何が言われているか分からない狂無能だった。
「もう一つは、極端なIPアドレス。これを入れると異常動作を起こすトランシーバーがあるらしい。」
ドラグノフは、煙草を箱に戻して、その箱をポケットに入れた。
「テクニック論は、ともかくとして、我が方としては、由々しい懸念を持っている。」
「な、なにが」
「何故即刻反論しなかった?」
「…」
「黙っていても駄目だよ。こちらは十分に把握している。臭菌病は、最初ミサイルを撃つ可能性は有り得ると思ったようだな。そこで徹底した調査をして、完全にNoと分かるまで、否定も肯定もしなかった。私を呼んだのも、それが十分確保できた、或いは、そう言い通せるバックボーンがあったから…、それとも」
「…」
「元々何も起きていない事がはっきりしたから。…って所で、ここは該当地域なのか?」
「我が国は、発射地域の座標を求めたが、この周辺には該当するミサイルサイトが3つあった。この辺は、不穏分子も多いので、もしかしたらとの懸念もあった。それに…」
「あれだろ?日本の東電とか言う馬鹿の集団と同じく、四川行きは左遷と同じ意味にした…。違うか?だから一番大事な場所が適当に扱われるようになった。違うか?合っていたら、一言。同じ猿同士良く似ているなぁ~。でもパクッテばかりでノーベル賞の取れ方が少ないぞ。日本の猿の方がマシか?」
「うっ…」
狂無能は激発寸前だった。
「まぁ良い。とりあえず、撃っていなかった。そっちの方が良い。だが、誰がやったのか知らないが、上手すぎる演出だ。至近弾で弾道が反れたり、ABMで大気圏を弾き飛ばされ、再突入で消滅する…。プログラムはともかく、演出としては最高だ。だから、疑う点が多くても、迫力で騙されたって感じだ…、世界の一応4つの首脳がな…」
「…」
「で?何が言いたい?味方をしろってか?そりゃ良い。だが決めるのは大統領だ。そっちが隠し事は無い上に、今までの両国間の懸念材料に関しての対応次第で、物理法則の1つや2つは変えられるんだぜ?ロシア共和国の大統領ってのはな…。」
ドラグノフも途中から過ぎた態度だったかもしれないが、何時まで経っても言葉の使い方が変わらない狂無能に、お前は無能なんだよと「ご教授」する良いタイミングと、向こうが言わんとする事を先に言い、機先を制し続けた。本来だまって話を聞くのが仕事だが、こんな猿に良い様に言われて挙句の果てに恩着せがましく何か言われるのを報告するのも興が削がれる。ここは上から目線の勘違い野郎を多少は痛めつけても大統領は笑ってくれるだろう。実際そうなった。
「取り敢えず、味方にはならないが、同調の具合は、そちらの出方次第だと言う事は我が国のスタンスだ。それを忘れなければ、最悪の状態にはしない。我が国の為に…。取り敢えず、例の危険地域の我が軍の侵入に関しては、そちらは配慮するように…。まぁしなけりゃ、大統領の意向が変わるだけだろう。」
とあくまで突き放した態度でドラグノフは目隠しの電車に向かった。
「どうでもいいが、何時まで、飲み物も食い物も出さない気だ?」
このデリカシーの無さが虫獄だった。
日本は当然の手順を踏んだ。
先ずは出入国検査である。
一応虫獄との直接の航路は閉鎖された。13:00:00をもって虫獄からの飛行機を受け入れない体制となった。
それは海路も同じだった。また虫獄からの留学生などの外国人登録証を緊急で調べるように、警察に連絡が成された。
色々な意味で大使館領事館は先ずは周囲を警察が、更にその外延部を自衛隊が警護した。
荷物も陸揚げされていないものは虫獄へ返送された。
通常では虚勢を張る虫獄だが、自衛隊が小銃を持って歩いている光景を見ては、腰砕けだった。
常日頃から高圧的で、好戦的だから、こうなったのだ。特に上海の暴動は酷かった。その時から、この様な事は有り得ると常々検討していた結果だった。
そして、一番緊張したのは「臨検」だった。
これは域内に侵入する艦船に関して、検査をする事だった。
今までは「なぁなぁ」で通して貰っていたのだが、事が切羽詰ると、そうは行かなくなる。そうなると虫獄は太平洋航路の多くを日本に遮られるのだ。
またスエズ運河の航路も南沙諸島の近辺で周辺諸国が警戒出てくると、臨検は無くとも、航行速度は自動的に下がる。
太平洋航路の船は香港などの南部の港に陸揚げされたり、一回台湾を避けて、北に向かうしかなかった。
臭菌病は例の如く上から目線で「周辺諸国の運行を妨げる行為をするな」と命令口調だが、
「わが国は独立国であり他国から、その方針を指示されない権利を持っているのは虫獄と同じである。それとも、虫獄はODAを貰いながら、我が国の上位にでも立ったつもりだろうか?更には平和憲法下ながら、防衛戦闘は可能である。今回攻撃と思しき行為を受けた問題に対して、説明もなく、対応もしないで命令するような国に対して、臨検は国際常識として十分に理解される行動であり、また、我が国を守る為の権利である。繰り返して言う。わが国は虫獄に毎年ODAなどの援助を出している独立主権国家である。どのような国からでも、公式に命令を受ける義務は無く、履行する意味も無い。」
と安倍総理の発言に東南アジアが沸いた。
そして、フィリピン、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、タイ、ベトナムで対華僑暴動が軒並み発生した。
皆、虫獄の暑苦しい存在には飽き飽きしていたのだ。弱腰の一言だった日本が毅然として向かっているのに、遅れてなるか!との掛け声で、毎年輪番でおきていた各国の対華僑暴動が一斉におきたのだ。
ASEANの関係者は窮した。
取り敢えず政府は虫獄と違い近代国家なので「虫獄の華僑を守る」が日本の問題等をよく説明もせずに大問題を放置している虫獄に対して圧力をかける意味と国威発揚・ガス抜きの意味で南沙諸島周辺に出撃し、核ミサイルなどの警戒に当たると言う合意を交わした。
つまり「出航はしますが、戦争を目的ではありません」と言う事を説明したようなものだった。
だが日本とアメリカは違っていた。
その行動は、通常行動であったとしても、全世界に影響を与える。それが重大な警戒態勢の問題となっている。
それを見ながら臭菌ペイは「騙されているとも知らずに…」と騙されていた自分を忘れて嘲笑った。
さて同盟国となっているチョンだが、今の所動きは無い。また、在日のチョンが殺されかけているのを文句を言うのが関の山だった。
虫獄やトンスランドから邦人を帰還させる動きが進んだ。一方で経団連にも、虫獄はリスクが有り過ぎると、特に東レには強く言った。
日本も長年の厄介者を叩き出す良いチャンスだった。
臭菌ペイは、チョンが勢いのある、アメリカ側に喜んでくっついている様に感じられたと言うより。それはこのチョングソの基本行動だった。
強い側優勢な側については、相手を罵倒する。それは、色々な点からボロボロでてきた。それはもう悪意を垂れ流すという本能だろう。
挿絵、コメディアンの発言、テレビのコメント、新聞の社説などなど、虫獄はもう駄目だと言わんばかりであった。
一方で、パククネは「アメリカの情報を流す為に潜り込んでいます」と、まぁこれは実際そうなのだが、それを繰り返し、取るに足らない情報だが、一応報告は上げている。
アメリカもチョンがそうする事を知っているので、適当な情報しか与えない。何よりチョンの下位群は出ていない。
「渤海をそれとなく監視しています。」
との発言にクリントン大統領は「呆れた…、コイツ馬鹿?」とライス国務長官が「ぱんぎむん」に放った言葉と同じ言葉を吐いた。
クリントン大統領に対して、駐米日本大使の長谷川大使は「チョンがでてくると、問題が厄介になります。役には立たないが煩い。出ないのは丁度良いのでは?」と助言した。
「そうね…、それに臭いのよアイツら。もう耐えられない。口も体も全部臭い。全く有り得ないわ。そうね、ホント、握手しろって言われても、ちょっとゴメンだわ。有難うMr渡辺」
その役に立たないが煩く、口と体臭が臭いパンギムンは、ひたすら口臭を抑えているかのように黙っていた。
緊急安全保障会議で先ず常任理事国の国連大使と当事国日本そして非常任理事国がメインセッションを、ASEANなどがサブセッションを組んでいた。
国連軍の指揮官ヨルマッカ大佐が、アドバイザーとして出席していた。長年国連軍に参加しているフィンランド軍の名将である。
このヨルマッカ大佐がパンギムンを嫌っていた。いや国連軍でパンギムンを好きだと言う奴はいない。虫獄ですら嫌っていたのだ。
ヨルマッカ大佐は、日本の白川国連大使に「中国が厄介の主ですから、あの糞腰抜けは黙っているでしょう。正直、糞腰抜けが事務総長になって国連は機動性を失った。ここでは虫獄がきっかけで何かが動く事は無いでしょう。あっても、自己矛盾を解消できない。本来一番説明する義務のある当事者なのに、それを行わない。それに糞腰抜けが同調する。会議は動かない。」
アメリカの代表はじっと虫獄の代表・膨欲望を見ている。
「にらめっこですな?」
と白川大使が言うと「賛成ですが笑ってはいけません。弱みになるだけです。」
虫獄相手にジョークは通用しない。
虫獄は都合が悪いと仏頂面で黙るばかりで、それに付き合わされる。
それをシニカルに見ているのがロシア代表、ボリス・コリョロフだった。
キムチとトンスル臭い口が動いた。
「一旦休憩します。」
放つ言葉は、それぐらいだった。
するとコリョロフが、打ち合わせをしている日米の両大使にやってきた。
「なんだ?露スケ」
アメリカ代表ゲイツ大使が睨む。
「ボリスかコリョロフか、どちらかで呼ばれると嬉しいね。」
「ではコリョロフさん、何の御用ですか?」
「御用?御用だったら話せません。そうだな?正直な印象を話しましょうよ。」
「正直な印象?露スケが?」
「ゲイツ大使!睨むのは中国相手で十分でしょう?敵を増やすのは得策じゃない。」
「だが、コイツは先ず虫獄と接触しているに決まっている」
「当たり前じゃないですか。そっちの方が商売になる」
「ふふん、それで篭絡されたのか?」
「イスラエルと同じですよ。いつもノラリクラリとしています。」
「で、正直な印象とは?」
「我々は、ここまでしゃしゃり出てきていますが、実の所何が変わったわけじゃない。」
「えっ?」
「核ミサイルが撃たれた」
「皆見ているでしょう?」
「我々出歯亀が商売の人間だけです。夜なら天文観測が可能だけど、軌道が太陽を逸れているから、シュミットカメラでも見られていない。宇宙ステーションフリーダムも絶妙のタイミングで見ていない。その90分の、いや30分の間に行われた事です。我々が見ているのは、レーダーの点です。」
「しかし、状況とは照合している。」
「ヒッグス粒子の存在を議論しているようなものです。」
「専門的過ぎるな」
「あれは、ヒッグス粒子そのものを発見したのではなく、付随する反応がヒッグス粒子があると説明できるというもので、粒子自身が発見された訳じゃない。」
「それで?」と文型のゲイツ大使は嫌な顔をしている。
「実際に存在したのを証明できるのは8発のPac-3の発射と1発のABMの射撃と炸裂です。東京が核攻撃を受けて破壊されてもいないし、死人も何も出ていない。」
「では何も無かったとでも言うのか!」
「そこです!ヒッグス粒子は、あると今人の頭の中で信用しようとしているだけです。ですがアインシュタインの相対性理論の前には、宇宙はエーテルという媒質があることになっていた。でも結果論としてなかった。あると言い続けていた科学者は顔が立ちません。だからアインシュタインの成功を声高に言うだけです。そして自分の失敗は闇の中に…。」
「それが中国が売って来いといったものか?」
「詐欺師と言われようと構いませんが、ここは一つ、冷静になりましょう。」
「冷静なのは虫獄に先になって貰いたい。」
「何を馬鹿な事を。頭を下げるって事を延々と上から下まで出来ないから、今中国は全てにおいて雁字搦めです。それを真似したいのなら、どうぞ御勝手に。」
そこに声がした。
「コリョロフさん?なかなか素敵な方の様ね?」
「おお!これは大統領!聞き耳とは史上最も優美な大統領には似合いませんな。」
「肩書き無しならとっても嬉しい言葉ね。でも、それは無理な選択をお互いしたみたいね?」
「で?どうお考えですか?」
「我々には敵が多くて困っているから、敵を減らそうとしてきたけど、ちょっと虫獄は、あの調子で困っているの。でも、少なくとも覇権と言う意味では、貴方達の国にも劣る駄目な国だと思い知らないと駄目みたいね?」
「おう?そうですか?これは、褒められた…と取っておきましょうか?」
「駄目ね?コリョロフさん?褒められて怒るのが覇者ってものよ。」
「覇道は大統領に任せています。そうでなかったら私は死んでいるか、ルビヤンカの監獄の中で凍死しています。」
「我々もハッキングの線は最後まで棄てていないの。それは方便の一つとしてね。でも、お互いに覗き見をして、その想像が別の像ってのは恥ずかし過ぎない?」
「それが我々の悩みの種で…」
「貴方は、悩みの相談で、我々は、おっと、我が国は、その状況を最大限に利用して、出る杭を打つのよ。」
「大統領、そんな事は…。」
「Mr白川?貴方はゲームで言うとレベルが1上がったのよ?兎に角、我々は、そう、あなたの国のシンガーの歌にある『つがいの嘘つき』になって貰うわよ?私が女性大統領でよかったでしょう?でなければ明日からLGBT宣言よ。」
「はぁ~」
「なるほど。趣旨は理解しました。ですが、くれぐれも火を消すのに爆弾を使うようなものです。」
「あら?知らなかった?油田の火事はダイナマイトで炎を吹き消すのよ?」。。。。。。。。。。